鼓笛隊の襲来

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926014

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。

    表題作はわりと。

  • 戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る夜を、義母とすごすことになった園子の一家。避難もせず、防音スタジオも持たないが、果たして無事にのりきることができるのか――。
    表題作ほか書下ろし1編を含む全9編。

  • 「澄んだ青空に、鼓笛隊員のクラリネットが響き渡った。」

    「世にも奇妙な物語」を彷彿させるような短編集。
    この人の世界だなぁ、と。「となり町戦争」や「失われた町」と並ぶイメージだった。
    特に表題作の「鼓笛隊の襲来」と「遠距離・恋愛」は終わり方もまぁhappyで良かった。
    最後の書き下ろしは、失われた町をどこか思い出させたのでした。うん、面白かったよ。

  • やっぱり三崎さんのは短編集のが好きだな。面白かったです。ごく普通の我々の世界に、異質な「常識」が紛れる。表題の「鼓笛隊〜」も好きだったが、ラストの「同じ夜空を〜」も好き。てか、こんな海外ミステリあったなぁ。「覆面社員」は、これだったらノーメイクで楽だなと。でもむれそう。皮膚呼吸が。

  • この人の作品は、『失われた町』のような長編よりは、短編もののほうがおもしろい。
    当たり前のものに対し、「違和感」をごく自然に馴染ませる文体は独特。
    『「欠陥」住宅』や『校庭』のような、ちょっとホラーチックな作品が個人的にはお気に入り。
    でも、当たり前であることで、分からなくなるということが、いかにもったいなくて、怖いことなのかというのを、この人の作品を読んでいたらよく感じる。

  • 29日読了☆

    書き下ろし1編を含む9編の短編集。
    三崎さんは市役所(だったかな)の仕事もしてきた経験があってか、所員が出てくるシーンは特有の規律を守る堅さがうまいです。
    『象さんすべり台のある街』のゾウのセリフがなんとも切なかった。

  • この人の作風って、となり町戦争を読んだとき、継続すると思っていなかったので、意外。
    着眼点に、いつも驚かされる。

    本棚の御贔屓さんになったなと思う。

  • 9つのショートストーリーが描かれているSF短編集。三崎氏はどんな風に話を作るのだろう。ある日突然突拍子もない事を思いつくのだとしたら面白いのだけど。台風がマーチングバンドのように襲ってきたらどうやろ。気象予報士がバンドの通過ルートを予想するんやろね。勢力を増すと音も大きなるし、うるさくて人死にも出るやろな。皆ドロシーの如く音が聞こえないようにシェルターに避難するやろな。逃げるだけやのうて、音には音で対抗もするやろ。そうすると音楽家を大量に集めて大演奏会や。まるでミンメイアタックやな。いやそもそも…。などと考えはるんやろか?三崎氏のSF的不思議話は、筒井、横田、かんべなどの系譜に属するような気がする。(ちょっとだけ小松風もあるが)。三崎氏の不思議話は不条理である。説明可能で論理的な出来事はほとんど無い。理解不能で虚偽にも見える世界が広がっている。とても不安であり不安定である。しかし、そこには人の心や愛が必ずある。突き放した冷徹さの中に前向きな心の昇華が見える。不思議は不思議として理解できぬまま厳にそこに存在し、それをどのように解釈し、どうやって受け入れるのか、という人の心の在り方に主題があるように思う。だから三崎氏の紡ぐ物語は、ハッピーエンドでなくても、ストンと腑に落ちることが無く不安定ながらも、読後にあたたかさが残るのだと思う。

  • 短編集。三崎亜記を読みこなすにはいつもなかなか難しいものがあるかも。鼓笛隊の襲来は面白かったけど。3.5.


  • 9つの短編集。全て現実にありそうで、その実、不条理でありえない話。
    きちんとしているのに、ずれがあって、そこからこぼれるような、垣間見るような不条理さが私はとても気に入った。
    どこかに何かを置き忘れていて、すっかり忘れていたのにずいぶん経ってから思い出す直前のもどかしさを感じるのは私だけだろうか。
    「象さんすべり台のある街」は涙が零れ落ちそうだった。

    短時間で不思議を味わいたい時(どんな時だ、、)にぴったり。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しビュー。同作は18万部のヒットとなり直木賞にもノミネートされた。著書に『廃墟建築士』『刻まれない明日』『コロヨシ!!』『決起! コロヨシ!!2』など。

「2021年 『博多さっぱそうらん記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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