- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591169032
感想・レビュー・書評
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社長が出てくるシーン、脳内ではアパHOTELのあの社長さんがババーンとイメージされて仕方ない。
働くスタッフたちが自然に少しずつ交流を持っていく光景がなんだかあったかく、最終章で目にしたそれぞれのその後や小さな変化や心の内がほんのりとした気持ちにさせてくれる。
遊園地のイメージはもっと賑やかで騒がしい感じだだったけど、この本に出てきたマジカルランドは少し遠くから眺める柔らかであたたかな楽しいイメージといった読後感。 -
遊園地の職員の面々が面白かった!それぞれの人生みんな大切。
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みんなの日常を描くのがうまい。リアル。
そう。アルバイト、正社員、、生活背景は、石のようにそれぞれ。
ひとくちに働くといっても、それぞれに意味合いが異なる。
エンディングは、
ベートーヴェン ピアノソナタ第8楽章
がしっくりきた。 -
「テーマパークではなく遊園地」、子どもの頃から大好きです。地元では、桑名市の「ナガシマスパーランド」、鈴鹿市の「鈴鹿サーキット(レーシングコースだけでなく遊園地もあるんですよ)」に何回も行きましたね。
そんないつも綺麗で楽しい場所が、色々な仕事、沢山の人々に支えられていることを、温かく語ってくれる小説です。老若男女様々な登場人物にはそれぞれの人生の重みがあって、働き方や気持ちはみんな違っていて、それでいて「ほたるいしマジカルランド」はこともなく回っていくのです。 -
佐賀にて産湯につかり、
現在大阪在住の作者 寺地はるなさん
こんなにかわいいお話書いて。
一緒に 飲みたい、話したいと
思いました。 -
“テーマパークではなく遊園地”である“ほたるいしマジカルランド”で働く人々にスポットライトを当てた、連作短篇集。
ちなみに作中でテーマパークと遊園地の違いについての言及はありませんが、ほたるいしマジカルランドにある遊戯施設の描写はいくつもあります。
ちょこっとググッて調べたところによると、テーマパークとはディズニーランドのように非日常の空気感・世界観が特徴の施設であるのに対して、遊園地はジェットコースターや観覧車などの遊戯物で遊ぶことをメインにした施設らしいです。
(でもこの定義も、明確ではないようです、、、)
たしかに言われてみれば本書は、ほたるいしマジカルランドの空気感というより、遊戯施設を大事にして書かれている感じがあります。(蛇足でした)
本書は、曜日ごとにスタッフが1人ずつ主人となり、最後の日曜日は「すべての働くひと」というタイトルで、月~土の主人公たちの様子が少しずつ読める形式です。
とても読みやすく、あっという間に読み終えてしまいましたが、読み終えたあと「なんだかおなじような感触の小説を読んだことがあるな…」と思いました。
よくよく考えてみると、おなじく寺地はるなさんの小説「夜が暗いとは限らない」に、印象が似ていました。
本書と「夜が暗いとは限らない」は、舞台も登場人物もまったく違うのですが、なんというか“空気感”がとても似ています。
作品全体にいろいろな種まきや気になるポイントがあるのですが、それらは意外とさくっと回収されたり、かと思えば話として広がらなかったりして、すこし物足りなさも感じました。
たとえば、社長のもとに「働くのがつらいです。」と匿名のメールをした人物…
それは誰か?ということをもう少し粘って探るのかな?と思いきや、意外とあっさり判明。
いや、正確に言えば、そのメールを出した人物が誰かは、読者にのみわかる形なので、物語のなかでは解決していないので、これを“解決した”とは言いきれないかもしれませんが…
各章の主人公に関係する登場人物たちもなかなか多く、読んでいて「この人は…誰だったっけ汗」現象がちょこちょこ起こりました。
登場人物はメモをとり、できれば簡単な一言説明を入れておくとより安心です。
もしこのお話の外伝が書かれるとしたら、パートから社長にまでなったという市子の人生を、読んでみたいなとおもいました。 -
シリーズ第一弾と見た。
寺地はるなさんの本、この7か月で4冊読みました。
いままでで一番面白かった。
急成長しているんだ。
(私みたいに「佐門」と「佐竹」がごっちゃになってしまう人もいるので、もうちょっと工夫してほしいなとは思ったけど。)
でも、何かもやもやして終わってしまったことろあり
特に「木村幹」が多くの謎をのこしているので
続編検討中(執筆中)なのでしょう。
「ポプラ社」が妙に懐かしい響き。
そう、子どもの頃よく読んだのですね。
だから、この本は小学校高学年~中学生にも
読んでほしいのでは。
「13歳のハローワーク」的でもあります。
世の中にはいろんなお仕事があって
みんな頑張っているよ。
〈他人は自分の人生ドラマに現れたり消えたりする登場人物のようなもので、だから当然入れ替わりがある。
端役だと思っていた相手が急に重要な役をつとめたり、
準主役だと思っていた相手が急に消えたりもする。
生きていたらそういうことの繰り返しだ〉 -
大阪北部の遊園地を舞台にした、7編からなる群像劇で、描かれるのは日曜日のイルミネーションイベントに向けた1週間。
訪れる人が笑顔になるのが遊園地だが、従業員にはそれぞれ、抱える事情があり、性格があり、人生観がある。彼らのそんな姿を、作者らしい丁寧なタッチで紡いでいく。共感と希望を心に残してくれるストーリー展開も相変わらず見事だ。
ニクいのは、各話の脇で登場する人物にまで十分な存在感を与えるキャラ設定をしているところだ。
佑や「木曜日」の照代さんはともかく、「水曜日」の野上さんや「金曜日」のあおいさんにまできちんとした背景を用意してあって、物語に奥行きを与えている。さすが寺地はるな氏。いつもながら感じ入ってしまった。