- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017484
感想・レビュー・書評
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遺伝子治療にフランス詩人と難しそうなテーマに腰が引けてしまいそうだが、展開もスピーディーでテンポよく読める。一昔前のユーモアミステリーのような凸凹私立探偵が暗くなりがちなテーマをうまく料理していた。どんでん返しも用意されていたが、そこは予想の範疇だったのが残念。ただ提示された謎の全てが最後で綺麗に解決を見せる丁寧さは好感が持てる。ミステリーとはあまり関係ないが癌の辛さの叙述が印象的でどうしても忘れられない。
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フランス語など習ったこともない不登校中学生の僕が、なぜ、サイト<ランボー・クラブ>のトップページに掲げられたフランス語の詩を読めるのだろうか?
僕はいったい誰なのか?
ある日、ランボーの詩が書き換えられ、その詩が暗示する殺人事件が・・・。
子供のころの記憶との齟齬を感じ、自分に自信のもてない色覚障害の少年サイドと、
人捜しの依頼をうけ、東奔西走する体育会系の女探偵サイドで話がすすんでいきます。
重苦しい少年パートと元気な探偵パートといったふうにメリハリがあって、読みやすかったです。
序盤から、少年に何かがあり、母が何か秘密を抱えているのが明らかで、誰も彼もがあやしくてぐいぐい読まされてしまいました。
そして少年と探偵が真相に気付くあたりの伏線も巧かったです。
ただラスト、一番盛り上がるはずの謎解きがやや説明調だったり、犯人がいかにもな行動や告白をしちゃうので萎えてしまったのが残念。
あと、今回も密室トリックがありましたが、そういうトリックを無理に盛り込まないほうがすっきり楽しめたかな。
ホワイダニット、ホワットダニット作品としてはじゅうぶん楽しめる作品でした。 -
がんを治す遺伝子。身分すりかえ。
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こう、視点がふたつある話は、なんというか不安定だ。
左右の目が、別々の方向を向いているような気持ち悪さがある。
とはいえ、話は面白かったです。
密室あっさり解けすぎだろうと思ったりもしましたが、メインはそこではないですしね。
いやあ、人間関係って面倒ですねぇ。 -
2011/07/27 読了
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推理させる気のないトリックと意外性の無い犯人。
それでも、全体として話は面白く感じた。 -
自分自身の過去を探るミステリに、さらなる事件が絡んできて読み応えたっぷり。見立てもあるし、要素は充分ですねえ。
この犯人のしようとしていたことにはぞっとしました。でも人のため、という風に説得されれば、あの人のように手を貸してしまう人もいるんだろうな。善意なのか悪意なのかなんて、見分けがつくはずないし。それが一番悲しくて怖かったなあ。 -
ランボーの詩篇を象徴的に使ったりと、散りばめられた小道具に謎めいた雰囲気だけは魅力的だったものの、肝心の語りの部分が今一つだった。当事者である菊巳パートと探偵役を務める探偵の麻理美パートの視点とが入り乱れ、もうちょっと上手く行かなかったのかなあと思う。 「自分が何者なのか」菊巳が自分のルーツを探るサスペンスフルな青春小説として、途中まではいい感じだったんだけどなあ。このラストは、あんまりだ。 個人的には「××××、アンタがちゃんと説明さえしていれば、人死になんて出なくて済んだのに!」と、小一時間ぐらい説教したい気分。それにしても、気が長すぎるほど長すぎる話だー(苦笑)。
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確かに「腑に落ちる」結末ではあるんです。きっちりと丁寧に作り込んでいるという事も、よくわかります。しかし、です。フィクションがご都合主義の積み重ねである事はわかっているつもりでも、どうにも不自然さが鼻につきます。読後の爽快感がありません。残念です。