営業の基本であり、どこでも習うことだけど行動に起こせていない内容が記載された内容でした。また営業の魔法にもある「ストーリー性」になっているので、すいすい読むことができ記憶にも残りやすい本書であったと思います。
営業マンであれば、バイブルにできるなーと感じた一冊です。
「営業の魔法」
<魔法の始まり>
~自分自身ではなく、相手をいかに集中させるか、それが会話力~
営業に必要な3つの力
・集中力 →自分自身ではなく、相手をいかに集中させるか。そして自分だけに注目させるか。
・会話力 →一方的におしゃべりするのではなく、双方向で話し合う力
・渦潮力 →相手を自分の流れに巻き込む力
<瞬間の沈黙>
~小さな選択と決断を繰り返させることで頭の中を整理させる~
セールスマンは自分の導きたい方向へ顧客を導く言葉を使う。そのために肯定話法と類推話法を使っている。
まずはもっと大切は「間」を相手に与えること。(=すなわち瞬間の沈黙)
① 人が「考えよう」とするとき、必ず人は目線を外す。
→その瞬間はじっと待つ。(間)
② 相手に「間」を与えた後、必ず目線が自分に戻ってくる。その時が話を始めるドンピシャのタイミングである。
なぜか? 深く考えるには落ち着いた時間が必要だから。「間」によって、人は選択と決断を繰り返すことが出来る。
「間」を与えないプレゼンテーションは、浅い思考で言葉のキャッチボールをすることになる。いざ、結論という段階で、改めて深く考えたいという欲求を相手に芽生えさせてしまう。
したがって、沈黙の恐怖に勝たなければならない。それがFor Youの精神である。顧客の気持ちを思う心があるのなら、自分の恐怖心よりも相手が考えることの大切さを優先しよう。
<人間力>
~顧客と成長の感動を共有する~
営業という仕事は、「人として当たり前のことをコツコツできるかどうか」である。
営業は顧客からたくさんのNoを貰わなければならない。Noは能力の「能」なので、自分の欠点に気付き、学び、成長することが出来る。
そして「営業」とは、「顧客の問題を解決するお手伝いをする職業。そして顧客と成長の感動を共有する使命がある」
そのために常に謙虚で正直であれ。
<売らない営業>
~商品を売るのではなく、顧客の問題解決のお手伝いをする~
悩みとは、時間が経つと忘れてしまう。人は解決するアドバイスを求めているのではなく、自分を理解してくれる人を求めている。
「ありがとう」という言葉が最大の報酬である。
<既成概念>
~勝手に作り上げた自分の限界は常に破り続けなければならない~
イメージの限界が自分の限界になる。そのため可能性を広げるためには想像力を超えることが必要になる。
既成概念はとても厄介なもので、営業をする者にとっては大きな落とし穴になっている。自分の中にいる弱気なアドバイザー(やめておいたほうが良い、無茶するなと制止する本能的な部分)である。
人生は失敗の方が圧倒的に多い。その失敗の経験によって既成概念は蓄積される。失敗から学べるという人というのは、弱気なことを叫ぶ既成概念に打ち勝てる人である。
人生は千回挑戦して一回成功するかどうかです。その失敗のたびに事実を受け入れるのです。言い訳はしない。
<応酬話法>
~口はひとつ、耳はふたつ。まずはしっかりと相手の話を聞くことから始まる~
朝早くオフィスに入り、朝の有意義な時間で習慣(日課)をつける。自分の一日を計画して、
明日を計画して、一年後、五年後、十年後をイメージする。
応酬話法とは、常に相手が答えやすいように話を進める話法。正しいプレゼンテーションや正しいクロージングには、正しい言葉の使い方がある。会話にも「話し方」がある。
まずよく聴くということ。耳できく「聞く」ではなく、心で「聴く」です。耳はふたつ、口はひとつ。もともと人間は喋る前に人の話を聴くことから会話が始まる。
なぜなら、言葉は釘と同じで、間違って打ち込んだ釘は、抜いても必ず釘穴が残るように、言葉も発した後に訂正しても、必ず相手の心に残っているから。
したがって、まずよく相手の話を聴き、真剣に応えることが正しい会話の仕方である。また、人は普段自分が考えていることが、言葉となって発せられる。
=普段考えていることが言葉になる。だからいつも正しい心でいなければならない(技術(応酬話法)の前に正しい心を)。
<二者択一話法>
~アポイントは自分の予定を上手にかわすこと。5分という時間は30分と了解と同じ~
二者択一話法は答えやすい上に+αの情報まで話してしまう話法。会話には適度な相槌と質問の二つが大切である。二つの引例を並べる前に、相手が具体的にイメージして比較できなければ全く意味がない。
この二者択一話法を実践で活かす良い方法がアポイントを取得するときです。
