- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408551951
作品紹介・あらすじ
かつて駆け落ちをはかった男の身体を求めながら、娘への虐待を繰り返す妻。ストーカーに怯え、別れた恋人の部屋に飛び込むアラフォー独身女性。元夫からの養育費が途絶え、現実逃避を夢想する母親。妖僧に惑わされるイケメン修行僧…。人生の「果て」に直面し、夜の底で求め合う女と男の、切なく狂おしいまでの生と性を濃密に描きだす7つの物語。
感想・レビュー・書評
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ジェイ・ノベルに掲載された女性作家によるチョイエロ小説のアンソロジー。宮木あや子「天国の鬼」が読みたくて手に取ったのだが、まあ普通。田中兆子「髪に触れる指」が一風変わった女性の性感を描いて秀逸だった。
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女性作家が描く官能小説のアンソロジーだ。
「女性作家が描いた」という冠がなければこれといって特色もなくむしろ小説としてはちょっと古臭いんじゃないかというような設定や展開の短編が多いように感じた。 -
アンソロジー 7作。
意味もわからず大人作品を背伸びして読んでいた頃が懐かしい反面、今は共感できる部分が多いなあと、違う面で感慨深い。
嫌ないやらしさがないのは女目線の潔さから。 -
ホラー系が続いていたので、官能系。
直木賞、R-18文学賞×2、団鬼六賞受賞者を含む、女性作家、七人による性愛小説アンソロジー。
官能としては花房観音『海の匂い』がダントツのトップ。デビュー作『花祀り』の怪僧、秀建活躍の一作。この方の官能シーン描写や、言葉選びは大好物です。現在、秀建で連作短編やっているらしいので、ぜひ、作品としてまとめて欲しい。
今回のお目当てその②、宮木あや子『天国の鬼』は官能とか、性愛とか超えてる。真梨幸子『殺人鬼フジコ~』の「血の業(カルマ)」を思い出した。
そして、直接的な官能シーンがないのに、存在感あったのが、田中兆子『髪に触れる指』。この作家さんも、宮木あや子と同じく、R-18文学賞出身。文章、会話の回し方が、自分には合ってるようだ。
岡部えつ『紅筋の宿』はネットリとした和の倒錯的官能モノ。そこにホラー的フレーバーが絡めてある。
斉木香津『嵐の夜に』、コッチはミステリーフレーバーが絡めてある。体の相性ってあるんだよね。
桜木紫乃『エデンの指図』は、直木賞作家の初読みだけに期待したんだけど、期待値に届かずかな。
まさきとしか『南の島へ早く』。『天国の鬼』同様、母親の生き様を繰り返していたのが…。官能シーンも話自体も少しツメが甘いかな。
全体的に、大ハズレはなし。作品ごとの降り幅もあるし、一作、3~40pで読みやすい。
以上が、アラフィフ近い、オッサンの好みによる簡単な感想。
官能系と思わずに30代中盤からの女性にも読んで欲しい気がする。 -
女性作家7人が描く性愛をテーマにした短編集。いずれの短編も女性ならではの鋭い視点で描かれており、男女の姿を描きつつも、実は男性の哀しい生態を炙り出しているかのようだ。
読んだことがある作家は桜木紫乃と花房観音の2人のみ。やはり、この2人の短編が群を抜いて良かった。
桜木紫乃『エデンの指図』。40を手前にした元ホストの男が本命と浮気の二人の女性の間を立ち回るのだが…所詮、男は本能だけで行動する生き物なのか…
宮木あや子『天国の鬼』。自らに課すべき戒めを娘に転化するかのように実の娘を虐待し、かつての恋人と浮気を続ける若い母親。今の世の中なら、有り得る事なのかも知れない。
田中兆子『髪に触れる指』。結婚を控えている伊藤真音は顔面骨折の大怪我を負い、入院することに。入院先での同級生との再会…許される境界線かな。
斉木香津『嵐の夜に』。アラフォー独身女性がストーカーから逃れるためにかつての年下の男の元へ…
岡部えつ『紅筋の宿』。旅の男が迷い、辿り着いたのは…不可思議でエロティックな短編。
まさきとしか『南の島へ早く』。母子家庭の母親が、はまり込んだ迷路、現実逃避…男が彼女を変えたのか…
花房観音『海の匂い』。真面目な若き修行僧が快楽の世界に堕ちていく姿…相変わらず、花房観音の描く官能の世界は奥が深い。 -
桜木紫乃を読みたくて図書館で借りてみた。
桜木作品っぽいなー、の印象であまり残らなかった。
他の作品はホラーなの?な印象で正直
好きにはなれない‥かな。
宮木あやこ、天国の鬼だけ
他の作品も読んでみようかな?と。 -
どの作品もどこか物足りないような。。。
どちらかというとこういった趣の作品は長編で読んだほうが好きかもしれない。 -
2017 2 22
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桜木さんと宮木さん目当てで読みました。
がっつり官能表現のある作品もありましたが、それだけではなく凝った設定の短編もあり読み応えがありました。
お目当ての宮木さん「天国の鬼」は虐待された過去を持つ主人公が親になり、自身も娘を虐待してしまうという、切ない話だったし、初読みの斉木さん「嵐の夜に」のオチにはそうきたか、となりました。