あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 (ハルキ文庫 た 19-22 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442848

感想・レビュー・書評

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  • 半年ぶりのシリーズ第七弾。
    帯結び指南等、幸たちの創意工夫で江戸店は、地域の人々の間に根を下ろしつつある。
    順調な展開は喜ばしくもあるが、以前にあった「一難去ってまた一難」的なハラハラドキドキが少なくなったよう。
    このシリーズも、そろそろ終局へ向かっているということだろうか。
    この巻でも、幸の商いへの心構えが、処々に綴られている。読者にとっても心に留めておきたい言葉ばかり。
    「知恵は何もないところからは生まれない。盛大に知識を蓄えよ」
    「心を受け取れば、心を返す。人と付き合う基」
    「蟻の眼ぇだけやと、目先の勝ち負けにこだわるだけで終わってしまう。鶚の眼ぇだけやと、地に足が着かんさかいとりこぼしも多いし、周囲に不満も増える」

    「みをつくし」のレビューでもふれたが、著者の色彩の表現の何と豊かなことか。
    「絹鼠」「潤み朱色」「承和色」「薄花色」等々。
    広辞苑を引いてみたら、「承和色」は黄色とあった。

  • 序盤の、師走の湯屋でお竹の背中を流す幸の、主従の会話を読むだけで涙腺が緩んでしまう。江戸店での勝負は時間との戦いでもある。手堅く、顧客本位の商売をする五鈴屋の店主・幸。月に一度の帯結び指南でのお才との出会いと、大坂の亀三のとり成す縁で歌舞伎役者・菊次郎から、中村富五郎へとつながる出会い。この縁が元となって作られた小紋染めが、やがて大輪の花を咲かせるように華やいだ場面へ! 我が事のように嬉しい読了だった。

  • そういえば、みおつくしシリーズは10巻で終了

    あきない世伝シリーズも10巻かな?8巻で終了かな?と7巻を読みながら思った。

    ころこらうまくいく展開に読者は飽きてきているが、作者もこの幸という主人公に飽きてきた模様

    とりあえず、7巻は無難に展開させて、8巻でいろいろ嵐の展開で・・・なんて思惑が透けて見える。

    高田さん、ひとつのシリーズ始めたらそれにかかりきりになるから飽きるのよ。他の出版社とも契約して、並行して書き進めればいいのになぁ。

    とりあえず、7巻を読んでいて、大坂に一人残された女子衆お梅さん、ひとりで他の奉公人皆のお仕着せ縫って、三食作ってるのかなぁ?と思うと可哀想で泣けてくる。

    主人公の幸も作者の高田さんも前ばかり見てるから、江戸での話ばかりで、大坂の話は手紙で出てくる程度。そりゃあ、江戸に居てる幸にすればその通りなのだけど、小説なんだから、大坂の様子もしりたいわ。

    高田さんにも、『鶚の眼』が必要ね

  • イジワル同業者や杓子定規な役所なんかが出てきて、「一難去ってまた一難」的な展開を予想していたのだが。

    江戸の人たち、トテモイイヒト。

  • 江戸店を開いてからの一年。
    富五郎と智蔵の繋がりが語られるシーンは三回も読み直してしまった。泣ける。
    お竹の思いはいかばかりか。
    結や賢輔のひたむきさも眩しい。
    いまひとつ想像できない着物の色や帯結びや染めの工程など、映像化されるとのことで、楽しみ。
    笑って勝ちに行く、五鈴屋のこの先も気になって仕方がない。

  • 鈴紋の伊勢型紙を見とうおます。富五郎が纏いはった江戸紫の小紋染めの長着を見とうおます。富五郎の「智やん、一緒になぁ」には泣かされました。

  • シリーズ7作目。
    江戸に進出した五鈴屋、奉公人たちと力を合わせて店を盛り立てる幸。妹の結も加わって、まずまずは順風満帆な様子。新しいことをやり始めるとき、不安も大きいけどワクワクするような気持ち、なんだか今の自分と少しリンクしていて、勇気づけられた。
    帯結びは文字だけではどんな形なのかよくわからなかったから巻末で治兵衛さんに図付きで解説してもらいたいところ。
    かたくなに型染めの仕事を拒んでいた力造が、一流の型彫師の型紙を目にして息をのむシーン、一流の職人同士の心が通じ合う瞬間に鳥肌が立った。
    そして、富五郎の何と粋なこと。亡き智蔵との知られざる友情には涙涙、です。
    出奔した5代目の姿が江戸で目撃されたのも気になるところ。今後どうなっていくのか楽しみです。

  • 小紋のお披露目が、歌舞伎役者のおひねりとは驚いた。
    今回は胸潰れるような悲しさがなく、がんばれ、がんばれと応援しながら、気持ちよく読み終えられた気がする。

  • 第七弾!
    江戸進出を果たし、いざ商いへ
    小さな機会を逃さない「蟻の眼」、時代の流れを読み解き、商いに繋げる「鶚の目」にのっとり熟慮
    染師の気概をおもんばかり、芝居界とも繋がり、今後の発展は

  • 江戸店も順調に動き始め、江戸店ならではの小紋染めを考え出し、売り出す所で終わり。
    この江戸小紋も大人気となるのでしょう。

    売り出すまでには様々な縁があり、亡き夫 智蔵が繋いだ縁もあった。

    又、妹の幸も江戸に出てきて、また姉妹一緒に暮らせるようになったのも良かった。

    今回も面白く読ませて頂きました。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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