- Amazon.co.jp ・電子書籍 (393ページ)
感想・レビュー・書評
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面白かった。登場人物豊富で重厚長大なストーリーだが、メインはやはり二人の天才の人生の物語だ。
上巻はクメールルージュの革命までで終わったが、時代は一気に経過し2023年に。ソリヤは自らがルールを作りゲームの王国をつくるために、国のトップになることを目指していた。そこにはルールが全く機能しない腐敗したカンボジアで育ての親を殺された経験が根底にあった。一方のムイタックは脳科学の研究をする教授になっていた・・・。そして二人は最後にゲームで再会し結末を迎える。
脳波でゲームをコントロールするのは将来本当に実現するかも?そしてゲームで勝つためには特定の脳波が必要で、そこには特定の妄想・記憶が必要で、それにより物語が生まれていく・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソリヤやムイタック、ティウンといった主だった人々が、いきなりけっこうな年齢で出てくる。年代も俺が今読んでいる2021年よりも、ちょっとだけ未来になっている。ポルポト政権がどうなっていくのか、ソリヤは、ムイタックの運命は?なんて漠然と予想していただけに、豪快なまでの肩透かしだ。
カンボジアの近現代史を背景にした、革命に翻弄される子どもたちや、まわりの人々といった展開から一転したんだよね。こちらで描かれているのは、むしろ近未来のカンボジアでの政権中枢に近づいた人をめぐるスキャンダルだ。不正に出会うと性的に反応するジャーナリストとか、ソリヤの養女、父親に古物商に売られた少年たちの物語があらわれてきて、だんだんひとつの物語となっていく。こちらはSFサスペンスという面持ちかな。この下巻だけでも、物語は成立しているんだけど、それでは深みがなくなってしまう。下巻で展開するサスペンスに、そこに至る背景を理解してこそ、ここまで物語に引き込んでくれたのだろう。
SF小説のつもりで手に取って、少し読み進んで「?」となり、買ってから1年くらい放っておいた。ふと思い立って読み始め、カンボジアの近現代史にひきこまれたと思ったら、今度はSFにかわっていた。
最後まで、愉しませてくれる小説だった。この著者の本を、また読んでみたいと思ったな。 -
上巻から続くエピソードが絡み合い、難解な内容が続く。面白さがイマイチ分からなかった。一度で理解するのは無理かも。