ツバキ文具店

著者 :
  • 幻冬舎
4.16
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本棚登録 : 3900
レビュー : 490
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029279

作品紹介・あらすじ

ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。

感想・レビュー・書評

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  • 鎌倉を舞台に、文具店を継いで代書屋となる若い女性。
    書くことが難しい手紙を、よく話を聞いて代わりに書いて出すという。
    あたたかい気持ちになれる優しい物語です。

    雨宮鳩子は厳しい祖母に育てられ、しつけというより修行のような独特な教育に反発して、家を出ていました。
    祖母が亡くなり、なりゆきで文具店と代書屋を継ぐことに。
    たいてい「ポッポちゃん」とかわいく呼ばれていますが、高校の頃は反抗期でガングロだったという激しいものも秘めています。
    隣の洋館で暮らす女性は皆に「バーバラ婦人」と呼ばれていたり、近所に住む初老の堂々とした男性は「男爵」、ポッポちゃんになつく女の子は「QPちゃん」など、可愛らしいネーミングで柔らかな雰囲気が溢れ、癒やされます。

    依頼される手紙の内容はじつに様々で、お悔やみの手紙や、離婚の報告をする手紙、結ばれなかった初恋の人に元気だということだけを伝えたい手紙、借金を断る手紙、なくなった夫からの手紙を待っている老婦人に送る天国からの手紙など。
    事情を汲み取って、依頼人の心をほぐし、手紙の目的を達成する‥
    そのためには、身を清め、便箋の紙質や筆記具の種類、字体などもよく考えて書くのです。
    ポッポちゃん(この呼び方がおかしくない雰囲気の娘さんだと思われるのですが)、じつは凄腕!
    この凝りようと専門知識も面白く、メールでなくプリンター印刷でもない手書きの手紙というのは良いものだなという素直な感想をいだきました。

    美しい四季の移ろいと古風な暮らし、美味しい食べ物、身近な人との親しさが深まっていく楽しさ。
    心に頑なな屈託を抱えた鳩子自身が少しずつ落ち着いてきたある日、祖母が文通していた異国に住む女性から、手紙が届けられ‥?

    すべてが丁寧で優しく、人の暖かさに包まれるよう。
    うまくいかないこともある、苦しみがないわけではないけれども、必ずその先になんらかの方向性は見える。
    それが自然に現れる感じがとても素敵な物語でした。

    NHKのドラマ化も、上手く行っていましたね。
    続編の「キラキラ共和国」もよかったです☆

  • 本屋さんの次に大好きなのが文房具屋さん。
    小学校のそばにあった、古くて薄暗い文房具屋さんを思い出しました。

    鎌倉の山の手にある「ツバキ文具店」
    そこで祖母から引き継いだ”代書屋”をしている鳩子。

    まず、この代書というお仕事に驚きました。
    ただきれいな文字で書けばいいのではなく、
    聞き取りをして手紙の文章まで考える。
    書く内容に照らし合わせた手紙の形式、紙の質、それにあったペン選び、色使い、文字の形にいたるまで。

    ”権之助さま”のご遺族へ宛てた「お悔やみ状」がツボでした。
    なかでも胸を打たれたのは、「結ばれなかった初恋の人へ宛てた手紙」
    相手の現在の幸福を願いつつ、自分は元気で生きているとだけ伝えたい。せつない…。
    あと、「天国の夫からの恋文」もよかった。
    他にも、借金の断り状や離婚のお知らせだったり、いろいろあって。

    鳩子の周りにいる人たちがみな温かくて、
    人とのつながりの大切さが心にしみます。

    ただね、先代の手紙を読んだときの鳩子が、あまりにそっけなくてつらかったです。
    先代としか呼べなかった祖母との関係性や、鳩子の心の傷はわかるんですが…。
    最後の涙はどうかおばあちゃんに届いていてほしい。

    あまり書かなくなってしまったけど、手紙っていい…。
    そしてやっぱり自筆の手紙がいいなぁ。
    心が伝わる気がするんですよね。

    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは♪

      コメントありがと~!
      お返事遅くなってごめんね。

      私ね、正直言うと小川糸さんに少し苦手意識があったの...
      けいちゃん、こんばんは♪

      コメントありがと~!
      お返事遅くなってごめんね。

      私ね、正直言うと小川糸さんに少し苦手意識があったの。
      初めて読んだ『食堂かたつむり』が無理で途中下車したり、
      そのあとも何冊か読んだんだけど…。
      これも全部温かいというわけじゃなくて、少しせつなかったりもするんだけどね。
      だから、けいちゃんの「ちょっと違う」って感じよくわかるの。

      この本は、今まで読んだ小川糸さんの中で一番好き。
      鎌倉のしっとりとした風景が素敵だった。
      そういえば大河ドラマの「草燃える」好きだったなぁ。
      大河好きなけいちゃんならきっと知ってるね。
      それに文房具がたくさんでてくるのがうれしくて~。

