あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 (ハルキ文庫 た 19-22 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.18
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感想 : 187
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442848

感想・レビュー・書評

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  • 半年に一度出るので、出る度に前巻から読んでいます。5巻までは、みをつくしと違って、いまいち幸に感情移入出来なかったのですが、ようやく6巻で面白くなってきました。江戸に出てからが本番なのだとするなら、これまでがちょっと長過ぎる印象。みをつくし小松原のような存在がいないので、商いだけでこの先盛り上がるのかな…。次男がどう出てくるか、キーマンですね。

  • 本を読みながら涙する。
    テレビドラマや映画で涙するのとは少し違った感覚を味わえる。しかも、悲しみの涙ではない。

    一つ一つのできごと、一人一人との出会いを、先を切り拓くようにもっていくのは、幸の才能だと思う。

    前を向いているときには、そういう人たちに出会えるようになっているのかもしれない。

    さらに充実した江戸店になるのを、次回作で楽しみたい。

  • もっと山あり谷ありしてもいいんじゃない⁈

  • 4.8
    シリーズ第七作。
    前作の私のコメント「ドSの高田はん」が余程応えたのか(な訳あるかい!笑)、今作は、幸が理不尽なイジメに遭う事も無く、真正面から商売に取り組み真骨頂を発揮。
    そしてラスト・・・人の「縁」というものの不思議さと、驚きと、喜びで思わず涙してしまいました。

    亀三の紹介が菊次郎だったという所がまたニクい!



    赤穂義士の「討ち入り」にあやかった江戸店開店も無事乗り切り、江戸で初めて年を越す幸とお竹は、大晦日の湯屋で偶然にも指物師・和三郎の姉で型付師・力造の妻・才と知り合い、これから定例で行おうとしている「帯結び指南」に誘う。
    お竹の機転もあり好評のうちに初回を終え、後の広がりを予感させるも中々売上には反映されない。だが、やがて芽をふき大きな実りを得るための種まきと心得、焦らず、知恵の生まれる土壌作りに専念する。

    茶屋の小女の前掛けからヒントを得、くけ紐を使った帯結びを江戸の女房達に流行らせ、着々と「五鈴屋らしさ」が発揮され出した頃、幸はかつて亀三から紹介された菊次郎を訪ね、歌舞伎小屋を訪れる。

    そこで出会った菊次郎の弟子・吉次の稽古着を生地の見立てから仕立てまで引き受ける事になり、なんと表に木綿・裏に絹と、裏表異なる生地を使用する、呉服の世界の「禁忌」を侵す試みに挑む事で事態は大きく動き出す。
    五鈴屋が裏地の絹に、滑りが良く丈夫な「浜羽二重」を使う事で真似をする他店との差別化が生まれ、確実に売り上げを伸ばす頃、行方不明の惣次が江戸に居る可能性が高まり暗い影を落とす。

    そんな中、妹の結が江戸店に合流し新鮮な明るい空気を吹き込む様になると、兼ねてからの懸案「五鈴屋ならでは」と呼ばれる反物創りに、江戸独特の禁忌とも言える「小紋染」を用いることにたどり着く。 着々と準備を進める中、過去の武家との関わりから型付の仕事を捨てた力造の説得は予想以上に難儀するが伊勢の名型彫師・梅松渾身の型紙を目にした力造は遂に陥落する。

    満を持して五鈴屋勝負の小紋染制作が動き出し、苦労の末試し染めに漕ぎ着けるとその正月、菊次郎が縁を繋いだ当代一の歌舞伎役者・富五郎から、なんと新作・娘道成寺の「お練り」の衣装の全てを依頼される。

    まだ誰も知らない、
    あの五鈴屋の仕掛ける小紋染…
    その色は・・・
    そして紋は・・・

    物語全体を通して貫かれるひとつの「理」。
    その「縁」によってクライマックスが訪れる。


    ◯菊次郎・・亀三が紹介してくれた歌舞伎の女形。三国一と謳われた女形・吉之丞の実弟。
    ◯富五郎・・当代きっての歌舞伎役者。その縁を辿ると…。
    ◯吉次・・菊次郎の弟子。眉目秀麗で将来を嘱望される。
    ◯お才・・湯屋で知り合った指物師・和三郎の姉。夫は、元・型付師の力造。
    ◯力造・・才の夫。武家との関わりで屈辱的な扱いを受け命を落とした父の無念から、型付師の仕事を捨てる。


    三年限りとされていた女名前の延長が許され、
    次作からの後継問題が楽しみに。
    結の恋心は見え見えですが…

  • シリーズ第7弾。

    今までの激動の日々と違い、江戸店をゆっくりじっくりと育てていく1年余りの日々が描かれている。

    ラストの富五郎には泣かされた。
    智蔵が存命で、幸と二人で江戸店を育てていく日々も読んでみたかった。

    江戸に出ていた惣次。ゆとりのある生活をしているようだし、きっと五鈴屋江戸店の存在も知っているだろう。今後、どう絡んでくるか。

    結の恋模様も出てくるかな。

  • 今作にはさほどの波乱はない。
    しかし、次作に向けて
    2つの大きな課題が幸たちの前に。

    女名前の三年延長。幸がいつの日か
    本当の意味で五十鈴屋の当主に
    なれる日が来るのだろうか。

    型染の小紋は果たして
    江戸庶民に受け入れられ
    五十鈴屋を救う一手となるのだろうか。

    次作にこそ大きなうねりが寄せてくる。
    そう期待して読了。

  • ひと月に一つのお話で、人物それぞれにドラマがありました。
    「よもや、惣ぼんさんと?」と胸が高鳴ったり、賢ぼんの成長に母のような気持ちで目頭が熱くなったりと、あっちで心を揺さぶられ、こちらで心が熱くなりと、忙しい一年を過ごした気分です。
    何と言っても、富五郎さんですね。
    最後には号泣させられました。思い出してもうるうるします。
    いつまでも、人の心に残るような、そんな繋がりで生きていけたら素敵です。

  • 蟻の目、鶚の目
    細かな事象や小さなきっかけに気づく力と
    大局的なものの見方で新しい動きを創り出す力
    幸にはその両方が備わっているからこそ、
    商いの長として実力があるのでしょう
    見習いたい!!!

  • ぐおお、相変わらずの面白さで当日一気読み。

    どうしてこう毎回、
    何かしら不安のネタが出てきて不安にさせて
    同時に幸せになりそうな展開がきてと
    読む側のツボをグリグリしてくれるのか。
    全くもう、面白すぎるじゃねーか。

    はよ続き書いてほしい...。

  • 一人一人が手を繋ぐ。
    手を繋いで川の流れをつくる。
    大河の流れをつくりだした全ての人の
    手を想う

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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