あなたの涙は蜜の味 イヤミス傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569902364

作品紹介・あらすじ

旬の女性ミステリー作家によるイヤミス・アンソロジー。見たくないと思いつつ、最後まで読まずにはいられなくなること請け合います。

感想・レビュー・書評

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  • 解説に嫌度数マックスの作品集とあるけど、それほどでもない。
    女性作家7人のイヤミス短編集。

    「パッとしない子」辻村深月
    私は、全くやらないけれどSNSの時代のイヤミス。自分の気持ちとはズレた言葉や記憶にもないような言葉が、ねじれ曲がり、広がっていった結末。この短編が、良すぎて、後の作品の記憶が薄くなってしまう。

    「福の神」宇佐美まこと
    ホラーイヤミス

    「コミュニティ」篠田節子
    いわゆる上級家族が、収入が落ち、寂れた公社住宅の一部屋に越してくる。それまでの都心の華やかな生活から距離が生まれる。最初は受け入れ難かった集合住宅の関係性に自ら染まっていく。
    ハッピーエンド型イヤミス。

    「ひとりでいいのに」降田天
    双子姉妹の嫉妬愛憎極まるイヤミス。

    「口封じ」乃南アサ
    正義と清廉のご婦人が、病に倒れる。その看護にあたる女性は、昔彼女からご丁寧なアドバイスを受けていた。どんな看護になるかねえ。
    これは嫁姑でもあり得るね。

    「北口の女」王谷晶

    「裏切らないで」宮部みゆき
    宮部さん優しいから、何処がイヤミスか?
    解説曰く、本質の部分にイヤミス成分を抱えているとのこと。

    • bmakiさん
      パッとしない子というタイトルに記憶があって、何だったかなぁ???と思い出していたのですが、『嚙みあわない会話と、ある過去について』という本の...
      パッとしない子というタイトルに記憶があって、何だったかなぁ???と思い出していたのですが、『嚙みあわない会話と、ある過去について』という本の中に短編で収録されていたような気がします。

      凄く衝撃的な話で、短編嫌いの私が超引き込まれて読んでいました。

      イヤミス傑作編なんて面白そうな本があるんですね。
      長編の傑作集だったら絶対読むのに。。。
      2024/03/09
    • おびのりさん
      bmakiさん、こんばんは。
      「パッとしない子」は、おおっ!てなりました。
      普段何気なく話している事が、相手に届いてしまった時、曲がりくねっ...
      bmakiさん、こんばんは。
      「パッとしない子」は、おおっ!てなりました。
      普段何気なく話している事が、相手に届いてしまった時、曲がりくねっている経験ってあるじゃないですか。本意ではなくても、確かに言っていたり。辻村深月すごいわってなりました。

      私は短編も好きですよ。(面白ければですね。)
      アンソロジーは、読んだ事のない作家さんに出会えたりするので、割と積極的に読みます。
      2024/03/09
  • イヤミスって何?って思いながら読んだ
    嫌な後味が残るミステリーってことらしい

    短編8作品

    パッとしない子 辻村深月
    主人公は教師で昔教え子に芸能人がいた
    密かに嬉しく思っていたが、パッとしない子だったと言いふらしたり、その子の弟、家族までを傷付けていた過去を知らなかったを自分は気付いてなかった
    芸能人となった佑タスクと話して、それを指摘され逆に傷付く…
    この、作家さんてこんな暗い話し書く人だったのか?と思った。

    福の神 宇佐美まこと
    自分の持ち物を渡すと福がやってくる…
    そんな神が身近にいるのか??
    密かにありそうで怖い

    コミュニティ 篠田節子
    団地に住んでる人たちのコミュニティ…
    家族として住んでても、その子どもは必ずしもその夫婦の子どもではない…
    恐怖感

    北口の女 王谷晶
    大麻取締法違反で捕まった演歌歌手の付き人が演歌歌手と共に歌手の故郷に戻り姉の弁当屋で付き人は働く何もやる気が起きない演歌歌手
    そんな中、付き人は優れた才能の持ち主を見つけ歌手に紹介
    演歌歌手は付き人を置いて、その人を連れ出て行く
    付き人は、実は娘…
    娘を置いて母は出て行ってしまった

    ひとりでいいのに 降田天
    仲のいい双子ばかりと思いきや、お互いを毛嫌いする双子
    お互いを殺したいほど憎む

    口封じ 乃南アサ
    一番嫌な話だった
    完全介護の病院で付添人として働く主人公
    患者が何もできないことをいいことに、やることが酷すぎる

    裏切らないで 宮部みゆき
    昔の自分を見ているようでいたたまれず、自殺と見せかけ殺しちゃう…
    それにしても、東京で一人暮らしをしてるOLが生活費は実家から給料は全部お小遣い…
    そんな人いるのかな?

