自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心

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  • エスコアール
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900851382

感想・レビュー・書評

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  • 「日本のドナ・ウィリアムズよ」と知人に勧められて読んでみました。どちらも自閉症者が自分自身の思いや感じ方について書いた本ですが、ドナの自伝小説とは違いQ&A形式になっています。

    本書によると、著者は会話ができず、跳びはねたり突然大声を出してしまう、いわゆる「重度の障害」があるようです。でもその内面は、理性と驚くほど豊かな感性にあふれています。周囲の人達が不思議に思う行動について冷静に考えて答え、自分自身が困っていることを伝え、周囲の困惑をわかった上での配慮を求めるといったことを、押し付けではなく時々ユーモアも交えて述べています。障害云々というより、中学生が書いた本としてとても素晴らしいです。

    一番印象に残ったのは、「僕たちは、自分の体さえ自分の思い通りにならなくて、じっとしていることも、言われたとおりに動くこともできず、まるで不良品のロボットを運転しているようなものです」という言葉です。この一言で、私の自閉症を持つ人達への見方がガラッと変わりました。この本に出会えて本当によかったです。

    NHKの番組で東田さんのドキュメンタリーを放送したそうです。少しでも多くの人に彼らの思いを知ってほしいし、正しい知識を持ってほしいと思いました。私自身は見ることができず、そのことが残念で仕方ありません。最近の著作も続けて読むつもりです。

  • 自閉症の本はずいぶん読んだが、自閉症の著者の本は初めて。どうして変なのか、どうして普通にできないのか、を自閉症の人が自ら答える。これ以上説得力のある本はないだろう。コミュニケーション能力に問題があるだけで、その向こうにはぼくらとかわりのない精神世界が広がっている。それを表現できないのが自閉症という障害なのだ。この本が登場したことで、救われるひとは多いだろう。「自分のことで人が苦しんでいるのが一番つらい」という言葉が突き刺さった。コミュニケーション能力に問題があるのは、自閉症のひとばかりではない。

  • 自閉症の人の心のなか。自閉症といってもいろいろな人がいて、全員が全員彼と同じように考えているとは限らないけれど、とてもわかりやすく書かれていた。最後の短編小説は、自閉症とは関係のない物語。涙。
    この本をきっかけに撮られた映画もあるので、見てみたいと思った。

  • 今目の前にいるこどもたちに、同じようなことを感じたことがある?と聞いてみたくなった。

  • 自閉症の方はどんなことを考えているのか。口に出して語るのは難しくても、心ではいろんなことを伝えようとしている。
    もちろん、これは東田さんの場合であり、全ての自閉症の方に当てはまるわけではないけれど、それでも理解する扉になってくれるはずです。

    「原始の感覚を残したまま生まれた人間」という言葉が印象的でした。
    しかし、嬉しいからはねる、つらいから泣く、なんてそんなに単純なものでもなく。体がどう動いているかイメージするのが難しく、上手くコントロールできずに持て余していることが多いようです。

    ぱっと見で幼く見えてしまうからといって幼く扱ってはいけない。しかし、どんな気持ちかを語ることが難しい場合は推測するしかない。「辛抱強く支援を」と繰り返し書かれていたけれど、本当にそうだろうなあと思いました。

    他人に迷惑をかけることはやめる。
    他人に迷惑をかけないのであれば、大多数と違う言動であっても気にしない。
    それは、自閉症に関わらず大切にしたいことだと思いました。

  • 自閉症であることは別としてショートストーリーを紡ぐ才能は突出して高いと思われ、この方絵本も出されてるんですね。すばらしいです。彼は自閉症でなくても文章で世に出るべくして出た人ですね。

    逆に自閉症ではなくただの変わった性格の人が書いた本、として読んだ場合「助けろいうてもそれ依存されそうやしそれはちょっとなあ…」と普通に感じてしまう。それくらいエッセイとして整っているともいえる。だって中学生が書いてるんですよ。知らなかったら普通の若い子のブログですよ(言うても文才は普通レベルではないし、著者が書くのにどのくらい時間をかけて丁寧に綴っていったかは並大抵の努力ではないんだな…すごい)

    私の気持ちがうまく伝わるかどうか何ですが、単純に性格の合う合わないでコミュニケーションの距離感って図っていくものではないですか。例えば同僚ならば仕事がスムーズにいくようにそれなりに助け合うし、仲良くなれるかどうか気が合うかどうかだけの問題。

    そういう自閉症という先入観抜きで一個人として(当たり前だが)考えていいんだ良かった嬉しいなという本です。

  • 作者の東田直樹さんは、いわゆる『自閉症』。
     
    以前、彼をNHKで見たことがありました。
     
    そこには『自閉症』であることを除いて、
    我々となんら変わらない1人の人間が
    そこにいたのです。
     
    『自閉症』だからって子ども扱いしないでほしい、
    1人の男としてのプライドを持った人間。
     
    この本を通して、『自閉症』である彼が
    普段から我々以上に考えながら生きているんだ
    ということがひしひしと伝わってきます。
     
    彼らがどういう思いで生きているのかを知るためにも
    ぜひあなたにも読んでほしい1冊です。

  • 仕事柄、自閉症の方と接していて感じる疑問。それに対する理由がなんとなく分かる気がした。楽しそうに見えていた行動も楽しいわけじゃないと知り、毎日が思った以上に苦しいんだと想像できたけれど、光の粒子がキラキラ見えたりしながらクルクル回る楽しさとか、緑の美しさの感じ方とか素敵だと思う。想像するしかないと思っていた自閉症の方本人の気持ちを少し知ることができて嬉しかった。

  • NHKスペシャル 自閉症の君が教えてくれたこと
    を見て衝撃を受ける。

    自閉症の人たちに、こんな豊かな(健常者よりもつらい思いをしているからこそ、なお豊かに醸成された)内面を持っているとは!

    20年前までは、自閉症が神経障害であることは分かっていたけれど、その内面までは誰も分かっていなかったはず。(大学の時にゼミで自閉症を研究していました)

    まさに奇跡の出現。さらに研究が進み、多くの自閉症とその親たちが救われることを祈る。

    自閉症は、内面に豊かな思いや思考を持っていながら、表出がほぼできない、という病気なのだなと。自閉症だけでなく、一般人の家族や他人を理解するうえでもこの考え方は助けになる。

  • 先日たまたまテレビで観たドキュメンタリーで東田直樹さんのことを知り、さっそく本著を注文。今日届いてすぐに読んだ。

    彼(自閉症者)についての質問に、彼の言葉で答える形式だが、自身の体験をもとにした考えが述べられており、とても興味深く読むことができた。
    彼らの苦しみや視点、こころの動きについて、リアルな言葉で語られていて、少しだが理解できるような、そんな気になりました。

    ただ、これは自閉症者だけの問題でなく、十分に私個人に置き換えて考えられる部分もあるし、現代人の社会との関わり合いについて考えることにも繋がるような内容としても読めます。

    それと、巻末に収められている短編小説が良いのです。
    若い頃に感じる生の苦悩を、うまくイマジネーションで昇華しているなと思います。
    表現者としての、今後の活躍にも期待します。

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著者プロフィール

1992年生まれ。重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングによりコミュニケーションが可能。著書『自閉症の僕が跳びはねる理由』が現在30か国以上で翻訳され、世界的ベストセラーに。

「2020年 『世界は思考で変えられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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