- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784500006144
感想・レビュー・書評
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ブータンは龍の国。
国際関係でブータンが一番深い関係を保ってきたのが、チベット。
日本からもODAが行われている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今枝氏の、ちょっと前に書いた本。
ブータンに関する著作には、必ず今枝氏が絡んでいるので、
一元的になっちゃうのか!?と思いきや、
時系列的を追って、考えや状況が変化していて、それを読み取ることができるという理由で、
同じ題材を取り上げた同じ筆者の本を何冊か読む、という行為は
なかなか面白かった。
ブータン、、、なかなか手ごわい。調べても調べても、
ほしい情報が出てこない・・・うー。 -
当時ブータンで唯一の新聞だった『クエンセル』(1993年5月29日号)に掲載されたアメリカ留学中のブータン人学生からの投書(本書pp.239-240)。少し長いけれども、GNHの概念的にとても面白い内容だったのでそのまま引用します。
「アメリカに着いてから3年になりますが、最近よく考えることは、ブータンが発展途上国であるということは、一体どういうことなのか、ということです。先進国になるということは、総合技術においてアメリカのようになることを意味するのだろうか?ブータン人も、誰もが車に乗り、冷暖房付の家に住み、ビデオ、冷蔵庫、電話等を持つようになったら、ブータンも先進国の仲間入りができるのだろうか?もしそうだとしたら、こうした恩恵を蒙るために、どんな代償を支払わねばならないのだろうか?我々の文化が伝統的に重んじてきた家族とか共同体といった価値体系を捨てて、個人主義的に一人一人が富とか財産の蓄積に腐心するようになることを意味するのだろうか?そうした生き方は、仏教が説く無執着の教えとは、相容れないことではないか?だとしたら、そうすることは、ブータン人がブータン人でなくなることではないのか?」
「ブータンを訪れる外国人は、ブータン人は和やかで、生活にはくつろぎが感じられる、と決まって好意的・肯定的な印象を持ち帰ってくる。ブータン人は人生の本当の意義を見つけている、と彼らは言う。それなのに、こうして人間としての幸せを満喫しているブータン人が、自らの生活様式を捨てて、人生の楽しみを失ってしまった人たちのようになろうとするとしたら、それはあまりにも皮肉的である。アメリカ人の生活は腐敗している、などと言う気は毛頭ない。物質的恩恵は、確かに身体的な面では非常な快適さをもたらしてくれる。しかし、こと情緒面、精神面に関していえば、アメリカ人の多くはブータンの一般庶民に比べて、貧しい生活を営んでいる。」
特に最後の第12章から第14章にかけて、本当の豊かさとは何かについて深く考えさせられる一冊でした。