私の「漱石」と「龍之介」 (ちくま文庫 う 12-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480027658

感想・レビュー・書評

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  • 百閒は、漱石の鼻毛の張り付いた原稿用紙を、大事に保管していた!
    師匠の崇拝ぶりには落涙。

  • 漱石を描く中に、漱石ではなく内田百けんの人柄がよくわかり楽しい。飄々とした人物だと思い込んでいたが、それは後の文体で、結構漱石に影響されていると感じられた。

  • 「亀鳴くや」の最後の文章がとても好き。
    『芥川君が自殺した夏は大変な暑さで、それが何日も続き、息が出来ない様であつた。餘 り暑いので死んでしまつたのだと考へ、又それでいいのだと思った。原因や理由は いろいろあつても、それはそれで矢つ張り非常な暑さであつたから、芥川は死んでしまつた。』
    「亀鳴くや」は春の季語。亀は実際には鳴かないが、。藤原為家の「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり」という和歌から採用されている。

  • 年賀に来るお客に同じ顔をしているといらいらするので、自分のほうからお客に日割りで日を指定し、その日以外に来てはいけないと通告、都合のわるい者は翌年来い、と。いいね、この方法。

    しかし結局都合のわるい者は1人しかおらず、何日もぶっ続けに同じ顔をすることに。
    実に実にヒャッケン先生らしい。

    • たたよんさん
      たなぞうにいたころ、読んだんですけど、ヒャッケン先生の見方っておもしろいですよね。この本を読んで、食わず嫌いだったリュウノスケをちょっと読ん...
      たなぞうにいたころ、読んだんですけど、ヒャッケン先生の見方っておもしろいですよね。この本を読んで、食わず嫌いだったリュウノスケをちょっと読んでみようと思いました。
      2012/04/30
  • 漱石先生大好き百閒。

    芥川との友情がコキンと失われて悲しみの百閒。

    ストレートに表される尊敬・愛情・友情
    こんな師や友に出逢えた幸せよ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/763900

  • 金を借りた方はすぐ忘れると言うけど、相手が夏目漱石だと中々忘れられない出来事になるっていう話。

    色んな所に夏目漱石と芥川龍之介について書いた文章を纏めただけの本なので、同じ話が多くて辟易する所もあるけど、文豪達の日常を垣間見れて興味深い。

    「掻痒記」は読んでるこちらの頭まで痒くなってくる。

  • 内田百閒にハマっている。古本屋でたまたま見つけたので購入した。
    漱石の弟子で龍之介の先輩である内田百閒が、両氏との交友について記したり、語ったりした文章が集められている。動きがあり心がある漱石と龍之介に、僕も触れているような気になるし、やはりユーモアあふれる内田百閒の書き振りも素敵だ。
    近代文学ファン必読の書である。

    備忘録として付け加えたいのが、龍之介の口ぐせがどうやらこはいであるらしい。内田百閒の山高帽子や、気がふれた友人などにこはいよ、こはいよと言っていたらしい。興味深い。

  • 自ら死を選んだ人
    病死した人
    それを見ていた人
    こういう読み方もあるのかと思った

  •  芥川は、ちょっと異常かと思えるくらい、人に甘えることをする。その甘え方が支配的な感じなのだ。そして捨て身的な甘え方なのだ。見た目とかは関係ない。久米だろうが、関係ない。

    「他の友人全員侮蔑しても、君を尊敬する!」とか「学生時代、一番尊敬してたのは君!」とか言いまくる人である。私は、それは同性愛とかではなくて、「イギリスかどこかの外国の手紙の書き方の真似」か「心の病気的なもの」のどちらかと思っている。ゴールズワージーのロマンチックな文章の進め方の翻訳文と芥川の文章がそっくりだったことがあって以来、やはりいつもこの時代の文章を読むにはまず「外国の真似」を念頭に置く。だが、心の病気な気もする。よっぽど家族に気を遣って窮屈に生きてきたのだろう。そういう生き方をすると、他人を肉親のようにしてしまい依存し愛するのか。

     さて、この本にも、その「捨て身」の芥川が現れる。
    P258に、【もう夕方だったかも知れない。薄暗い書斎の中で長身の芥川が起ち上がり、欄間に掲げた額のうしろへ手を伸ばしたと思うと、そこから百円札を取り出してきて、私に渡した。
    お金に困った相談をしていたのだが、その場で間に合わしてもらえるとは思わなかった。
    当時の百円は多分今の二万円ぐらい、あるいはだいぶ古い話だから、もっとに当たるかも知れない。
    「君の事は僕が一番よく知っている。僕には解るのだ」
    と云った。
    「奥さんもお母様も本当の君の事は解っていない」
    それから又別の時に、
    「漱石先生の門下では、鈴木三重吉と君と僕だけだよ」
    と云った。】

     芥川の捨て身依存と、私は名付けているのだが、どうだろうか。正確になんと名付けていいかわからない。今のところ、この芥川の捨て身に言及している論文はあまり見当たらない。あったら教えて欲しい。
     要するに、彼は死ぬまで、ビッチのようだったわけだ。

     ちなみに内田百閒は、芥川だけでなく漱石との色んな話も、よく忘れていることが本著で書かれている。

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