短編回廊 アートから生まれた17の物語 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596755810

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  • 祝文庫化

    短編回廊 アートから生まれた17の物語 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/4596552150/

    短編回廊 アートから生まれた17の物語|ハーパーコリンズ・ジャパン
    https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/14741

  • ローレンス・ブロック編『短編回廊 アートから生まれた17の物語』ハーパーBOOKS。

    芸術とミステリーの饗宴短編集の第2弾。実在するアート作品をテーマにしたミステリー短編の饗宴。

    面白かったのは、マイクル・コナリーの『第三のパネル』、ジェフリー・ディーヴァーの『意味深い発見』の2作のみ。

    途中から読み進めるのが苦痛になった。前作より明らかにパワーダウンした感がある。

    ジル・D・ブロック『安全のためのルール』。陪審員の選抜に召喚されたエリス。対象となる裁判は過去に起きた親友の誘拐殺人事件のものだった。陪審員に選ばれたい気持ちと選ばれたくない気持ちとの葛藤。どこにミステリーの面白さがあるのか解らず、今一つしっくり来ない。★★

    リー・チャイルド『ピエール、ルシアン、そしてわたし』。悪銭身に付かず。1919年、ルノワールの死を彼の作品を売り出す好機だと友人に唆された主人公は、ルノワールの未発表作品をかき集めようとする。しかし、手に入れたルノワール作品は未完の1作のみで、代わりに画風が似ているルノワールの友人の作品20作を手に入れ、それをルノワールの真作と偽る。★★★

    ニコラス・クリストファー『扇を持つ娘』。スパイ・ミステリー。ドイツ人からルノワール、モネ、ルソーなどの絵画を取り戻すために活動していたスパイのユベール・ディトマールがナチスに捕らえられる。そして明かされるゴッホの作品を巡る逸話。★★★★

    マイクル・コナリー『第三のパネル』。見事なプロットの小気味の良いミステリー。麻薬密造犯のアジトで起きた殺人事件にヘリコプターで臨場したFBI。ヒエロニムス・ボッシュの絵画に準えた同様の事件が相次いでいるという。★★★★★

    ジェフリー・ディーヴァー『意味深い発見』。短編の中に無駄無く詰め込まれた一級品のミステリー・サスペンス。考古学者のロジャーとデラの夫婦は考古学的世紀の大発見にたどり着く。しかし、待ち受けていたのは恐ろしい結末だった。★★★★★

    ジョー・R・ランズデール『理髪師チャーリー』。ランズデールらしいハードなピカレスク。チャーリーと娘のミリーが営む理容店に二人の賊が強盗に入る。命の危機が迫る中、チャーリーは過去の戦争経験を思い出す。★★★★

    ゲイル・レヴィン『ジョージア・オキーフの花のあと』。どこに面白さがあるのか見出だせない。偉大なる芸術家オキーフにインタビューを試みるジャーナリスト。両者の思いは最後まで平行線を辿る。★★

    ウォーレン・ムーア『アンプルダン』。人生の中に埋もれた罪。アンプルダンで薬局を営むアランの贖罪と憐れな末路。★★★

    デイヴィッド・マレル『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』。ホラーぽい物語。死後30年経って才能を評価された画家のファン・ドールン。その絵を巡り、主人公のわたしや友人が次々と狂気に駆られていく。★★★★

    ジョイス・キャロル・オーツ『美しい日々』。少しエロティックで何も進展しない物語。アルプスの舘で絵のなかに閉じ込められてしまった少女の悲痛な叫び。★★

    トマス・プラック『真実は井戸よりいでて人類を恥じ入らせる』。こちらも少しエロティックなサスペンス。古代の遺跡発掘現場で繰り広げられる男女の愛憎劇と遺跡の正体。★★★

    S・J・ローザン『グレートウェーブ』。2年以上、富岳三十六景を始めとする日本の美術品に囲まれながら、地下のスイートルームに監禁される女性。★★★

    クリスティン・K・ラッシュ『考える人たち』。1970年に爆弾テロを企てるテロリストたちと2015年の美術学生たちとをロダンの『考える人』がつなぐ。★★★

    ジョナサン・サントロファー『ガス燈』。タイトルの『ガス燈』は些かこじつけっぽいが、ミステリーらしいミステリー。夫に毒を盛られていると疑心暗鬼になった妻が、逆に夫を毒殺するサスペンス・ミステリー。★★★

    ジャスティン・スコット『陽だまりの中の血』。余り面白さは感じられない。友人に嵌められた画家のジミー。★★

    サラ・ワインマン『ビッグタウン』。母親の肖像画を巡る物語。大物ギャングの愛人になった女が、ギャングの部屋で目にした自分の母親の肖像画。★★★

    ローレンス・ブロック『ダヴィデを探して』。ストレートな探偵小説。ダヴィデを無理矢理捩じ込んだ感がある。探偵のスカダーは滞在先で25年前の刑事時代に恋人殺しの罪で逮捕した男と出会す。★★★

    定価1,390円
    ★★★

  • 文庫化にて再読。

  • 著名な絵画をベースに創作された短編17編のアンソロジー。タイトルの雰囲気とコンセプトで国書刊行会編集かと勝手に思っていたけれどfromハーパーコリンズ・ジャパンでした。ということで(?)ほぼ読みやすく分かりやすいサイコスリラー、心理サスペンスだった。意外なヒーローが活躍する昔のアメリカドラマのような『理髪師チャーリー』と、自分の母親の裸の肖像画を見るところから始まる『ビッグタウン』が良かった。『美しい日々』は同タイトルのバルテュスの絵画にピッタリのキモさで良かった。

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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