原発広告

著者 :
  • 亜紀書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750513287

作品紹介・あらすじ

1970年代から3・11の直前まで、新聞、そして女性ファッション誌からジャーナリズム誌まで幅広く掲載された原発広告200点超を収載。

本書は「原発広告」を、官民一体化した「原発推進プロパガンダ」と定義し、集められる限りの広告事例を集積し、その実態を世に問うものです。その広告群によって実に多くの国民が騙されたこともまた事実であり、ゆえに私は、原発広告は戦意高揚広告と同じである、と考えるのです。(本文より)

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755483

  • 三分の一くらい読んだところで飽きたので返却。個人的には面白くない。

  • メディア
    原子力発電

  • <blockquote>わが国における原発の歴史とは、数え切れないほどの事故とトラブルの連続であり、さらにそれらを必死で隠そうとする隠蔽の歴史でした。あまりにもトラブルが多すぎて隠蔽がままならなくなったため、巨額の広告PR費でメディアを籠絡し、事故が起きてもなるべく軽微に報道してもらう必要に迫られたのです。 (P30)</blockquote>

  • 「電気を大切ね」。テレビ・コマーシャルで語りかけていた
    東京電力のキャラクター・でんこちゃんは、あの原発事故
    から姿を消した。

    本名は「分電でんこ」。描いたのは内田潤菊。どうやら家族も
    いるらしい。でも、今は家族ともども行方不明だ。

    でんこちゃんと同じように姿を消したのが、オール電化住宅
    のコマーシャル。これだって、原発ありきの商品だものな。

    福島第一原発事故以前、メディアには電力会社や電気事業
    連合会、資源エネルギー庁の広告が溢れていた。

    原子力発電はエコです。クリーンです。安全です。事故は起こり
    ません。万一、事故があっても放射能を封じ込める対策が出来
    ています。

    約40年に渡って膨大な費用を投入して行われて来た原発
    プロパガンダ。現在は電力会社や関係機関のホームページ
    からも抹殺された原発広告の歴史をひも解いたのが本書だ。

    著者は元広告代理店勤務。前著『電通と原発報道』は少々
    物足りなかったが、本書では前職の本領発揮だ。

    いわゆる原子力ムラがいかに原発への批判を抑え込んで来たか。
    それはテレビ・ニュースのスポンサーを抑えることで、いとも簡単
    に出来るのだ。

    スポンサー批判はご法度。第4の権力であるはずのメディアは、
    金の為には自主規制路線を突っ走る。最も酷いのは自民党の
    御用新聞・読売新聞なのだが。

    福島第一原発の事故で原発推進派の宣伝は影を潜めたと
    思っていたのだが、地方紙ではこそこそと復活の兆しである
    ことを本書で知った。懲りない人たちはまだまだいるんだな。

    著者自らは反原発だったので、代理店勤務の際には原発広告
    の仕事を断ったそうだ。だが、広告業界に身を置いたひとりと
    して、本書で原発広告の成り立ちを解説したのは著者なりの
    懺悔なのだろう。

    入手困難になっている原発広告が多く掲載されている本書は、
    資料的な価値も高いのではないだろうか。

    40年に渡って続けられて来た原発プロパガンダ。もう、誰も
    騙されないぞ。

    尚、電力各社や関連組織が行って来た大量の原発広告の
    資金は、私たちの支払って来た電気料金から出されている。

  •  本書で提示されているデータが真実であるなら、原子力発電の「安全神話」は、技術の進歩ではなく広告のバラマキによって作られた砂上の楼閣だったことになる。
     何兆円もの資金があったのなら、なぜ、世論を騙すのではなく、技術を革新することに投資しなかったのか?技術立国を目指すのであれば、技術そのものに人もカネも使ってほしい。
    原発広告に「大本営発表」に乗せられてしまった人たちには、きちんと自己批判してほしい。

  • 過去の原発広告がどのようなものか知りたかったので購入。マスメディアへの癒着具合の情報以上に様々な広告を知ることが出来た本でした。
    プロパガンダの一種として読み応えがありました。原発広告に携わった人達の言葉なども聞きたかった。

  • 原発がどう宣伝されてきたか。雑誌や新聞広告から読み解く。
    その時は安全だと思ってたんだろうなー、まさか自分が生きてる間に事故が起きるとかも思ってなかったんだろうなーとか。

  • 原発安全神話を作り上げた原発広告をプロパガンダの一種と見做し、その歴史と構造を探った書。

    1991年に作成された「原子力PA方策の考え方」は原発広告の舞台裏が垣間見えて興味深いし(p.48-64)、「私も脱原発だ」と公言して都知事選に立候補した舛添要一氏が過去にちゃっかり原発推進派のシンポジウムで基調講演を務めていた模様が収録されている点も見逃せない(p.244)。

    ただ、広告の分析は表層的で決して鋭いものではないし、事実なのか著者の臆断なのかよく分からない表現が散見されるのもいただけない。したがって、本書の価値は歴代の原発広告を多数掲載した資料性の高さにあると言って良いのだが、縮小された広告の文字が小さすぎてほとんど解読できないのは致命的。

    目の付け所は面白いと思ったのだが…。素材が良くても作りが雑なのは何とも残念。

  • 原発推進のために、どれだけの広告費用がつぎ込まれ、安全神話がどのように作り上げられてきたのかが分かりやすく紹介されている。
    何十年も繰り返しこのようなプロパガンダにさらされていた結果が、福島第一原発事故後の現在も、脱原発にシフトしきれない今の日本に如実に表れている。
    掲載された広告事例の図版がモノクロでサイズも小さいという点が少々残念。紹介された原発広告の四コマ漫画の作者名が不明であると書かれてあるものの、小さい図版の中にもきちんとクレジットされていることが分かり、特定できる。著者は元図版を見ていると思うが、なぜ気がつかなかったのだろうか。

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著者プロフィール

1962年生まれ。著述家。1989年、博報堂に入社。2006年に退社するまで営業を担当。その経験をもとに、広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などについて追及。原発安全神話がいかにできあがったのかを一連の書籍で明らかにした。最近は、憲法改正の国民投票法に与える広告の影響力について調べ、発表している。著書に『原発広告』『原発広告と地方紙』(ともに亜紀書房)、『原発プロパガンダ』(岩波新書)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)、『広告が憲法を殺す日』(集英社新書、共著)ほか。

「2021年 『東京五輪の大罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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