  • 2022年9月PHP文芸文庫刊。辻村深月:パッとしない子、宇佐美まこと:福の神 、篠田節子:コミュニティ、王谷晶:北口の女 、降田天:ひとりでいいのに、乃南アサ:口封じ 、宮部みゆき:裏切らないで、の7つのイヤミス。前巻のあなたの不幸は蜜の味よりも嫌度数を高めたと編者の細谷さんが言う通り、ホラー話とか、他も突き抜けたところがあり、前回よりも楽しめました。嫌気分も突き抜けると面白いです。宇佐美さんと降田さんは書き下ろしなんだそうで、豪華です。


  • イヤミス・アンソロジー

    ・パッとしない子/辻村深月
    イヤミス度 4
    火傷をして傷が乾く間も反省や後悔の
    期間もなく、結局自分のことにしか
    興味がなかった主人公(教師)の図太さに
    胸焼けしました。

    ・福の神/宇佐美まこと
    イヤミス度 3
    人間の欲深さや身勝手さの心の隙間に入り込む、
    人なざるマ(間)(魔)にぞわぞわしました。

    ・コミュニティ/篠田節子
    イヤミス度 3
    反発心を抱きながらも薄気味悪い共同意識に
    飲み込まれる感じと、徐々にそこに馴染んで
    いってしまい、いつしか感覚が麻痺していく
    沼感が不気味でした。

    ・北口の女/王谷晶
    イヤミス度 2
    最後の一言で『うわっ、最悪』とイヤ感が
    増した、最後キメ型。

    ・ひとりでいいのに/降田天
    イヤミス度 3
    話の主になる人物が土地で入れ替わり、
    相互目線で妬みや嘲の負の感情が語られる
    二転三転する展開がイヤミスなのに小気味いい。
    最後のオチにやっぱり、と納得。

    ・口封じ/乃南アサ
    イヤミス度 4
    歪んだ感情と嫌らしさが、これでもかと
    明け透けに書かれているところが何とも
    言えなない後味の悪さあり。

    ・裏切らないで/宮部みゆき
    イヤミス度 0/5
    人の身勝手な捉え方から生まれた妬みが
    主軸なので、内容的にはイヤミスなのに
    終わりにスッキリとした後味が残るので
    イヤミスでありながら読後感の良いミステリー。

    イヤミスは心の体力を奪われるので
    元気じゃない時には読みづらいのですが、
    アンソロジーで嫌さの強弱と濃淡があって
    最後まで楽しめました。

  • イヤミスの世界にどっぷりはまる短編集。
    好きな作者だけ読むと決めて読み始めたが、結局全部読んでしまった。
    まさに、見たくないと思いつつ、最後まで読まずにはいられなくなること請け合いですね。

    印象的だったのは、ホラー要素がある福の神、読み終わりタイトルに納得する口封じ、身近にありそうなパッとしない子。その他もそうくるかと。

    前作を読んでないので、そちらも読みたいと思う。
    はまる人には、堪らないのではないでしょうか?
    蜜の味を味わってみては。。

  • 【収録作品】パッとしない子(辻村深月)/福の神(宇佐美まこと)/コミュニティ(篠田節子)/北口の女(王谷晶)/ひとりでいいのに(降田天)/口封じ(乃南アサ)/裏切らないで(宮部みゆき)

  • コミュニティ
    100円ショップで買った300円の口紅


    怖い
    けどやめられない

  • 辻村深月さんの「パッとしない子」は既読。
    (噛みあわない会話と、ある過去についてに所収)
    どれも50ページほどの短編なので、とても読みやすい。
    イヤミスにも色々なバリエーションがあるんだなと楽しめた。

  • 辻村深月さんの「パッとしない子」は何度か読んでいるのだけど、読むたびに肌寒くなる。主人公には決して悪気はなく、むしろ好意的でさえある。多少調子に乗った感はあるけれど、それくらい誰にでもあるだろう。それが受け取り方によってこうなってしまうのか。自分もそんなミスを犯してるのではないかと、怖くなる。

  • イヤミスのアンソロジー。

    「イヤミス」とは、私自身は初めて耳にする言葉だが、どうやら嫌な気分になるミステリー小説のことのようだ。

    そうとは知らず手に取ってしまったので、最後まで読んでみた。

    この一冊には7つの話が書かれているが、


    (1)パッとしない子 辻村深月

    イヤミスだということを忘れて読み入ってしまったが、気が付くと確かに嫌な感じが後を引いた。どっちもどっちで嫌だったね(謎)


    (2)福の神 宇佐美まこと

    これは不気味な嫌さ+「こんなのは居る訳ないぞ」と突っ込みたくもなる嫌さ(笑)


    (3)コミュニティ 篠田節子

    ありそうでなかった発想。いや、触れたくないのかも。ほんと!嫌になる。


    (4)北口の人 王谷晶

    一番嫌度が低かった話。ミステリーとしても最後まで単調で落ちも弱いなと。


    (5)ひとりでいいのに 降田天

    これも嫌度は低め。普通にミステリーとして楽しめた。


    (6)口封じ 乃南アサ

    話の内容ではなく、主人公個人が嫌な奴だった(笑)


    (7)裏切らないで 宮部みゆき

    宮部さんの名前があったので、この本を選んだわけですが期待通りの面白さ。しかし、嫌度はかなり低め(笑)

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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