嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

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  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • ものすごい山場やどんでん返しがあるわけではく、比較的静かに進むのにその一行一行に引き付けられる。それぞれの話に細やかな背景があるせいかな…。
    わたしは特に、ムジカ・ムンダーナが好きでした。

  • 「魔術師」読んでぶっ飛んた。

  • SF的なもの、そこに父と子の関係性を入れ込んだものなどいろいろあったが、まだなんとなく筆者の文体やキャラクターが掴み切れない感覚。
    表題作の『嘘と正典』が、一番読み応えあったが、個人的な好みとしては、終わり方がもう少し・・・だといいな、というのはあった。

    • yoshichihaさん
      そもそも、『時の扉』の途中で、なんとなく読み進めづらくなって止まってしまっていたのが、『君のクイズ』『君が手にするはずだった黄金について』な...
      そもそも、『時の扉』の途中で、なんとなく読み進めづらくなって止まってしまっていたのが、『君のクイズ』『君が手にするはずだった黄金について』など読んで、改めて読んでみようという気になって再読したら、わりと普通に読めた、という経緯もあったので、そういう自分のなかの感覚の変化が興味深かった。
      2024/01/12
  • 面白い短編集!!!ぼくは魔術師と時の扉と嘘と正典が好き

  • 不思議な読み味の短編集だった。
    解説にも書かれていたが、ジャンル横断的と評して問題ない。

    表題にもなっている「嘘と正典」以外は、ミステリ要素のある話だが、綺麗にオチが付くわけではない。それでいて読者が考える余地を残して、不快にならない読後感がある。「嘘と正典」はSF味のある中編で、オチも含めて好みだった。

  • とてもおもしろかった。
    阿刀田高さんとか好きなSF好きは楽しめそうな気がする。
    でもちょっとオチが弱い。
    表題作より冒頭の魔術師の話がよかった。

  • 「魔術師」と「嘘と正典」は文句なしに面白かった。ただ上質な短編を読む時の、限られた文字数の中で過不足なくバチっと見事に歯車がかみ合った快感のようなものは希薄で、書こうとしていることと物語の長さが合っていない気がした。とりわけ「嘘と正典」は長編で、こってりと読みたかった。

  • タイムスリップをテーマに描かれた短編集。語り手が復讐者であったり、手品師が人生を賭して、舞台に臨む狂気であったり、タイムキーパー的な存在がいました!的なオチであったり、ラストの瞬間までドキドキできる作品でした。

  • 推し作家、小川哲の短編集。

    「魔術師」と「嘘と聖典」が最高ですね。

    ---

    「魔術師」 ★★★★★
    - かつて竹村はタイムマシンのマジックを行い、そのまま姿を消した。そのマジックを見破り、姉が再演する。

    「ひとすじの光」★★★★☆
    - 非SF。面白かった。
    - スランプ中の作家である僕と、父が遺したある競走馬の物語の原稿。

    「時の扉」★★★★☆
    実在の人物(ヒトラー、ユダヤ人のオッペンハイム)をからめたSF。解説にあるが、「王に向けて語る」という形式は、テッド・チャンの「証人と錬金術師の門」へのオマージュか。

    「ムジカ・ムンダーナ」★★★★☆
    - 音楽を貨幣として扱う民族と、音楽家の息子である僕の物語。
    - フィリピン デルカバオ島や、ルテア族というのは架空の民族かな?(そうでなければ、SF性はゼロだが)面白い設定だった。

    「最後の不良」★★☆☆☆
    - 創元SFの年刊日本SF傑作選にて既読

    「嘘と聖典」★★★★★
    冷戦時代のスパイものとして進行しつつ、最後、どんでん返し的に、実は歴史改変SFでしたって感じの展開。未来から過去へ、一方通行でのみメッセージが送れるという設定。

    CIAに情報を提供したいと申し出たロシア側の科学者ペトロフは、過去にメッセージを送る方法を発見していた。そして、偶然ホワイトが出会った学生のクラインは未来から通信を受け取っていて、時間工作のために働く中継者だった。

    エンゲルスがあの時、裁判で有罪判決を受けていれば、共産主義は誕生しなかった。

    2406年、歴史改変をする諜報戦争『歴史戦争』が始まっていた。各国は自国に有利になるよう歴史を改変しようとした。歴史改変が行われると『計算量』が増え、『因果の詰まり』が起こる。それが起こらないよう、改変がないオリジナルの歴史『聖典』を守る『聖典の守護者』というグループができた。

  • 『君のクイズ』を一気に読んで他の作品も読みたくなった。表紙にマルクスの顔が出ていて、どんな小説だろうと思ったことが、きっかけ。

    何やら、マルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の消滅、を企むSF小説を含む短編集らしい。

    特に『ひとすじの光』と『嘘と正典』が良かった。

    『ひとすじの光』は、ウルっときたな。。SF要素は強くなかったが、歴史、時代、血縁、の要素が縦の軸で繋がり、一気に広がりを感じた瞬間に無いし涙が出た。

    『嘘と正典』は、次の展開が気になり過ぎて、仕事の昼休み中も読んでいた。壮大な物語。

    今まで、正直、SFって読んでこなかったけど、良さがなんとなく分かったような気がする。
    自分にとっては新しい読書体験だった。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

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