立つ鳥の舞 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 390
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443654

作品紹介・あらすじ

「葉月十二日、巳の刻。湯島天神内宮地芝居の舞台に、瀬川菊之丞を連れてきて欲しいのです」
――濱村屋の年若い主人・吉次からこう切り出された平九郎は、驚きのあまり絶句した。
希代の女形であった菊之丞は、吉次の義父で、五年前すでに亡くなっていた。
そして実は、吉次は赤也の義弟であったのだ……。赤也の隠されたもうひとつの人生に渦まく陰謀。
平九郎たちが仲間のため命を賭して闘う天下無敵の時代エンターテインメント。
三十万部突破の書き下ろし大人気シリーズ、第七弾。

感想・レビュー・書評

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  • 遂にくらまし屋シリーズも追いついてしまいました
    ちょびっと悲しいw

    それにしてもどんどん面白くなっていくなー
    今回は赤也が自分の過去にケリをつける回
    そしてぼろ鳶ちょい見せ(今回は秋仁)と表紙でちょいネタバレも健在w

    虚の3人の達人で最後の1人、九鬼も登場
    井蛙流の奥義もめちゃめちゃかっこいい技名と共に炸裂
    しかしながら3人の達人や炙り屋との闘いに不安を感じた平九郎は遂に師匠の磯江虎市を探す決意をする
    という赤也の想いや3人の絆にいや茂吉とお春を加えた5人の絆にほろりとさせつつ、今後の四つ巴の闘いに向けて風呂敷を広げまくった今作でした

    んー次作へのつなぎ方がとんでもなく上手いのが今村翔吾さんなんだよなー
    楽しみすぎ!

  • くらまし屋の一員である赤也の過去の経緯と繋がったくらましの依頼。吉次の名前が再々出てきて二代と三代など混同してしまう。赤也の失踪経緯が悲しい結末。それにもめげずに立ち向かう赤也が健気。
    広い江戸とは言え、これだけ目立ってしまうと、これからの仕事に影響するのではと要らぬ心配をしてしまう。今作では闘いの場面が少なく、相手を倒していない。また、平九郎の妻と娘の話題も出てこないのが寂しい。

  • 「くらまし屋稼業」の7冊目。
    イクイノックス関西初見参の宝塚記念を観に行った往復の電車で読了。人が多くて、仁川までターフビジョンを観に行ったみたいになってしまい、疲れた…。

    今回受けた依頼は、希代の女形であった故人をあの世から晦ましてこの世に連れてくる、というもの。
    いくらくらまし屋とて受けることが出来ない依頼は、しかし、赤也の出自と関わって、赤也はくらまし屋を離れて“芝居合戦”の渦中に身を投じることになる。
    幕閣やそれに取り入ろうとする商人の思惑に、くらまし屋捕縛に執念を燃やす道中同心・篠崎瀬兵衛や利権を手に入れんとする虚の刺客まで絡んでくる話は、いつものことだが、よくぞここまで色んな関係を組み合わせられるものだと思う。
    その中で、赤也を思う平九郎に、今回はとりわけ七瀬の強い思いが何度も描かれて、泣かせる。
    初めて出て来た虚の九鬼段蔵の強いこと。これに勝つには井蛙流を進化させねばならないが、かつての師匠・磯江虎市は見つかるのだろうか、今後の楽しみ。
    ずっと稽古もしてなくてああも華麗に踊れるものかと思うが、表紙の絵柄がいつにも増して楽しくて、まあ、いいか。

    またしても「夢の国」のことは描かれず、あちらはどうなっているのだろう。次巻も楽しみ。

  • 立つ鳥の舞 ― くらまし屋稼業シリーズの7作目
    2021.02発行。字の大きさは…小。

    剣の堤平九郎、頭脳の七瀬、変装の赤也のくらまし屋3人が、公儀御庭番の頭・曽和一鉄の助けを借り、虚(うつろ)の九鬼段蔵を退け、公儀道中奉行同心の篠崎瀬兵衛をきりきり舞いさせて、此度のお勤めを成し遂げます。

    此度の依頼は、潰れそうな芝居小屋濱村屋の看板役者の二代目吉次が、死んだ濱村屋の看板役者瀬川菊之丞を黄泉の世界からくらまして、芝居をさせてくれというものでした。昔、芝居人気を二分した濱村屋と天王寺屋とで、道成寺を演目に芝居合戦をする事となり、濱村屋は、これに負けたら潰れる事となります。

