魔法飛行 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M か 3-2)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 256
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488426026

感想・レビュー・書評

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  • 前作同様、一つ一つの短編が物語として独立しており、最後に一冊を貫くストーリーが完結する。
    ただ、前作は本当に最終話で目を見張らされたけど、今回は意味深な手紙を接着剤にしてあって、ラストにくるまでがぐらぐら不安定な感じ。まあそうなるよね、だって前作読んでたら、また最後来るぞ、来るぞって思って読んじゃうもん。
    三部目は、今度は三冊を貫くストーリーが露になるぞ~って期待して読みます。
    その意味深な手紙に駆り立てられて行動するのが駒子さんの素敵なところ。わたしだったら「知らんがな」で終わる。だからわたしの日常には駒子さんみたいな素敵な謎が散りばめられないんだよね。
    MGAの「StaRt」だね。
    幸せな時間をどれだけ過ごせるかは微々たるものでも愛に気づけるか さあ試されよう

  • 大好きな「ななつのこ」の続編。
    再び瀬尾さんと駒子に会えました。
    初めて「ななつのこ」を読んだのが9年前。すごく懐かしい気持ちでいっぱいです。

    今回は駒子が物語の書き手になります。読み手は瀬尾さん。
    伝えたいことを文字にして相手に届ける。それがとても素敵なことだと、改めて感じました。そんなささやかな気づきを与えてくれるのが加納さんの物語です。

    今作も謎をはらんだ優しい日常はそのままに、解説で有栖川さんが述べているように、ロジックにとどまらないマジックに溢れていました。

    表題にもなっている「魔法飛行」がいちばん好きです。
    空を想う力、と書いて空想力。そんな発想をする加納さんの物語は、いつも前向きでひたむき。表紙の絵もいいですよね。
    そして登場人物も相変わらず魅力的でした。

    空を想ってひたむきに生きる。私もそんな生き方をしたい。

  • 駒子ちゃんシリーズ第二弾

  • 日常でのちょっとした不思議を解いていく、という感じもありつつも、ない、これはそうそうない。ないわー、と思ったけど、実はけっこうこういう不思議が自分の周りにも潜んでるかもしれない。チコちゃんに言わせるならば、まさにボーッと生きてるわけじゃないかと。
    そういえばこの前どっかにいっちゃったように思うペンは?とか、最近よく会うあの人は?とか、じんわりと妄想を膨らませるのも楽しいのかも。いや、推理か。
    ていうか坂口さんは単にストーカーであり、妹はブラコンであり、そこだけは、ハッキリさせておきたい。

  • 駒子シリーズ第二段。
    前作、ななつの子からの続編。
    日常で起こる謎をななつのこの作者が解いていくのはおなじみ。
    主人公を監視しているような妙な文章が挟まれていて、ちょっと怖い印象を与える。
    ほんの少し言葉が足りなくて、勘違いしたところからとんでもない方向へ話が進む。
    ちょっと怖くてちょっと切ない、家族や人を大切に思うが故のお話。

  • 『ななつのこ』の続編。駒子の身の回りに起こる日常とそこにある謎を解いていく連作長編。

     駒子の日常生活の描写の穏やかさ、細やかさ、優しい語り口は、やっぱり「これぞ加納作品」だと感じさせられます。読んでいて徐々に自分の精神が落ち着いてくるかのように感じます。
     
     一日の自分の精神状態の上がり下がりを折れ線グラフ化されているとしたら、この本を読んでいる時間は間違いなくグラフは低いところで安定していたと思います。それだけ読者の心を穏やかにさせてくれる作品です。

     駒子と瀬尾さん手紙のやりとりの間に挟み込まれる不穏な雰囲気の手紙、それが、各章とつながり最終章につながってくるのですが、そのあたりの書き方も見事! 文章の優しさだけでなく、こうしたミステリの構成でも見せてくれるのが、さすが加納さん! それまでの章の穏やかさに対して、クライマックスはしっかりと盛り上げてくれます。

     そして、ストーリーはもちろんなのですが、有栖川有栖さんの解説もかなりの名文だと思います! 有栖川さんの解説を読んでいて、本当に人に愛される小説を加納さんは書かれるなあ、と強く思いました。