      いつか読んでくれたらうれしいな♪
      2016/09/10
    • koshoujiさん
      お久しぶりです、うさこさま。
      半年ぶりにレビューを書きました。
      とは言っても、映画「君の名は」が、余りに良い作品だったので、
      その感想...
      お久しぶりです、うさこさま。
      半年ぶりにレビューを書きました。
      とは言っても、映画「君の名は」が、余りに良い作品だったので、
      その感想を小説版のレビューに書いただけですが。
      読んで頂ければありがたく思います。
      さらに、「君の名は」に出てくるシーンの実際の場所の写真などはブログのほうに掲載し、
      コメントもありますのでそちらも結構面白いのではないかと。
      よろしくお願い致します。<(_ _)>
      いやあ、仕事が本当に忙しくてね、大変なのですよ(笑)。
      2016/09/19
    • 杜のうさこさん
      koshoujiさ~ん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      嬉しいです。
      待ってましたよ~!
      お忙しいと聞いてはいても...
      koshoujiさ~ん、お久しぶりです!
      コメントありがとうございます。
      嬉しいです。
      待ってましたよ~!
      お忙しいと聞いてはいても、ブログの更新もしばらくなくて心配してました。
      以前、無理して(お仕事+多趣味アレコレ)体調を崩されたとおっしゃてたし…。
      でも、先日の記事で一安心していたところでした。

      早速、おじゃまします♪
      2016/09/20
  • 伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。鎌倉を舞台にした心温まる物語。
    送る側、貰う側みんなの幸せを心から願って今日も代筆屋ポッポちゃんは手紙を書き〼。

    家族、親友、元恋人、離婚した人からの代筆依頼。貰って嬉しいだろうなと思う依頼内容もあれば、私がもらったらどうしようと思うような依頼内容もあって…ドキドキ。
    ポッポちゃんが書いた手紙はそれぞれ全然違って、だけどどれも優しくて、読んだ後清々しい気持ちになれました。

    手紙って凄いな。便箋選び、筆選び、切手選び素敵だな。誰かに手紙を書きたくなる…だけど、おもじの私には無理。

    登場人物もみんな素敵。豪快な男爵、しっかり者のパンティー。そして、バーバラ婦人。
    「あんまり幸せすぎると、なんだか最近、悲しくなっちゃうのよ」凄くわかります。切ないです。

    食べ物の描写がまた美味しそうで(*≧艸≦) お稲荷さん、バウムクーヘン、おにぎらず…
    「鰻重は別腹だった」と言えるポッポちゃんおそるべし!

  • NHKドラマを先に見て、あまりに優しくて美しい世界観に何回も泣きました。
    絢香さんが歌う主題歌も鳩子の気持ちに寄り添っていて、今でも聞くたびに私のこころはツバキ文具店の世界に舞い戻ります。

    原作も、想像の何倍も美しかった。
    鎌倉で暮らす、夏から始まる一年。
    いくつかの後悔を抱えつつ、代書屋を営む鳩子。

    溝を埋められないまま先代を亡くしてしまった鳩子の心中ははかりしれないけれど、生前の先代が紡いでくれた人との縁が、鳩子に先代の愛を教えてくれた。
    そして鳩子が代書屋を継いで出逢った人たちの存在は、鳩子に居場所と自信を与えてくれた。

    人生の後悔とどう向き合うか、どう乗り越えるか。とても難しいことだと思う。
    でも、後悔の無い人なんていない。
    その後の鳩子の人生が、穏やかで、幸せに溢れてるといいなあ。

    …そう思って本を閉じました。
    早く、キラキラ共和国読まなくてはっ!

  • 雨宮鳩子。ニックネームは「ポッポちゃん」
    ツバキ文具店の店主にして、江戸時代から続くとされる代書屋の十一代目。

    「先代」から引き継いだというより、仕方なく再開した代書屋。
    先代はポッポちゃんの祖母。
    「おばあちゃん」なんて甘えられる環境ではなかった。
    両親の顔を知らない彼女にとって、先代とは絶対的師弟関係が存在したからだ。


    一度はタンカを切って飛び出した。
    だが、先代の訃報を受け代書屋を再開することに。

    嫌で嫌で仕方なかった幼き日からの訓練が、ポッポちゃん自身を助けていく。

    次から次へと現れる、ありとあらゆるお客様たち。
    一つとして同じ悩みはない。

    人生なんて後悔の連続。
    せめて一筆、手紙でもかけたなら。

    そんな悩みに寄り添って、心尽くしの文具を使い、切手1枚にもこだわり抜く。

    手紙は指先一つで消去などできないのだから。

    そんな人生の節目の小さくて大きな力の代筆屋。


    「過去と他人は変えられない。しかし、未来と自分は変えられる」(カナダの心理学者 エリック・バーン)

