源氏物語を学生以来、もう一度読んでみようと購入。
9人の有名作家さんがそれぞれ個性的な文体で現代人に分かりやすく
物語を展開している。
大好きな作家である、金原ひとみさんの作品もあり、どの題目を書かれているのかとワクワクしながら読み進めた。
金原さんの『葵』、町田康さんの『末摘花』、桐野夏生さんの『柏木』、
小池昌代さんの『浮舟』が特に印象的で読みやすく感動した。
全体的に光源氏の美しさ、深い教養、女性に対する扱い、歌のセンス、物事に対する人より一歩達観した考え方などを1冊を通してたくさん味わう事が出来る。
源氏の代が終わり、子孫の代の話になってもどこか薄っすらと必ず源氏の存在を感じれる部分があり、それを拾いながら物語をより深く自分なりに感じながら読む楽しさもあった。
特に『柏木』では、女三の宮が源氏に対して嫌悪感や憎しみを抱く内容が印象的だった。殆どの女が源氏には従順、愛さずにはいられない、堪らない感じだった為、正妻というポジションに居ながら真逆の感情を持つのには驚きだった。そうなってしまった理由も、紫の上や源氏の周りの女に対する劣等感、なかなか上手く源氏と関係を築けない悩ましさ、若い自分に対して抑圧してきた若い男に対する好奇心などが重なり合った結果なのだが、私も所々同感してしまう部分があり、感情移入してしまった。唯一の逃げ道だと思い、通じた柏木の気持ちが自分の肩書き目当てだった事、面白味も何もなく思い込みで夢中になってしまったと絶望する場面は哀しさと虚しさでどうしようもない気持ちになった。最終的には柏木との不義の子を授かってしまう。皇女という高貴な身分に恵まれた故の辛さ、変えられない宿命に翻弄された人生…架空の人であるが、生まれ変わったならば思い切り自分の人生を謳歌し、幸せになって欲しいと願わずにはいられなかった。
またまだ源氏物語の一部にすぎないので、全部の巻を時間を見つけて読み直してみたい。
- 感想投稿日 : 2023年1月11日
- 読了日 : 2023年1月11日
- 本棚登録日 : 2023年1月11日
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