なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
- CCCメディアハウス (2011年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484112244
感想・レビュー・書評
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著作権について学びたい人に一歩目として読み易さ抜群なのでおススメ!私は著作権って堅苦しいけど、理解したいなあと思ったので手に取ったけど、法律のことはきちんと解説に乗っているし、対談形式だから、言葉が比較的に柔らかい、もっときちんと知るにはまた別な本を読もうとモチベーション上がる。
著作権について考える前にお金の価値や通貨の在り方についても触れているので、面白い。
コンテンツが好きな人間にとって、クリエイターの創造に繋がる日々の生活に関わるお金を払ってあげたいもの。
でも、一億総クリエイター時代。しかも稚拙だと思われた一般人の投稿が新たな創作ジャンルを作ったりする。マネタイズは難しいけど、プラットフォームが整って、どうにかより良いコンテンツがうまれる土壌を考えて、検討、検証していってほしい -
デジタル時代の著作権について現状の問題を完結にまとめ、これからの展望への示唆に富んだ一冊。
題名に惹かれた人なら読んで損は無い。
弁が立つもの同士の対談だからとても読みやすく、「全メディアアーカイブ構想」といった思考実験(因みに福井は著作権は社会的思考実験と言う)など思考を促進する刺激的な内容だ。
しかしながら、著作権についての入門というには話が膨らみすぎて、全体像が見えている人でないと本書での議論についていけないのではないかと思った。
何か一冊(それこそ例えば福井 健策『著作権とは何か?』など)を読んでから手に取られることをオススメする。
[メモ]
・日本はコンテンツ輸入国である。
・アマゾンやアップル等の強いプラットフォーム側でも囲い込みが
できなくなる時代が来る。
・ベーシック・インカム制度があればクリエイターは著作権を
主張しなくなる。
・ライブ等でのプレミアム戦略。
・救うべきは貧乏プロクリエイターでなく、趣味で作品を作っている
プチクリエイター。彼らこそが文化の多様性を生み出すので、
制度設計は彼らを中心に考えるべき。
・プラットフォーム側のルールは、法律ではなく、プラットフォーム側が
作っているものなので、注意が必要。実際には法律のようなもの。 -
この本は、評価経済社会を唱える岡田さんと著作権の第一人者の福井弁護士ががっぷり四つに組み合って著作権について語り合う対談本です。著作権入門とありますが、堅苦しいところは全くなく、岡田さんの鋭い「書生論」に対して、福井弁護士が真剣に向き合って回答を出そうとする中で、デジタル化が進展する中で機能不全を起こしている今の著作権の問題点と今後進んでいくであろう姿がおぼろげに見えてきます。特に、岡田さんのぶっ飛んだ発想が面白いです。私的複製が許される範囲として、'自分自身や家族が使うため'という法律上の解釈を逆手にとって、養子を1万人取ったらどうか、などという意見を突然持ち出して、福井弁護士が目を白黒させたり…。
結局、岡田さんも福井弁護士も、よりよいコンテンツが出てきて欲しい、そのためにコンテンツ制作者が生きるために収益を還元する仕組みが必要だという点では同じ考えですが実現する方法論が異なります。岡田さんは、コンテンツそのものから金を得るのは無理、作品の利用はフリーにして評価経済などで作者を支えていく仕組みを別に作るべきだという考えですし、福井弁護士は従来の延長線上で、流通の中からうまく作者に利益が還元される仕組みを作っていこうと考えています。互いに考えは違うものの、相手の言うことを理解しようとする姿勢があるため、とても読みやすくまとまっています。 -
ビジネス
対談 -
本来、著作者の権利と利用者の最大化を目的とした著作権が、デジタル社会によって足かせになってきている現状を踏まえ、その打開策として極論を交わしている。話としては面白いが現実味はほとんどない。個人的にはベーシックインカムをクリエイター生き残り策として挙げているところが面白かった。
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著作権についてアナーキーな考えを持った作者が著作権のプロと対談する。
1.電子書籍の自販はいけないことなのか?
ものすごく便利である。検索などもできるようになっている。
量が多いと自販したくなる。
持ってる本を自分用にコピーは合法。
しかし、業者に代理で自販してもらうは個人の使用の範疇外になる可能性が高い。
今はまだグレーゾーンだが、本来の趣旨からは許されるべきでは。データをばらまくために自販をしているわけではない。
スキャンした後の本は捨てないのいけないのか?
断裁された本が出回るようになるとスキャン業者がすごい勢いでスキャンできるようになる。
業者も廃棄せずにずっと持っているとすると。。。?