人はバーチャルな方が答えやすい。例えば、突然初めての人に「会ってください」といっても断られるが、「今年は無理でも来年会ってください。それまでに手紙を書いたり電話したりします。僕の人となりを理解していただく時間を取ります。宜しくお願いします。」と相手にイメージしてもらう期間を創るのが二者択一話法です。
※「会ってください」は自分本位であり、相手を無視しすぎ。比較的お時間にゆとりがあるのは今週と来週のどちらでしょうか?と会話をする。表現も大きなグループから入る。
仮に来週と答えた場合、来週でしたら週の前半と後半のどちらが比較的空いていますか?と聞く。ここで週の前半を指定した場合、こちらに興味があることになる。
今週と来週という大きなグループの場合、根拠のない「先送り心理」が働き七割が来週と答える。稀に今週と答える相手もいるが、この稀は時間にシビアでできるタイプ。アポイントが取れたならしっかりと理論武装したプレゼンテーションが必要になる。
来週の前半と答えたグループ:興味のある人(来週の後半では二週間近く間が空くことを嫌うから)
来週の後半と答えたグループ:しっかり2-3日前にリマインドを行う。いい加減で忘れている可能性が高いから。
アポイントの的(日にち)が絞られたら、相手にリアルにイメージしてもらう。「5分」という誰もが感じることが出来る時間(長さ)を提示して。5分の時間を作ってくれた相手は、30分は大丈夫と思って良い。
アポイントは極力顧客を優先しながら、自分のスケジュールに合わせることが大切。
<Yes, but~ 話法>
~まず顧客の意見を肯定すること。その意見に対して質問を繰り返すこと~
本当のYes, but話法とは、「But」の部分に秘密がある。「But」の部分は顧客に言ってもらう。つまり違う考えもあるな…と思っていただくこと。
大切なのは「質問」。顧客に質問をしていくことが「Yes, but話法」の極意である。なぜ、そのように考えるのか? 今、顧客が言ったことの真意は何だろうか? 本当のところはどうなんだろうか?というように、どんどん肯定しながら質問を繰り返すうちに、顧客が自分自身で「Yes, but」を繰り返してくれる。
そしてそれは押し付けられた「But」意見ではなく、自分自身で導き出した答えであるため、決して不快な思いをせず、勝手にクロージングを自分自身にかけていってくれる。
「営業」は人そのもの自体の在り方が大切である。例えば、短気の人に腹を立てない方法を教えるよりも「人は何に腹を立てるかで、その人自身の器の大きさがわかるものです」と導き、偉大な人になるためにも、些細なことで腹を立てないほうが良いことを諭すほうがどれだけ大切か。営業も、ただ相手のNoを消すだけの技術はたくさんあるのだから。しかし「なぜ?」をしっかり考えないと本質は導き出せない。
<質問話法>
~Noが出た時こそ本音を聞くチャンス~
成績の良くない人は暗い表情をしている。これは成績が良くないから暗くなるのではなく、暗いから成績が良くない。
「幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せだ」(ウィリアム・ジェイムズ)
→行動は感情に従っているのではなく、意志の力でコントロールできることを発見した。
『心が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる』
(=心は感情で支配されているのではなく、意志の力で心を規制することで前向きな人生に変えられることを発見した)
同様に博士はこう言っている「快活さを失ったとき、他人に頼らず自発的に快活さを取り戻す秘訣は、いかにも楽しそうな様子で動き回ったり、喋ったりしながら、既に快活さを取り戻したように振舞うことである」
「人間には、その人がなりたいと思うようになる性質がある」
例えば、「検討する」と顧客に言われたとき、自分の意思の力で感情を抑えるためには、質問話法を使う。
「検討する」ということは、「Yes」でもなく「No」でもない、「今は決めない」という答えなのである。
質問話法は顧客の本心を導き出す技術。つまり核心を突いた質問をする。
究極のところをついた質問話法の質問が「本当のところはどうなのでしょうか?」という質問(事前に「もう売り込みません」という利害関係を白紙にする言葉をはさむ)。
人は誰しも真実に気付かず判断する。時には本心とは違ったことを言ってしまったり、やってしまうこともある。そこで、こちらから先に聞いてしまうのです。恐れずに、笑顔で、
「本当のところはどうなのでしょうか?」と。
顧客は意外と自分自身の本音に気付いていないケースが多い。本心を教えていただいた瞬間から徹底的にその解決に集中する。
そして常に笑顔で自信に溢れた表情と態度で接すること。
「学ぶ」という事は「真似ぶ」からきたとも言われている。つまり真似ることから全てが始まる。真似るとは盗むこと。盗むには気付くこと。気付くには普段から考えるというアンテナを張っていなければならない。
