- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334744649
感想・レビュー・書評
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人間のドロドロとした部分が書かれている。
後半は無限ループの様にその人の裏側が綴られている。
予想していた人物に辿り着いたが、それにも捻りあって何とも言えない重たさが加わる。
救いの無い話ではあるが読むペースは加速していく話である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
痴呆症の老人と二人で留守番をしていた幼女が、何者かに殺された。家のなかで何が起きたのか、家族とその関係者の独白で、真相とともにそれぞれの抱える秘密が明らかにされていく。
単行本は2002年とあり、昔読んだ気がすると思いながらも、書店に平積みにされていたので手に取った、久しぶりの連城三紀彦の作品。
表面上はうまくいっているような家族でも、心の内側には闇を抱えている。真相と思われていたものが何度もひっくり返り、何が本当なのか読むほどに迷宮の奥に引きずり込まれていく。
ある意味では、全員が荷担しているともいえる悲しい事件を、ひんやりとした美しい文章で緻密な心理戦として描いた、作者ならではの一冊だった。 -
白光。
連城三紀彦さん。
おもしろかった。
二転三転。
読んだ人しかわからない。
すごいお話でした。
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おもしろかった
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美しい文章…情景が浮かぶ、心の揺れも、瞬間的に描かれる。しかし内容はひたすら重かった。苦しい。
人それぞれの思い込みとか信じてるもの、見てるもの、そういうのの組み合わせで世の中は成り立っているのだという事実。
何重もの裏切り。それぞれの裏切りの重なり。でもそれぞれの真剣さでもある…日常に潜む脆さの描き出し、でもあるなぁ。
初の連城三紀彦作品だったけど、とにかく引きこまれた。 -
短い話だが、重くてページがなかなか進まなかった。2転3転・・・ 連城さんの話は10冊くらいは読んでるけど、結構いつも思いイメージだな
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初挑戦の作家。物語として読み応えのあるミステリーとの評価から手に取ってみました。
独白形式で綴られる手法。書評にもあったけど、芥川の「藪の中」を彷彿とされる。けど、出来事を時系列的に供述するわけではなく、みんな主観的に心情を吐露してる感じで、テーマも相まって重い印象。後、表現が文学的なので、読み応えはあるけどすらすらっとワクワクしながら読み進めるタイプではないかな。
長編から入ってみたけど短編に定評があるので、他の作品もチャレンジしていきたい、と思える内容。 -
300ページに満たない本なのに内容が内容なので、
ページ数以上にズッシリとした重みを感じました。
幼い女の子が殺され、その子の家族や周りの人たちの中に犯人がいる。
主に登場人物たちの独白から成り立つ物語なのだけれど、読み進めれば進めるほど全員が犯人に思えてくる。
焦らしの天才だな。
親子だろうが夫婦だろうが、相手の気持ちを100%理解する事なんて土台無理な話なんだけれど、
それにしてもこの家族は怖すぎる。そして切ない。
皆から疎まれていた直子が一番可哀想だ… -
お互いのことをどれだけ知っているつもりでも、実は肝心のところを知らない。家族でも、恋人でも。
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姪っ子と認知症気味のおじいちゃんを家に残して外出したら、帰宅すると子供は殺されていた。家族や関係者それぞれの証言により、事件の様相は二転三転。強いライトを当てられたときのように、目がくらんで真相が見えなくなったように見えて、逆にはっきり浮かび上がってくる。