複製物を作った時にコピー元がどうなるか。
今は法律では触れていないが、自由度あげる代わりに著作物所持必須にするのもアリかも。
DRMがそれとは逆の方向性。DVDのコピー不可。
そのせいで映画業界は熱心なユーザーを失ったのではないだろうか。漫画のラップも総合パイを減らすような施策。
ブックオフは逆にユーザー増やしてると思う。
自由コピーを許したらクリエイターは食えなくなるのか?
岡田は自由公開にしたことで閲覧ユーザーが増え広告効果が出てきて本が逆に売れた。
ただし、村上春樹まで行くと実物が売れる方がいいだろう。
ただし、電子書籍か珍しいからだろう。みんなやるようになるとどうなるか。
実験を繰り返すことが大事である。
事後検証付きで。
ーーーそもそも著作権はなんのためにあるのか?ーーー
以外と新しい著作権という考え方。
情報をコントロールする権利。
情報は何人で使おうがなくならない。非競合性を持っている。
昔は情報が少なかったので著作権として情報も管理していた。しかし本質的に減らないものを管理する概念がそもそも辛い。
英国式の著作権と大陸式の著作権。
英国式、、、お金さえ払ってもらえれば後のコンテンツはその人自身からは離れる。それがどう使われるかは問題ではない。
大陸式、、、その人自身の、分身のようなもの。
著作権は敵か味方か。
自由流通ができるようになってきた中で著作権は不自由なのではないか。
著作権がなかった時代はどうしていたのか?
パトロンが、サブの仕事とするかくらいしかなかった。
JASRACの場合は何に使うかよりどの曲を何分使ったかが問題になる。
しかし、広告の場合だと著作者人格権に関わってくるので別枠。
今の著作権が中途半端に良いものなので扱いが難しい。
法律を変えていく必要があるかもしれない。
グレーな範囲に手を出してみるとか、通説を作っていくしかない。
ーーーコンテンツホルダーとプラットフォームの戦いーーー
著作権がないとコンテンツ作成者にお金がいかなくなるから面白い作品がなくなるか?
そこはわからない。
程よいバランスをとることが一番である。
日本だとマッド天野事件で元の著作物を作った人が権利を持っていることが判決で決定されてしまった。
アメリカなどの著作輸出国は著作券を伸ばそうとしている。
日本は以外とコンテンツ輸入国である。
コンテンツ輸出国は、著作権を伸ばそうとする。
しかし、輸入は認めないからこれをやりたいなら伸ばしなさい、みたいなことをしてくる。
コンテンツホルダーと、フリーの戦いが発生してくるだろう。
また、コンテンツの流通させるプラットフォームが強くなってきている。
しかし、そのうちどこも囲い込みができなくなる時が来る。
そのうちクリエイターがお金いらないよって言い始めたらあらゆる制限の保持がいらなくなる。
自由に見て欲しいクリエイターはそう言いだすのでは。
そうなるとプロとアマの戦いになってくる。
プロは流通を縛り付け、不便なのでアマの作品をみるとか。
そこで出てくるのが広告モデル。
ーーークリエイターという職業
野球で飯は食えるか?
野球だけで生きていける人なんて一握り。
ただ、野球できるからうちの会社入りなよ、で才能を含む総合的な人格で評価されたらいいのでは?
クリエイターのお金に関わるシステムが今複雑すぎる。
ベーシックインカム的な仕組みがあればコンテンツはフリーになるかもね。
私たちはコンテンツがほしいだけではなくその人たちを応援するという形でもコンテンツを買う時がある。 -
【配置場所】特集コーナー【請求記号】021.2||O
【資料ID】91142437 -
冒頭の書き出し部で岡田斗司夫氏が「21世紀はネットワークとコンテンツの時代」だと言っているのにまず同感をした。そして、読み進めるうちに様々な視点でぶった切られるコンテンツのあり方、著作権のありかた。それに対し、冷静かつ優しい視点で広く法律からの視点を提供してくれる、福井健策氏の対談が一気に書籍を読みすすめる力をあたえてくれる。法律という皆が基準とするルールがなければ、岡田斗司夫氏の言うようなやり方で新しい経済活動が勢い良く進むんだろうな。と個人的に思いながらも、フリーダムすぎると一部の理解者しか活動に参加できず、ルールで縛りすぎると多くは参加できるが面白味がなくなる。国作りもコンテンツ作りも同じ課題にぶち当たるものだなぁ。と改めて思いにふける。
変な噂で食わず嫌いになっていた岡田斗司夫氏に初めてまともに向き合えたきっかけの書籍。しばらく岡田斗司夫氏の動向に注目したい。 -
【共著: 福井健策】