放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)

著者 : 相沢沙呼 市井豊 鵜林伸也 梓崎優 似鳥鶏

• 東京創元社 (2010年11月28日発売)

感想・レビュー・書評

[たまもひさんの感想 · 2011年3月2日]

新進作家五人による学園ミステリの競作集。梓崎優作品の絶賛評を雑誌で目にして、読む気になった。確かに独特の叙情と意外性があって面白い。これからどんなものを書いてくれるのか楽しみだ。でもこの人ちょっと褒められすぎという気もする…。

[ともさんの感想 · 2011年2月22日]

東京創元社の顔見世興行的な一冊。
東京創元社からデビューした、もしくはデビュー予定の新人推理作家５人による学園ミステリ集です。

似鳥鶏「お届け先には不思議を添えて」
こういうトリックものだったとは。嬉しい驚き。
シリーズの登場人物のようで、ちょっと他の作品が気になりました。

鵜林伸也「ボールがない」
東川さんの鯉ヶ窪学園シリーズを思い起こさせる、野球部員たちの軽妙かつ論理的なやりとりが楽しかったです。

相沢沙呼「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」
学園モノらしい甘酸っぱさ。主人公の痛さ加減といい、米澤さんを思い出しました。

市井豊「横槍ワイン」
脱力の真相ですが、これまたとっても甘酸っぱい作品でした。

梓崎優「スプリング・ハズ・カム」
この作品集中、唯一作品を読んだことがあり、一番楽しみにしていた作家さん。
犯人の意外性はないけれど、そこ以外の仕掛けで驚かせてくれました。
期待通りで満足。
いまは初の長編を執筆中とのこと。こちらも期待してお待ちしております。

学園モノという縛りのため、どれも日常の謎的な作品ばかりだったのがちょっと残念。
ガチンコな本格を読んでみたかったなぁ。
ですが、これはこれで面白い企画でしたし、みなさん丁寧な作品ばかりでどの作品も好印象でした。

[mametarou77さんの感想 · 2011年2月17日]

読了、御祝儀的な面も込めて85点。

**
若手新人作家の送る、学園ミステリーアンソロジー。
全5編。
**

あはっ、紹介する事が非常に少ない、小説の裏表紙の作品紹介も殆どが、『○○』で話題になった作家の××、という形で紹介文が続きます。
だって書籍刊行前の作家さんから、多くて3冊ぐらいの作家さんしかいないんですよ。
だから応援したくなっちゃうわけです。こういう企画は大好き、またそういう企画をしてくれる東京創元社さんも好き。

さて、小説の話。
各短編は学園ミステリーというカテゴリーでは括れますが同じ舞台を使い回している訳じゃないです、というか自分の小説の設定を用いているのがおそらく2編。
どうせなら同じ学校、近しいキャラで書いてくれていたら純粋に評価がもっと高かったのにとか、、、ちょっと要求厳し過ぎかな。

印象に残った短編としては
鵜林 伸也「ボールがない」。
ロジック的な展開はかなり綺麗に纏められている上にオチがあ～、青春です、甘酸っぱいですと。

あと似鳥鶏「お届け先には不思議を添えて」。
トリックはまぁ、ど~でもいいというか何と言うか、そういう作品だったんですが、最後のビデオのシーンがツボに嵌っちゃった。


短編は全部で5編だった訳ですが、東京創元社で、若手作家、学園ミステリーなら七河さんにも書いて欲しかったかなとか思ったり。
あとこの小説の各作品の区切り毎にイラストがありましたがどのイラストも良い味がありました。
でも一番良かったのはシライシユウコさんの表紙絵、結構印象的でしたが後で調べて分かったところだと、『少女禁区』(http://booklog.jp/asin/4043943881)のイラストも手掛けておられる御様子。
好みの絵だわ。


でもってここで書いた作家さんを現在追っかけ中。
ひとまず似鳥鶏さんの3作品は読了。まだまだこれから上達していくかな、して行って欲しいなと思いつつもお勧めです。

[naminnieさんの感想 · 2011年2月4日]