<類推話法>
~人はストーリーが大好き~
武道に型があるように、営業にも型がある。「聴く」「観る」「伝える」という3つ。
営業の型はまさに人の話を聞くことから始まります。聴いて、聴いて、聴きまくる。聴くうちに顧客の何かが観えてきます。そして顧客のために自分はどうしたいのかが分かってきます。すると自然に伝えたいことは何なのかが分かり、情熱をもって伝えることができます。
武道に「守破離」という教えがある。「守」は徹底的に師匠を真似ることを説いている。つまり型から入り型に終わる。「破」は真似た(学び)抜いた教えに己の工夫を交え、その技を発展させること。「離」は全てを開放し、心と技に独自性を持たせ、新しい境地への道を究めるものとする考え方です。つまり一つの道に達する段階を説いた教えです。
営業にも「守破離」があり、「守」は一流の先輩の真似をする。時間管理、健康管理、環境管理、金銭管理の4つの自己管理を真似る。そして聴き方、観かた、伝え方を真似る。
また一流になるためには、営業の三要素が必要。
① 顧客の質
② 契約到達時間
③ 目標到達意欲
この3つを恒常的に成長させる能力を備えている人。
類推話法の絶大な効果は、第三者による「話し」なので、どんなに立派なことや偉そうなことを話しても、決して相手に嫌味に聞こえないということ。つまり謙虚な姿勢のままズバット確信を伝えられること。
しかしそのためには、数多くのたとえ話に引き出しを自分で用意する必要があるので注意。
人はストーリー(物語)が大好き。そして人は説教が嫌い。類推話法の素晴らしいところは、説教調になりがちなことを物語に置き換えることで、相手に気付いていただくという素晴らしい話法。
いつももやもやしていて仕事に追われた状態の人は、できるだけ先延ばしにしようとする人に多い。それは悩んでいるのではなく、頭の中にもやもやと残るものがある状態なだけで、即断即決を繰り返すことでモヤモヤは一つもなくなり、常に頭の中がスッキリした状態になる。
何かでトップになるためには、なりたいと思うのではなく、なると決意する。決意した瞬間、その目標の九割は達成されている。あとは行動だけだ!
目標から目をそらさずコツコツ積み重ねること、そしてひとつひとつの目標をクリアして目的を達成するコツである。
また、トップになってどうしたいのか?が大切であり、トップになることを目標としてはいけない。未来のイメージを鮮明にイメージすること。
<推定承諾話法>
~クロージングのスイッチは「もし、仮に…」という前置きにある
推定承諾話法とは、お客様がYes.であると仮定してどんどん具体的な話を展開していく話法。 「もし、仮に…」
クロージングは意識してスタートする必要がある。そのスイッチが推定承諾話法である。
また、「推定承諾話法」と「二者択一話法」は相性が良い組み合わせ。
「二者択一話法」や「Yes, but話法」と「推定承諾話法」を組み合わせて、本当のところはどうですか?とクロージングを始めてみる。
推定承諾…購入することを前提に考え始めることで、それを利用する自分をどんどん想像する。その結果、詰めた意見を期待し始める。
<肯定暗示法>
~曖昧な言葉を一切排除して、「Yes.」を前提にいい切る~
プロ営業マンと普通の営業マンとの決定的な違いは、クロージングにある。クロージングを掛けたつもりになっている人と、しっかりクロージングを掛ける人の違いである。
クロージングとは、Yes.かNo.かの結論を出すために、顧客に働きかけることである。
肯定暗示話法とは、「いい切る」技術。(例:教えていただけますか?× →教えてください!◎)
人は前向きに明るく言われると、ついつい自分も前向きに発想することを利用している。
アポイントが沢山取れる人の成績が良いのは、クロージングをきちんと掛けられるということ。
「検討します」は答えではなく、Yes.かの。を貰うことで本音を引き出そう。
「検討したい」という言葉を確認したら、再度質問話法を使ってクロージングを掛ける必要がある。「検討したい」だとYes.なのかNo.なのか、何を検討したいのかが不明だから。
営業は「先義後利」であり、利益が後でまずは正しい生き方が先であるということ。
論語にもある「利を観ては義を思え」という道徳と一緒。自分の利(Yes.にはやる心)をぐっと抑えて、しっかり誰を幸せにしたいのかを思い続けること!
一冊一顧客ノート:聞いたこと、感じたこと、全てを書き留めるノート
<ポジティブ・シンキング>
~真のポジティブ・シンキングとは、断固たる勇気を持って行動すること。そして最後の魔法を手にしたものは必ず成功する~
真のポジティブ・シンキングとは、明確なビジョンに向かって思考を集中して、断固たる勇気を持って行動することです。ビジョンから目をそらさないこと、身を投げ出さないこと。