新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488422028

感想・レビュー・書評

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  • 4-

  • 記録

  • BAR形式で繰り広げられる歴史談議。フリーライター。
    美人教授。バーテンダー。いつもの3人にゲストで4人。
    謎解明も最もらしく聞こえてくる。ひと休みが出来る小説。

  • 解説:新保博久

  • 鯨統一郎氏による「世界の七不思議シリーズ」が現時点(2017.3)で三冊でていますが、その二作目にあたる本です。最初に三冊目を読んでしまい、主人公の宮田とヒロインの静香が、一作目とは打って変わって、恋人のような雰囲気になっていて、何が起きたのだろうかが知りたくて読みました。

    その成り行きについては本を読んでいただくとして、この二作目も世界の7不思議について、主人公の宮田が素晴らしい考え方を披露しています。取り上げられた七不思議にすべて、何等かの形で日本が絡んでいる可能性があるなんて、読んでいて面白いですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・ソクラテスは文字を知らなかった、ソクラテスは一冊も著作を残していない、業績はプラトンが書き記したもの(p51)

    ・17世紀初頭オランダ人はマンハッタンの土地を買う際、ネイティブアメリカンの酋長に酒を飲ませて、泥酔状態にして有利に契約を済ませた、マンハッタンとはネイティブアメリカンの言葉で泥酔という意味(p56)

    ・桓武天皇が長岡京から平安京に遷都したのは、延暦13年(794)である、平安神宮は平安遷都を行った桓武天皇を祀るために明治28年に創建された、平安京最後の天皇は東京遷都を行った明治天皇(p57、59)

    ・エジプトの女王はみんなクレオパトラというから、有名なアントニウス妃は、クレオパトラ7世ということになる(p115)

    ・第4王朝の最初の王・スネフェルは少なくとも3つのピラミッドを作っている、ピラミッドは王の墓ではなさそうだ、王の中にミイラもないし(p137)

    ・ジェセル王は、氾濫を起こさせるためにピラミッドをつくった、ナイル川を制御するために、ピラミッドは大きくなった、ピラミッドは山の形(メタファー)である(p153)

    ・ベルモットとはリキュールの一種で、ワインに種々の薬種成分をしみ出させて作る。ベルモットの配分量によって、ドライ・エクストラドライ・スイートなど、様々なマティーニが出来上がる(p173)

    ・桃太郎も一寸法師も、船に乗って敵地に乗り込み、そこに住んでいた鬼を退治して幸せに暮らす。創世記のノアの箱舟の一節と似ている。神はノアとその子らを祝福し、彼らに言われた(中略)生きて動いているものはみな君たちの食糧にしてよろしい(p196)

    ・始皇帝が中国を統一したおかげで、それ以降、中国は一つ、という思想が確立した。文字、度量衡、貨幣が統一されて、いわゆる中華思想に繋がった、貨幣は刀銭、布銭、円孔円銭、貝貨等(p206、229)

    ・始皇帝は政策を決定するにあたって、3種の知識層の意見を参考にしていた。法吏(法律を重んじる法律家)、方士(不老不死の薬を求める神仙思想家)、儒生(孔子に始まる儒教を標榜する思想家)である。(p211)

    ・江戸時代の三大珍味とは、肥前のカラスミ・越前のウニ・三河のコノワタ(ナマコの腸の部分を塩辛にしたもの、それ以外はニノワタ)である(p217)

    ・殉死が当たり前の時代に、それを行わないで兵馬俑を作った始皇帝は善意の人である、日本で殉死廃止令がでたのは江戸時代、インドではつい最近まで寡婦殉死の風習があった(p234)

    ・7月15日に修行者たちに食べ物を供すると、供養した人の先祖の霊が、苦しみから解放されるという信仰が始まった、その苦しみから母親を救い出した日蓮が雀踊り(こおどり)したのが盆踊りの始まり(p247)

    ・簡単な度量単位とそれを測る器具さえ持っていれば、巨大な絵を描くことは可能である(p266)

    ・海胆(うに)と書くときは「生うに」を、雲丹(うに)と書くときは加工品を表している(p267)

