その死者の名は (創元推理文庫 M フ 13-5)

  • 東京創元社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488159207

感想・レビュー・書評

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  • トビーとジョージの主人公コンビはホームズ=ワトソン、ウルフ=アーチーとは違う新しいパターンで、この真価は解決後のどんでん返しでうまく表されている。バークリーの毒入りチョコレート事件というよりは、その原型の短編である偶然は審くを想起させられた。被害者は誰なのか、事故なのか殺人なのかといった謎に同じ調査をした二人の探偵がどのような解決を示すか、といったところ。二人のコンビ者はあと4作あるが、今後このパターンを踏襲するのかどうか?

  •  これはまた古き良き時代の英国ミステリ。深夜に路傍に寝っ転がっている男を偶然車で轢き殺してしまったものの、顔がつぶされて被害者が誰だかわからないという面妖な田舎の事件を、地元の警察や通りがかった記者だのがのんびりと捜査する。事件や謎解きはともかくとして、探偵役として登場するトビーとジョージの二人組の活躍が読みものだ。こういう掛け合い漫才のような素人捜査チームはホームズとワトスンの時代から定番ではあり、ああこれどっかで見たなと考えてすぐにクレイグ・ライスのビンゴとハンサムを思い出した。似てる似てる。1940年の作というからライスより少しこっちの方が先のようだけど。何かと先走るトビーよりボケ役のジョージの方が実は鋭いところもよく似ている。狭い村の事件なので被害者はすぐにわかってしまうところをうまいこと二転三転させた結末はなかなか見事で楽しめる。

  • 3+
    エリザベス・フェラーズを読んだのはトビー&ジョージ・シリーズの「猿来たりなば」以来、2作目。本書は同シリーズ1作目で著者のデビュー作。「猿〜」ではトリックや動機などこねくり回した感じがなかなか面白かったのだが、登場人物が皆エキセントリックで、ユーモアなのかクレイジーなのかつかみ難いところがあり、主人公コンビの性格すら結局よくわからなかった。本書を読んで、あれは著者流のユーモアなんだなと改めて認識したところ。最終的に明かされない謎もあるが、トビーがあんな性格なんだから仕方がないというところで一応整合性も取れているような気もする(すっきりはしない)。タイトルの通り、その死者の名も気になるけれど、一番気になるのはジョージの本当の名前だというところに洒落が効いている。

  • 内容的には今まで読んだ4冊の中で一番楽しめた。それというのも、読んだ後に結末に納得できなかったというか、ちょっとそれはないんじゃないのダイクさん?てな気持ちがあったからだと思う。とくに最後に電話をかけてわざと追い込んだあのやり口・・サムじゃあないけど、ちょっとひどいよ・・そんなのってない。

    これまでのトビー(これが二人の最初の事件ってあるから逆にキャラは掴みやすくなってるか?)と4作目を読んで、別の、これまで見なかった彼の側面を見れて嬉しかったし、まあ今回のことで、何を考えてるのかわかんない、残酷なとこも彼の魅力の一つなのかね。

    これはネタバレになっちゃうかもだけど、まずローズについて最後まで悪く書かれてなかったし、それでトビーをひどく言っちゃうのかも。

    そして次でいよいよこの名コンビともさよらなと思うと、永久に読みたくない衝動にかられる・・
    いや、読むけどさ!

  • 「わかってる、わかってるさ、きっと小さいころに真っ暗な戸棚に閉じこめられるとかして、ああいう性格になったんだろう。しかしね、誰かを中傷するなら、その根拠を調べられる覚悟は必要だ。」p91

  • アンナ・ミルンが引き殺してしまった謎の男。泥酔していたが村の酒場には立ち寄った後はなく死体の近くに酒の瓶もない。瓶を探す警官に声をかけた事から事件に首を突っ込んだトビーとジョージ。アンナの娘ダフネと恋人エイドリアン・ローズ。アンナとマックスウェル少佐の関係、マックスウェル家の息子と思われた遺体の正体。南アフリカに隠された過去。トビーの元に届けられる密告の手紙。

    船橋図書館

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著者プロフィール

本名モーナ・ドリス・マクタガート。別名義にE.X.フェラーズ。1907年、ミャンマー、ヤンゴン生まれ。6歳の頃、英国へ移住し、ロンドン大学でジャーナリズムを専攻。1930年代にモーナ・マクタガート名義の普通小説で作家デビューし、ミステリ作家としては、「その死者の名は」(40)が処女作となる。英国推理作家協会(CWA)の創設メンバーとしてミステリの普及に尽力し、1977年にはCWA会長を務めた。代表作に「猿来たりなば」(42)、「カクテルパーティー」(55)など。95年死去。

「2020年 『亀は死を招く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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