    この話を聞いた赤也が……、平九郎たちに別れを告げて、くらまし屋を去っていきます。
    赤也は、菊之丞の実子で二代目として生きるのを嫌い、濱村屋の仲間の見ている前で、平九郎に斬られて死んだ事になっていたのが、この濱村屋の危機に看板役者瀬川菊之丞として蘇える事を……。

    【読後】
    久しぶりに今村翔吾さんの本を読みました。カラクリもあり、どんでん返しも有りと、手が込んでいて、テンポも良く、殺陣もあり、楽しく読むことが出来ました。次作を楽しみにしています。

    【著者紹介】
    今村 翔吾(いまむら しょうご、1984年6月18日 - )は、日本の時代小説作家。京都府木津川市出身。滋賀県在住。←Wikipedia
    2021.03.25読了

    ※シリーズの感想と読了日
    花唄の頃へ ー くらまし屋稼業シリーズの6作目 2020.03.06読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/475844319X
    冬晴れの花嫁 ー くらまし屋稼業シリーズの5作目 2019.09.17読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4758442800
    秋暮の五人 ー くらまし屋稼業シリーズの4作目 2019.05.29読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4758442479
    夏の戻り船 ー くらまし屋稼業シリーズの3作目 ブクロク登録前に読みました。
    春はまだか ー くらまし屋稼業シリーズの2作目 ブクロク登録前に読みました。
    くらまし屋稼業シリーズの1作目 ブクロク登録前に読みました。

  • 〈くらまし屋稼業〉シリーズ第七作。

    今回は赤也の回。
    前身は役者であろうことは想像していたが、初代・瀬川菊之丞の実子であったとは。
    将来有望だった赤也が何故二代目を襲名することなく芝居の世界から消え〈くらまし屋〉の仲間となったのかが明らかになる。
    芝居のために他のものを捨てるのか、大切なもののために芝居を捨てるのか。これは芝居の世界に限ったことではなく、役人のお勤めや裏稼業の世界にもあるようだ。
    しかし赤也は昔から詰めが甘い。そのおかげで今があるわけだが。

    今回は誰かをくらますのではなく、赤也が消えた後に二代目・瀬川菊之丞を襲名した幼い吉次と彼ら『濱村屋』を救うために『天王寺屋』の中村富三郎との芝居合戦に助っ人として赤也が極秘出演するというプロジェクト。

    一度限りとは言え赤也が役者に戻るということは、『捨てた一生を取り戻そうとせぬこと』という〈くらまし屋〉の掟を破ることであり、赤也は〈くらまし屋〉から抜けようとする。
    しかしこの芝居合戦には『天王寺屋』の谷町である富商の黒い思惑、そこに乗っかる幕府の重臣、さらに彼らから依頼を受けた〈虚〉に、〈くらまし屋〉捕縛に燃える道中同心と、あっちもこっちも絡んで来て赤也一人でどうこう出来る段階を過ぎていた。

    赤也が一度限りの役者復活することについては心配しなかったし中村富三郎と良い勝負になるだろうことも予想はできる。ただその後、赤也が再び〈くらまし屋〉に戻ってくるのかどうかが気になって仕方なかった。タイトルも意味深だし。
    この思いは平九郎や七瀬ら仲間たちも同じ。特に七瀬の気持ちを考えると不安も募る。それもあってか、七瀬はアイデアを出すだけでなく自ら情報収集に動いたりと積極的。
    その結末はさて。

    一方の〈虚〉だが、また新たな?刺客・九鬼断蔵なる名前通り人並外れた怪力の持ち主が現れる。
    しかしそこは寄せ集め集団、一枚岩ではない。阿久多が意外にもお芝居好きだったのが良かった。

    山場は赤也の舞台シーン。芝居合戦だけに様々な趣向が凝らされる。様々な追手を振り切り現場に入り、舞台が終われば再び抜け出さねばならない。
    ここでも〈くらまし屋〉やその協力者たちとのチームワークが発揮される。そこは〈虚〉とは違う。

    終わってみれば〈虚〉との闘いも〈炙り屋〉との絡みも続きそうだし、道中同心も〈くらまし屋〉の捕縛を諦めていない。つまり状況は何も変わっていない。
    『濱村屋』の窮地も二代目・瀬川菊之丞がこれから背負って切り抜けねばならない。
    それでも仲間たちとの絆は深まったようでホッとした。