    ・ナスカの地上絵は、天に昇った祖先の霊が、地上に降りてくるための目印であった(p274)

    ・日本でもお盆には祖霊が帰ってきやすいように、動物たちを象ったオブジェをつくる。精霊馬といって、キュウリとナスに割りばしを刺して、馬と牛に見立てる。キュウリが馬、ナスが牛。霊が馬に乗って少しでも早く着くように、終わったら、牛のようにゆっくりと帰っていくようにという願いが込められている(p275)

    ・渋谷にあるのは「モヤイ像」である、昭和55年新島の東京都移管100年を記念して新島から渋谷区に贈られた。イースター島の「モアイ」と共同作業をするという意味の新島の言葉「モヤイ」をかけたネーミング(p281)

    ・イースター島はチリ共和国の領土、オランダの提督により命名されたのは、発見された日が4月5日(1722)の復活祭だったから、公式名はバスクア島である(p296)

    ・島で一体だけ、目玉を嵌め込んだモアイ像が残されている(p293)

    ・モアイ像は海の彼方を見ている、それは遠いふるさとに思いを馳せる望郷の表情に見える、陸に向かっているモアイ像は、罪人を見張っている監視員である(p307)

    ・ポリネシアから海に出た人々は、日本では奈良や鎌倉の大仏をつくり、イースター島ではモアイ像を作った(p310)

    2017年3月26日作成

  • 誰もが知り、疑問に思う、世界の七不思議について独自の解釈で解き明かします。でも、その謎解き自体は楽しいのですが、いかんせん登場人物の毒舌に辟易。それが親愛の情ってことなのかもしれませんが、読んでいてその辛辣さに疲れます。なのでこれ以来この人の本読まなくなりました。なんか合わない…。それをぬかせば好きな内容なんだけどなあ。

  • スリーバレーというバーで繰り広げられる、歴史のバトル。
    そのシリーズの2作目。

    アトランティス大陸
    ストーンヘンジ
    ピラミッド
    ノアの方舟
    始皇帝
    ナスカの地上絵
    モアイ像

    それぞれの謎について、登場人物同士の口論を交えながら、独自の解説で謎を解明していく短編連作。
    実際はどうなのかわからないけど、納得できる説もあり。
    いろんな角度か謎を読めるので面白い。

  • 世界史/ミステリー/短編集
    全く同じ物語構成。謎の選別がユニーク。
    想像力に溢れる解決。
    歴史の勉強になる。カクテルの勉強にも。

  • 「邪馬台国はどこですか?」の姉妹編、ということで、今回もどんな展開になるのだろうとワクワクしながら読み始めましたが…。

    前作より驚きがなかったなあ。

    だって、あんなにいろいろ詳しい宮田さんが、アトランティスを知らないとか、ストーンヘンジって何だい? とか、そんなことを言うだろうか…とまず思ってしまって。

    この人の「知らない」はそれがいつ頃造られて、歴史的背景はどーでこーでとか、そういうのを「知らない」と言ってるんだろうなと思いましたが、モアイ像が「どこにあるんだい?」と聞かれた日にゃあ…。

    まあ、「知らない」と言わせておいて、他の人にその説明をさせて、読者にもわかりやすくしてくれてるんだろうなとは、思いましたけど……。

    歴史ミステリの他にも、いろんな雑学が披露されているので、そのあたりは「へえ〜」と思いながら読みました。

  • 世界歴史ミステリ。

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著者プロフィール

鯨統一郎
一九九八年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。大胆な歴史解釈から、日本の常識を覆す独自の作品が話題を呼ぶ。以来、歴史だけではなく幅広い題材を用いて、次々と推理小説を発表している。著書に「喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿」シリーズ、「ハウスワーク代行・亜美の日記」シリーズ、「女子大生桜川東子の推理」シリーズ、「歴女美人探偵アルキメデス」シリーズ、『タイムメール』『女子大生つぐみと古事記の謎』『作家で十年いきのびる方法』など多数。

「2022年 『カルトからの大脱出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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