ユーモレスク

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838714278

感想・レビュー・書評

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  • 貯水湖に沈んだ弟、6年がたっても帰ってくるのではないかという期待を抱く家族、隣人、主人公の職場で万引きをした少年。それぞれが6年前の事にかかわっている、やがて明かされる事実。

    デパートの描写が凄く面白いと思った。
    長野さん自身、百貨店に勤めてた経験があってか裏が見れて。
    同僚の萌や先輩の三の宮が濃いいはずなのにいい味出してたな

  • やや冗長気味。
    行方不明になった弟真哉のことが主軸となる、女性周子が主人公の物語。
    途中、弟の存在を若干忘れるような影の薄さはありました。
    タイトルは隣の家から聞こえてくるユーモレスクを弟が好きだった、という理由より。
    でも別にユーモレスクをタイトルに据えるほどでもなかったような気もしています。
    ネクタイを選ぶという仕事はなんだか素敵に思えますけど、
    どこかいろいろな事を遠くから眺めているような、主人公と登場人物の間に壁を感じましたね。
    何はともあれ驚きのホモ率であった上に無理やり感が強くあんまりこれは面白い!とは感じませんでした。

  • 美しいです、やはり。
    流れるような包み込むような、心地よい文章。
    服飾品に関する描写はとくに素敵。
    和くんが可哀想だけど、かわいらしい。
    周子さんには幸せになってほしい、ぜったい。
    紳士服店に興味が湧いてきました。どうしましょう。

  • 長野まゆみさん作品における、『女の語り手』は、未婚の姉率が高い気がするけども気のせいか?
    男同士の恋愛がさらっとかかれており、好感が持てた一方、『男らしさとは何か?』と考えさせられた。

  • いなくなった彼、「変わった」趣味、蜘蛛の糸。

  •  涙があふれた。長い間、このことでは泣くまいと極めていた。泣くことによって弟の不在が確定してしまうのを恐れていた。だが、もはや真哉がこの世にいないことは疑いようがない。両親もわたしも、それを承知しながらただ、だらしなく先延ばしにしてきただけなのだった。
    (P.143)

  • いつもと同じく品のある登場人物達の、一風変わった物語。

    弟は最後にひょっこり帰ってくるんじゃないかと思いながら読んでいたけど、やはりそうはいかないのですね。

    作者の長野さんはデパートにお勤めだったとかで、主人公の勤め先の職場風景や人間関係等はその経験からなのですかね。
    暗号のような音楽や呼び出しがまた面白かった。


    これを読んで初めて知ったけど、あれがユーモレスクと言う曲なのですね。

  • 再読。大切な家族をやむをえない事故で失ったにも関わらず、妙に穏やかでああ、物語の世界だなぁと思ったものの、泣いてしまうことでそれを認めてしまうという件で全てが納得。止まった時間のようやっと動き出した中で、主人公には特に幸せになって欲しいなぁと思いました。

  • 痛いけれどあたたかい。

  • 過去読んだものの再読。
    といってもほとんど忘れていたので初読みのような気持ち。

    主人公と同じく歳の離れた弟がいるせいか、
    感情移入すると少し切なすぎてつらかったです。
    長野さんの作品は現実的な舞台であろうと、ここ最近のものは
    同性同士の恋愛というものに、周りの大人は寛容で、
    ほんわりした雰囲気が漂っているのが現実感のなさなのだけど
    これは、そのあいまいさを許さない隣の家のお姉さんの存在があることで
    世界観がいつもと0.5くらい違う。気がする。

    個人的に好きなのは弟と比和くんの「ちっとも邪魔にならない」という
    関係だったので、記憶のなかのふたりの光景がかわいくて切なくて
    たまらなかった。

    仕方のない子、みたいな感じのたかしについては
    これまたある種の感情移入を抱いてしまう存在で。
    やはり本は読むべき時に読むようになっているのだなあと実感。

    百貨店の細かい描写は長野さんの経験に基づくところがあるのかな?
    と妄想。男性のスーツなどへの細かい描写はさすがで、
    こだわりというか、美意識は面倒なものであるから捨てたいとか
    思っていたけれど、こういうの読むとやっぱり持ってていいんだわとか
    思えた。
    厚み、必要ですね。ほんと。

    最後に、めったに本を読んでて誰それのイメージとかないのだけど
    比和くんに限っては向井理が浮かんでしまった。
    多分厚み、故に。
    気分を害されたかたがいたらすみません。
    長野作品で向井さん(特別好きって訳ではない)とか「?」だけど。
    で、弟およびたかしについては当然誰も浮かばない。
    存在が別次元だもの。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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