- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488451011
作品紹介・あらすじ
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
感想・レビュー・書評
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平穏な日々を送りたい高校生、謎に挑みたくないのに挑む不思議なミステリー #春期限定いちごタルト事件
■あらすじ
高校一年生の小鳩君と小佐内さん、彼らはいつも静かに高校生活を送っていた。彼らは中学時代に苦い経験があり、「小市民」のような平穏な日々を送るよう心に決めていたのだ。しかし彼らのもとに様々な相談ごとがされ、事件にも巻き込まれてしまう。青春ど真ん中の高校生たちによるコージーミステリー。
■きっと読みたくなるレビュー
まさに青春時代、一冊丸ごとパステルカラーに包まれたような作品ですね。いつものとおり先生の文章が美しく、読んでいると心地よい世界に誘ってくれます。
さて本作、一番の魅力は不思議な探偵たち。探偵二人っていうと、ホームズ&ワトソン役かなと思いきや全く違う。事件解決のために、能力もあるし意思もあるのに、あえて制御しているという二人。本来探偵役は、人助けのためのあるはずなのに、何故なのか… もちろん読んでいけば理由は分かるのですが、これは策士ですね。こんな探偵たちは見たことがない。
いつもは何もない静かな水面にも関わらず、何かのきっかけで徐々に水面が揺れてゆく。何がでてくるんだ?と気になっていると、やっぱり出てこない。やっと顔出したと思ったら、遠慮がちにひとことだけ言って、水面に戻っていく。
全く力強い主張をしないくせに、読者の記憶に刻まれるという影響力、お見事一本です。
ストーリーは、ポシェットの盗難、美術部に残された絵の謎、ココアの入れ方など、日常で発生した様々な謎に挑んでゆく。これまたひとつひとつが素朴なんですが、謎解きも素朴なんですよ。
もちろん謎解きはロジカルに解かれるのですが、決して派手ではない。それでもしっかり人情味と優しさが溢れていて、何なんでしょうか、このしっとりした気分は。特に終盤の謎解き&二人の関係性の昇華が圧巻でしたね。何なんでしょうか、このエレガントさは。
さすがは米澤先生、有り体な青春&コージーミステリーではない唯一無二の内容でした。続編も期待したい一冊ですね。
■ぜっさん推しポイント
若かりし頃の独特の悩みというのは、淡く切ないですよね。
子供から大人に成長する中で、いつのまにか周りに調子を合わせたり、空気をよんだ発言をするようになる。本作では主人公たちが「小市民」化することで、大人になっていくのですが、なんだか寂しい感じがする…
本作の終盤、親友の健吾君と小鳩君のやりとりは、まさに青春の1ページ。子ども達には成長して欲しいと思うけど、大人になるまで心の機微だけは変わらないで欲しいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前から気になってた「小市民シリーズ」
そもそも小市民シリーズってなんだ?って
思ってましたが、読んで良く分かりました。
氷菓や、本と鍵の季節とはまた違った学園もの
であるものの、
読みやすさや、一種の優しさの様な著者らしさは
しっかりとありました。
夏季も楽しみです。 -
小市民を目指す高校1年生の、頭のいい小鳩くんといつもその後ろに隠れている小佐内さんのペアは、恋愛関係ではなく互恵関係。目立たない高校生活を望んでいるが、いろいろな問題が降りかかってきて、小鳩くんはつい推理をして解決してしまう。一見、ほのぼのした日常の推理もののように見える。ところが、小佐内さんの自転車が盗まれたことが解決していないなあ、そのまま泣き寝入りなんだと思っていると、最後の短編で思い切り打っちゃられるのだ。米澤穂信さん、なかなかやるね。
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小市民シリーズ1作目。古典部シリーズとはまた違った味わい。小市民でありたいのにそうならない二人の日常が面白い。
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古典部シリーズに続いて小市民シリーズを読んでみた。同じ学園物だが、こちらは小市民を目指す二人の男女の背景が暗く重い。恋愛関係に無い二人は互恵関係で助け合う関係。学園物なので、死体が出ないのは良いが、小さな事件ということか。このシリーズはあと2冊購入しているが、気が重い。
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評価は星3としたが3.5ぐらい
古典部シリーズが好きな人は小市民シリーズもハマると聞いたので読んでみました。
正直、読む前から期待値を上げすぎました笑
たしかに古典部シリーズに相通ずるものもありました。
「互恵関係」とはまた面白い設定を思いついたことです笑
決定的に違うのは奉太郎は、千反田の好奇心を満たすための答えを出す(推理が本当に当たっているかどうかは曖昧)のにたいして、小鳩くんはしっかり理詰めで謎を解いていく点です。
どちらも日常ミステリなので、その辺は好き嫌いが分かれると思います。
ただ読んでいて、小鳩くんが謎を解決するにあたって納得いかないところもあったので個人的には古典部シリーズの方が好みです。
しかし、小市民シリーズも古典部シリーズとはまた違った魅力がありました。
また読み進めていきたいです。 -
2020/11/02読了
#米澤穂信作品
小市民シリーズ第一弾。
小賢しい小鳩と執念深い小佐内さんが
過去を捨て小市民になろうとするも
日常の謎に直面し本性が露わに。
ライトな謎解きが爽やかで良い。
2人の過去も気になる。 -
「清く慎ましい小市民」を目指す高校一年生の小鳩君と小佐内さん。
米澤穂信さんの作品は初めてだったのですが、とても読みやすいライトな探偵物語でした❁⃘*.゚
小佐内さんの過去が気になるので、引き続きシリーズを読み進めたいと思います!
健吾が伝授していた「おいしいココアの作り方」が気になったので…今度お家で作ってみたいと思います♪ -
高校一年生の小鳩君と小佐内さんは恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にあり、清く慎ましい小市民を目指す。
小市民って!?興味湧くし、好みの予感。学校で起こる謎につい?巻き込まれる小鳩君の性格は何となくわかるも、小佐内さんが謎で…小市民を目指す事になった理由もハッキリするのか?
ドキドキ→モヤモヤ→諦めモードに入りかかるも、ラストは小鳩君の推理にドギマギし、小佐内さんの隠していたものに驚いて、エピローグは思わず吹き出した。健吾もいいキャラだし。
これはシリーズ制覇せねば。アニメも楽しみだ。