藍の糸―着物始末暦2 (ハルキ文庫 な 10-2 時代小説文庫)
- 角川春樹事務所 (2013年7月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758437585
作品紹介・あらすじ
呉服太物問屋の若旦那・綾太郎は、着物の染み抜きなどをなんでもこなす着物始末屋・余一のもとへ打掛の始末を頼んだ。毛嫌いする余一を困らせようと、生地が弱りすり切れた打掛を渡したのだが、その仕上がりは非の打ちどころのない出来栄えだった。余一に対して、何としても一泡吹かせたいと願う綾太郎。そんなある日、彼は古着屋の六助を伴い、余一に想いを寄せるお糸の飯屋を訪れた。血の気が多い職人や人足などの男達を前に、てきぱきと働くお糸を見て、綾太郎は彼女に惹かれはじめるが-(「藍の糸」より)。大好評、連作短篇時代小説。待望の第二弾!!
感想・レビュー・書評
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「着物始末屋」シリーズの二作目。
着物に寄せる人の想いが起こす、
さまざまな難事、些事を、余一が解き明かし、
始末していく物語。
余一は、始末の腕は立つが、相変わらず、
女の気持ちはわからない。
その頓着のなさで、すったもんだが起こるのも事実。
お糸の幼馴染、おみつも、どうやら、
余一に魅かれ始めたようで…。
女の気持ちは分からないが、人の情の機微が
わからないのではない。
ぶっきらぼうの影に、温かさがにじみ出る。
綾太郎は、相変わらずのアホぶりを発揮し、
余一に対抗心を燃やして、お糸にちょっかいをかける。
登場人物の中で、唯一、お玉が、結構冷静沈着で、
聡明。
彼女が、もう少し、話の中心近くで、
暴れてくれると、面白いんだけど…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ええ話。
着物始末屋の余一と、飯屋の娘お糸。
古着屋六助、友人おみつ、奉公先の娘お玉。
どれも愛おしく感じられて、応援したくなる。
着物が好きになる。
着物は人の思いの依代。
次も早く読みたい。 -
着物始末暦 シリーズ2
着物始末屋の、余一は、いつも、顰めっ面をして、他人と関わりたがらない。けれど、一旦関われば、損得抜きで、とことん手を貸す。
そんな余一に、心を寄せる「一膳飯屋・だるま」の一人娘のお糸。
そんなお糸の心を知りながら、幼馴染のおみつも、余一の事が、気になり出して。
あらまあ、ややこしい事。 -
着物始末暦の第二弾。
主要人物について、いやな部分も見えるように描くのがこのシリーズの特徴のひとつ。それが、ただ単にいやな味わいになるのか、普通は描かれない何かに繋がっていくのかは、これからかな?
着物を通じて、格差や立場で、見方・考え方が変わってしまう時代背景に思いをはせます。とりわけ女・子どもは立場で何もかも違ってしまう時代。「あきない世傳金と銀」の最終巻を読んだ直後だったので、余計にそんなことを思うのでしょうか。 -
名探偵余一 人が良すぎるでしょ.
なんだかんだで六助も人が良い. -
2021.10.01
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202104~5/全10巻まとめて。着物始末職人と彼をとりまく人々との物語。良く言えば人間らしいんだけど、性格の嫌な部分が目につきすぎて登場人物達があまり好きになれなかったのと、恋愛話ターンにあまり魅力を感じずハマるまではいかなかった。奉公人おみつが一番苦手。六助の特殊能力設定も必要に思えなかった。話によってメインになる登場人物が変わるタイプの短編なので、別話・別視点だけど同じエピソードが再三出てきたり、時系列でみるとわかりにくい時も。とはいえ、巻を重ねるごとにキャラ達への多少の愛着もわき笑、若旦那綾太郎達の成長もみてとれ、全巻面白く読めた。巻末に着物柄説明が入っている趣向も良い。
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呉服太物問屋の若旦那、綾太郎は上等の着物を扱う。
父親は、元手代ゆえか店のことばかりが第一で、跡取り娘の妻は遊びで歩いているばかり。
お糸の幼馴染みおみつは、紙問屋の娘お玉に救われお嬢さんのお月の女中。
お玉は、綾太郎の許嫁だ。
この回は価値観が違う綾太郎と余一の確執で始まる。
登場人物たちのそれぞれの事情と人生巻の違いでの、やりとりが興味深い。 -
『しのぶ梅』の着物始末暦シリーズの2作目。
1作目が少し平坦で盛り上がりに欠けるところがあっただけに、続編に期待していたところ。余一以外の登場人物が子供っぽく思い込みが激しいところ(特にお糸)は相変わらずで、イラっとさせられるところは相変わらずであるが、これは、今後余一とのかかわりの中で成長させていくのではないだろうか?「魂結び」や「恋接ぎ」などの親子がらみの話が心にしみる。余一と六助のエピソードもよい。いろいろ気になるところはあるが、次も読んでみたい。