アンソロジーなので、引用なし。

どの作品も良かった。
最初は、新人さんだらけだけど、Ｋ島さんがオススメしてたし、と思って、
買ったのだけれど、期待も薄かったからか、結構満足感は高め。
なかなか、面白かったのであります。

そして、何よりも、私は一番最後の梓崎さんの作品に不覚にも涙が。
お見事でした。
最後にふさわしい大型新人、なのでした。

こういうアンソロジーいいなぁ。。
しかし、もうこういう作家さんたちが皆私よりも若い・・・。
当然っちゃあ当然なんだけれど、愕然としてしまう・・・あうあう。。。

【1/26読了・初読・個人蔵書】

[横溝ルパンさんの感想 · 2011年2月1日]

５人の作家さんによる、学園ミステリーのアンソロジーでした。
それぞれに味わいどころが違って、なかなか楽しませてもらいました。
拙さを感じる部分もありましたが、この作家さんたちがこの先どんな風に成長してゆくか楽しみです。

[船橋浩司さんの感想 · 2011年1月25日]

新進気鋭、またはデビューを控えた若い８０年代生まれの推理作家５人による、学園ミステリーの短編集。

一人しかいない美術部員葉山君と、この春卒業した博識のOB伊神さんの名コンビが活躍する『お届け先には不思議を添えて』。

練習中に消えたボールを探して、一年生野球部員とマネージャー達が知恵を絞る『ボールがない』。

バレンタインデーの学校で、生徒の荷物の中から抜き出されたチョコレートが教卓の上に積み上げられた…という珍事件の真相を、女子高生手品師酉野初が看破する『恋のおまじないのチンク・ア・チンク』。

大学の同好会の映画鑑賞の最中に発生した、部員の女の子の顔にワインが浴びせかけられる事件。“聴き屋”こと柏木と恋する後輩、津田が謎解きに挑む『横槍ワイン』。



同窓会の席上、１５年前の高校の卒業式で起きた放送室占拠事件の謎解きに同窓生達が挑む『スプリング・ハズ・カム』。

こうしてあらすじ(一作目は登場人物紹介のみですが)を５つ並べると。読了後の興奮がまざまざと蘇ってきます。僕にとっては『珠玉の短編集』でした。

学校生活の日常を舞台とした、どこかほのぼのとした明るい雰囲気の中にありながら、奇をてらう事無く正統派“推理小説のルール”に乗っ取ってフェアなミステリーを魅せてくれている。５作品に対する僕の素直な感想です。個人的な好みで言えば、一番最後の『スプリング・ハズ・カム』が読後の余韻なども相まってとても好きですね。

参加５人の中で過去に作品を読んだことがあるのは似鳥、相沢先生のみ。他のお三方の作品も今後絶対に追って読んでみたい！と思わせる、面白さと魅力に溢れた一冊です。お勧めです。

[oto1002さんの感想 · 2011年1月23日]

こういう、短編集の特徴として、何か本を出していて、その話のオマケみたいなものがちょくちょく載ってるのを見るけど、これは半分がそれだったので、新しく作家探そうとしていた自分は少し残念だった。しかし、まぁ話自体は面白いものが多かったので☆4つで

[mui-muiさんの感想 · 2011年1月15日]

若手のミステリー作家5人による短編集。タイトルの通り、全て学生を主体に据えたストーリーです。
この本では、個人的には梓崎 優の作品に触れることが出来たのが収穫でした。ミステリーとしてそれほど捻った謎ではありませんでしたが、物語の運び方や各シーンの描画秀逸でした。悲しみと優しさをない交ぜにしたようなラストシーンは身震いしました。

[雨兎さんの感想 · 2010年12月30日]

楽しみに旅行本としてとっておくのだ。
熟成しろよーいいこいいこ。

面白かった。
実際高校生の話は少なかった。
最後の話はあんまり好きでないなぁ。
なんか、ミステリぽくない。
噛みごたえのない綿あめみたい。
作りすぎてて…

[bambooo813さんの感想 · 2010年12月30日]

梓崎作品のクールな文体。
甘酸っぱくて胸を締め付けられる切なさは変わらない。

著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium　霊媒探偵城塚翡翠（1）』 で使われていた紹介文から引用しています。」