    『決めんなよ』『俺が幸せじゃねえって』
    幸せの形は人それぞれ。分かりあえる仲間がいるだけでもありがたい。

    〈羽州ぼろ鳶組〉に出てくる名前もチラホラ。そのうち本格的な絡みがあるだろうか。

  • 『くらまし屋』シリーズ第7弾。
    今回はくらまし屋一員の赤也にスポットを当てたもの。
    今までなんとなくぼかしていた赤也の過去が明らかに。

    赤也は相変わらず最後の詰めが甘い男…。
    そのせいで話を余計にややこしくしている。
    けれどその甘さを陰ながら助けているのがくらまし屋の仲間達。
    互いに足りない部分を補い合う様が実に見事。
    『ぼろ鳶』シリーズもそうだけれど、今村さんの物語は仲間同士の絆の深め方がいつも心地よくてスカッとする。
    赤也も表題通り艶やかな舞で見事に過去の因縁を断ち切れた。
    読み終えた後、改めて表紙の絵を見ると思わずニンマリ。
    あの人もこの人も、みんないるではないか。
    これも今回のお楽しみの一つとなった。

    帯にある言葉「人生をやり直す大舞台」。
    生きている中でどうしようもなくなった時、逃げたっていいんだ。
    自分が納得できれば、大切な誰かを守るためならば、何度だってやり直せるんだ。
    今村さんの心からのエールを受け取った。
    いつか七瀬の話も読んでみたい。
    そしてまだまだ謎に包まれたアレコレは、今後のお楽しみとしてシリーズの続編を待つこととする。

  •  くらまし屋の仲間・赤也の秘められた過去に渦巻く陰謀。平九郎たちは、仲間のために命を賭して戦う。くらまし屋稼業シリーズ第7弾。

     今回は、仲間の赤也の過去を軸に敵味方が入り乱れての物語が展開し、ページをめくる手が止まりませんでした。

     敵には、凄腕の奉行とともに、新たな最強の刺客も登場し、クライマックスに向けいやが応にも盛り上がる展開でした。

     仲間のために命を懸けて闘う姿に心を打たれ、新たな技を研究する姿にあこがれを感じてしまいました。

     強敵が次々と登場し、物語もさらにスケールが大きくなっていくようで、まだまだ楽しむことができそうです。

     くらまし屋たちの今後をしっかりと見届けていきたいです。

  • シリーズ第七弾。

    今回平九郎に依頼してきたのは、芝居小屋「濱村屋」の若き主人・二代目吉次。
    経営が苦しい「濱村屋」は、スター役者・中村富三郎を擁する「天王寺屋」と“芝居合戦”をする羽目になっていて、その合戦の裏には何か黒い思惑が見え隠れ・・。
    さらに「濱村屋」は“くらまし屋“メンバー・赤也の古巣だった事が判明します。赤也は己の過去と向き合い、乗り越えていけるのでしょうか・・・。
    と、いう事で、今回は赤也メインの巻です。彼の過去と、“くらまし屋”に入った経緯が書かれています。
    古巣のピンチを救う為、そして己の過去(父)と決着をつける為、舞台に立つ決意をする赤也。
    仲間を慮って、一人で行動しようとするのですが、平九郎と七瀬が放置するわけないですよね。結局赤也を全力バックアップする二人。このチームワークが素敵です。
    赤也を“くらまし屋”と見抜いた、切れ者道中同心の篠崎瀬兵衛(本当、この人は敵にしたくないですね。良い人だけに余計そう)に危うく捕縛されそうになったり、「虚」からは怪力・九鬼断蔵がたちはだります。平九郎と九鬼の闘いはもうハラハラもので手に汗握りました。
    ラストは赤也が圧巻の舞台を見せてくれて痛快でしたし、此度の件で仲間の絆が深まった気がします。
    あと、今回「虚」の刺客の一人・阿久多が芝居好きで自分が好きな芝居役者を害するのを拒んだ下りが意外と彼(彼女?)にも矜持があるのだな。と感心した次第です。炙り屋もそうですが、こういういい意味でのプライドがあると思うと彼らを憎めなくなりますね。
    とはいえ、彼らは強敵ですので、平九郎達に戦力の補強があればよいのは勿論です。平九郎のお師匠が見つかって力になってくれればいいのになぁと思った次第です。

  • いや〜、今回は赤也が主役なだけあって、ドラマティック。
    クライマックスの「娘道成寺」の舞台までの流れも良く、
    平九郎が仲間を助けるため闘うシーンに涙。
    それぞれが相手を思いやり、自分の個性を活かして解決策を見出していくところに
    くらまし屋ならではの色が出ていた。

    くらまし屋メンバーだけでなく、
    一鉄や瀬兵衛、さらに阿久多までもが
    良い味出していて笑えた。

  • 少しのつもりが、一気読みしてしまった
    いつものくらましとは異なるテイストだけど
    面白かった

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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