サラリーマンは、二度会社を辞める。

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532261764

感想・レビュー・書評

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  • いつか観た映画のようなタイトルですが、中身は興味深く。
    といっても、独立や起業を単純に進めているわけではありません。

     “誰かの役に立っていると実感できることが、長く働ける条件である”

    これは一言でいえば“社会性”を感じられるかどうか、でしょうか。
    塩野七生さんも『ローマ人の物語』で同じような事を述べられてました。

    そういった意味では、働くことの本質は2000年前と変わらないのかもしれません。

     “給与や年金の課題を別にすれば、40歳定年は自然の流れ”

    こちらですが、トルコがこのような流れらしいです。
    ここ最近の仕事のライフサイクルの短縮を踏まえると、納得も。

    一昔前は、“一つのアルテ”を身につければ、30年は食えましたが、
    ここ最近そうでなくなっているのは、実感されている方も多いかと。

    そういった意味では、“生涯学習”との視座はやはり、外せないなと。

    終身雇用が崩れて久しい日本、突然会社を辞める、までいかなくとも、
    何が起きてもいいように、下準備だけはしておく必要があるのかな、とも。

    今後、“複業”とのキーワードは注視しておく必要がありそうです。。

  • 二度会社を辞めるというのは何なのかと思い、読んでみた。著者によると、40歳前後で迎えるであろう「こころの定年」がひとつの区切りとなるでおろうとのこと。確かにこのまま同じ会社で働いていて良いのだろうか、ここで働き続ける意味とは何なのだろうかと考える時期は来るんだろうと思う。働く人生を考えると、積み上げ型、逆算型があるということらしい。どれぐらいの仕事をしたから、どれぐらいの評価が得られるなど、どんどんと積み上げていくものと、残りの人生を考えて、これから何が出来るのかを考えていく逆算型。「こころの定年」を迎え、それを乗り切る過程で、逆算型の人生に切り替わるのだと思う。この時に死を考え、一回辞めるのだと思う。
    ちなみに著者の考え方として、この「こころの定年」とうまく付き合うためのサラリーマン八策として、
    ・悩みの種から花を咲かす
    ・働く組織のサイズを考える
    ・積極的に降りるという選択も
    ・3年後に新たな自分がやってくる
    ・過去と未来を往来する
    ・偶然の出会いが成否を決する
    ・身銭を切る
    ・芸名を持とう
    とあった。分かることもそうで無いこともあるが、とにかくその時の選択を信じて、突き進むしかないなと思う。
    もう、その時は近いか。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    プロローグ 人事部には見えないものがある/第1章 仕事で自己実現を目指してはいけない/第2章 会社人間になってみる/第3章 こうして会社人生への疑問は生まれる/第4章 会社はサラリーマンの家なのか/第5章 会社員のまま2つの自分を持つ方法

  • 退職後の長い人生をどう生きるかをテーマにした『定年後 - 50歳からの生き方・終わり方』(2017/中公新書)の著者で、ビジネス評論家としても活躍する楠木氏。長年勤めた大手生保での仕事に行き詰まり、47歳で「うつ」を発症して長期休職したという自身の経験を踏まえ、組織で働くことの意義を改めて考える。サラリーマンは早くて30代、遅くても40歳までに「このままの人生で良いのか」という思いに悩まされるのだが、それを「こころの定年」と名付けて一度目の退職と定義する。そのあと実際に辞めた人、会社に残った人々の実例を挙げながら、人生の定年である「死」から逆算して、残る人生の「生きる意味」を考えるチャンスを逃すなと助言してくれる。

  • タイトルはキャッチ―だが、「二度」がいつなのかパッと見で書いていないのは違和感がある。内容を読むと、40歳ぐらいを「こころの定年」と呼んでいるので、これと実際の定年(一応60歳)の2回を指しているのであろう。ビジネス書でありながら「こうしたら成功した」というようなアプローチではなく、入社10年を過ぎてモヤモヤし始めるものを、平易な言葉で説くことことですっと入ってくる内容である。「仕事にも飽きがくる」などは中々、言えるようで言えない。

  • エッセー、自己啓発、キャリア論、パラレルキャリア、自分に向く仕事は他人が決める

  • 心の定年という言葉が今の自分に突き刺さる。著者含め、サラリーマンが会社とどう付き合っていくかの、現実がみえる一冊

  • 組織と個人の関係について論じる方法には、多様な方法があろう。本書では、著者の企業での長年の経験と講師・著述家としての現在の立場、そして豊かな教養を総合した上で、会社と個人の係わり方についてわかりやすく述べられている。また人事部の採用担当者としての視点と、自身の転身を実践した際に得た知見を適宜組み合わせて説明されている。このため、手に取りやすい本の体裁にもかかわらず説得力のある内容が多かった。

    船中八策ならぬ以下のサラリーマン八策(p.166)は、組織と個人の枠組みを見直す際のポイントとして示されている。なかなか味わい深い。

    ①悩みの種から花を咲かす―悩んでいることは、次のステップで自分を支えることになる。
    ②働く組織のサイズを考える
    ③積極的に降りるという選択も
    ④3年後に新たな自分がやってくる
    ⑤過去と未来を往来する―自分自身を時間軸でとらえると個性化する。
    ⑥偶然の出会いが成否を決する
    ⑦身銭を切る
    ⑧芸名を持とう―2つの立場を持てば安定する。

  • 多くの会社員は長い会社勤めの途中で壁にぶつかる。自分が評価されないことの不満を持ったり、今の仕事に向いていない自分を知ったり、仕事そのものに飽きてしまったりなど。20歳前後で会社に入社すれば、退職まで40年。そんな長い期間で平穏な気持ちを維持し、仕事をこなすなんてことはありえない。ウツとまでは言わないが、会社から心が離れてしまう時期というのは誰もがある。

    そのとき、会社員はどんな態度をとるべきか。辞めるか、続けるか。しかし、辞めるでもなく、続けるでもない第3の選択肢だってある。会社を勤めながら、仕事に対する態度や自身を変えてみようというのが、本書の趣旨であり、著者が実際に選んだ道だ。

    他人をよろこばせることや、自分が評価されることでモチベーションを保つことが長い会社員生活では大事だ。

  • サラリーマンは仕事で自己実現を目指してはいけない。地味な仕事からも大切なものを得られることを学び、夢や希望にブレーキをかける役割が必要。突出した個性の人間は、会社組織では働けない。自分自身のためだけでなく、誰かの役に立っていると実感できることが長く働ける要件。会社は家族や地域とは異なる特徴を持つコミュニティ。紙1枚の関係。会社はそれぞれが頭の中で作り上げられた幻想。だから自分と会社との関係は変えることができる。

    私たちは会社員生活を送る中で、気づかないうちに習慣が出来てしまい、自ら会社内の枠組みを設定する。そして何か大きな出来事が起こると、誰にも見えない自分が顔を出す。その時、枠組みを見直す際の8ポイント。①悩みの種から花が咲く。②働く組織のサイズを考える。③積極的に降りると言う選択も④一区切り3年⑤過去と未来を往来する⑥偶然の出会い⑦身銭を切る⑧ペンネームを持つ。

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著者プロフィール

楠木 新(クスノキ アラタ)
楠木ライフ&キャリア研究所代表
1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

「2022年 『自分が喜ぶように、働けばいい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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