    助けたつもりが、助けられている。
    人生なんてそんなもの。

    ほんの少しの気遣いと、真心と、決断と。

    今ここにあるものを大切に生きることで、きっと人生を変えていくことができる。

    そう思わせてくれる、優しくて力強い一書。

  • 鎌倉の文具店を舞台に、そこで生活するポッポちゃんこと鳩子の日々の丁寧な暮らし。
    穏やかな時間の流れは凄く心地良いのだが、私の事情で疲れてる夜に読むと心地良さが眠気を誘い前半は読むのに苦戦。
    休みの日に一気に読み切った。
    こういう本は休みに読むべしと心に誓った。

    私情はさておき、本当にいいお話だった。
    先代との苦い思いがずっと心の中にあって、鎌倉のいろんな人に出会うたび、そしていろんな人の代筆をするたび思いが変化していく。

    私もバーバラ婦人伝授のキラキラをやっていきたいな。

  • 読みながら少しずつ私の心と身体の中が、何か温かいもので満たされていくのを感じた。
    遠い昔にどこかで失くした小さな宝物のような、そんな大切ななにかで満たされていく。
    そして、最後の最後に、その温かいものたちが私の瞳からあふれだし、声をあげて泣いてしまった。
    あぁ、そうだ。この温かさは懐かしさであり忘れてはいけない人への想いだったんだ。
    もう2度と会えない人に、あのとき伝えられなかった言葉。もしも少しだけ時間がずれていたら、もしも奇跡が起こっていたら、もしも…
    そんなもしもに押しつぶされるように心から押し出して見ないようにしていた想い。
    どうせ伝えることなんてできないのだからと忘れていた想い。
    そんな想いたちを手紙に書きたい。いつか私も歳を取ってここから去る時が来たら、一緒に持って行こう。
    長い長い手紙を書こう。ありったけの思い出を書こう。そして「ありがとう」の言葉を最後に添えて。

  • ドラマ化で知って借りました。
    小川糸さん、読むのは初めてです。
    「食堂かたつむり」は映画を観たことがあり、不思議な世界を描く作家さんなんだなと思っていました。
    なんとなくだるくなりそうな作風かと思って敬遠してましたが、読んでよかったです。
    心が洗われる、とてもいいお話でした。

    鎌倉の古い文具店で祖母に育てられた鳩子(ぽっぽちゃん)。祖母(先代)は文具店を営みながら、人の手紙を代筆する代書も請け負っていました。
    先代の死後、代書屋を継いだぽっぽちゃんの元にさまざまな依頼人が現れる・・・。

    ただ単に代筆するのではなく、依頼人の気持ちに沿った内容を考えたり、紙の質、ペン、インク、書体、切手、全てにおいて最良なものを選択し完璧な手紙を相手に送る…なんて大変な仕事でしょう。
    すごいなーと思ったのは、鏡文字。実際に書かれた手紙が本の中に印刷されているのだけど、あの長文をあんなに丁寧に書けるなんて。

    手紙のことも然ることながら、ぽっぽちゃんの周りにいる人たち、みんな思いやりがあって温かい気持ちになりました。
    この人たちの存在が全体を柔らかい雰囲気に包んでいるんだなと感じました。

    それにしても出てくる食べ物のおいしそうなこと。
    特に男爵に連れて行ってもらったお店、行ってみたい!
    手紙も書いてほしい。
    そして、待っている間、ぽっぽちゃんが淹れてくれる番茶が飲みたいです。

  • 素敵なお話だった。
    語彙力が足りなかったり悪筆だったりする人のための代筆屋かと思ったら、怒りや悲しみの感情があふれて言葉にまとめられない人のためのものでもあって、それはありだなと思った。
    代筆をするときのシーンが好き。
    最適(と思われる)紙と筆記用具を選び、依頼者の背景や気持ちを思い浮かべて書くところが、緊張感と静寂とが伝わってくるよう。
    いろんな世代の、それぞれ何かを抱えて生きている人々が、心地よい距離感で暮らしている姿がほっこりするというか、うらやましい。

  • 先代から引き継いだ、
    古い家で営む文具店。そして代書屋。
    場所は鎌倉。

    観光客とは一線をひいた
    地元民の主人公ポッポちゃん。

    この感じはやや苦手なタイプだ、
    と読み始めは思ったのだ。

    主人公が完璧すぎる、
    お洒落過ぎる。

    参ったなぁと思っていると、
    ポッポちゃんは、
    元ガングロのコギャルで、
    祖母との折り合いが悪くて
    そのことを後悔していて、
    大人になって祖母にに叩き込まれた字を書くことで生きていて、
    祖母の心の中がつづられた手紙を見て
    いろいろ考えちゃう。

    いいなぁ、人間ぽいなぁ。

    全然由緒正しくないし。

    古い手紙を供養するときに焚火と勘違いしたバーバラ夫人といろんなものを
    アルミホイルに包んで焼いちゃう適当さ、好きです。
    大好きです。人間らしくて大好き。

    数々のお手紙も文具のお話も楽しかった。

    ポッポちゃんに幸多かれ!!!

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著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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