    1994年版このミステリーがすごい!6位

  • ロマンチックなタイトルと表紙に惹かれて購読。
    ミステリだけど殺人事件が起こるわけではなく、日常の中の謎を追う物語です。
    短編4編から成り、各章の最後で主人公・駒子宛の手紙によって謎が解き明かされるという構成が新鮮でした。
    全然関係ないと思い込んでいた前章のお話が終章の伏線になっていたりして、後でハッとして読み返したり。
    短大の講義に学園祭、クリスマス……どこか懐かしい気分も味わえました。
    可愛い表紙と挿絵もお気に入りです。

    現在発行されている駒子シリーズは3作すべて読みましたが、これが最初に読んだぶん印象も強かったです。

  • ★3.5
    駒子の日常の謎を追いながら、一つ一つが最後にぎゅっとまとまっていく。
    一つの謎について駒子目線からの文章が丁寧で、ゆっくり進む話にほんわかした雰囲気を纏っているけど、いつの間にか一気に底に落とされるような不安や恐怖を感じていたりもする。
    もやもやとゆうよりは、ふらふらという感じ。
    後ろを振り返ったら実は真っ直ぐ歩けていなかったことに気づく、というような、とても不思議な気持ちになる。
    表紙や挿し絵が素敵です。

  • 駒ちゃんシリーズは、文章を美味しく読める。表紙と挿絵もたまらんです。
    一作目とはまた違った雰囲気だったけれど、物語の引力は健在です。面白かった〜。ちょっと夢見心地で乙女チック割増な感じも好きだった。

  • 「ななつのこ」に次ぐ、駒子シリーズの第2弾。
    駒子が瀬尾さんに宛てて書く、手紙のような日常の物語で綴られる。
    彼女の筆致はとてもみずみずしく、私自身も彼女の生活の一部になったかのような感覚を覚え、どんどん惹きこまれていくのを感じる。
    彼女とともに、日常に起こりうる些細な「?」を、ともに首を傾げているような、
    彼女が見る夕焼け空の色、降ってくる綿雪を共に見上げているような、
    そんな、感覚。
    それに輪をかけて物語に私たちをぐいぐいと引っ張り込むのが、間に挟まれる「誰かからの手紙」の存在。
    少し不気味でもあるそれが「結末を知って安心したい」という私たちの気持ちを、ページを繰る手を急かすのだ。

    少しドキドキして、けれどとても面白かった。
    やはり、最後に希望が溢れる物語っていいなぁ。

    • まろんさん
      駒子シリーズ、いいですよね♪
      日々の暮らしを大切にしている駒子が、とても愛おしいし、
      瀬尾さんの包み込むような優しさが、本当に素敵(*'-'...
      駒子シリーズ、いいですよね♪
      日々の暮らしを大切にしている駒子が、とても愛おしいし、
      瀬尾さんの包み込むような優しさが、本当に素敵(*'-')

      そうそう、永遠ニ馨ルさんの本棚を拝見して読みたくなった「四十九日のレシピ」、
      期待通りとても温かくて、感動しました!
      ありがとうございました(*^_^*)
      2012/06/26
    • 永遠ニ馨ルさん
      本当に瀬尾さんの包み込むような優しさって素敵ですよね♪
      コレは次の「スペース」も読まなくちゃ!って気合を入れているところです。

      「四十九日...
      本当に瀬尾さんの包み込むような優しさって素敵ですよね♪
      コレは次の「スペース」も読まなくちゃ!って気合を入れているところです。

      「四十九日のレシピ」読まれたんですね。
      後でまろんさんの本棚にお邪魔させていただきます(*´▽`*)
      2012/06/26
    • まろんさん
      「スペース」も、加納さんらしい仕掛けと温かさがあって、大好きです!
      永遠ニ馨ルさんのレビューを楽しみにお待ちしてますね(*^_^*)
      「スペース」も、加納さんらしい仕掛けと温かさがあって、大好きです!
      永遠ニ馨ルさんのレビューを楽しみにお待ちしてますね(*^_^*)
      2012/06/26
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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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