リーダーの教養書 (News Picks Book)

  • 幻冬舎 (2017年4月27日発売)
3.66
  • (12)
  • (30)
  • (26)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 421
感想 : 33
4

出口治明氏、楠木建氏をはじめ、歴史、経済、IT、医学、宗教など様々な分野の専門家が、その分野の教養書を挙げ解説している。教養の重要性の説明が簡潔明瞭で、実際に推薦されている本も今まで知らなかったものが多く、興味深く読み進められた。今後、何冊かは読んでみたいと思う。

「勝負に勝ち続けて、世の中をリードし、何か偉大なものを残せる人間は、「普遍的なもの」を自分の中に持っている。「普遍」のストックを自分の中に多く備えていれば、それと時代性を掛け合わせることにより、無数のアイデアが湧いてくる。しかも、普遍に基づいたものは、人間の本質に根ざしているだけに、持続性と爆発力のあるアイデアであることが多い」p6
「ハウツーを記した、似たような内容のビジネス書を読み続けても、それは、一瞬の気晴らしになるだけで、あなたの「知の土壌」を豊にはしない」p7
「マイクロソフトのビル・ゲイツ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、アマゾンのジェフ・ベゾスといった米国のトップ起業家は、歴史、科学、文学に精通した教養人だ」p7
「豊かな教養を持つのは、頭の中に多くのブレーンを抱えているようなものだ」p7
「自分の言葉で対象をつかみ、自分の頭で考えることができない人ほど、目先の現象だけですぐに大騒ぎをする」p20
「リーダーが経営判断をしないといけないときは、実はそれほど多くないのです。しょっちゅう経営判断をしているようにみんな思っているようですが、基本的には何かが起きたときに、わからないことを決めるのがリーダーの役割です」p22
「(大東亜戦争での敗戦)当時の日本の状況についてもよく言われることですが、「精神論だから負けた」というのが一般的な理解ですね。ところが実際はそうではない。因果関係が逆なのです。精神論があるから負けたのではなく、負けが込むうちに精神論になってくるんですね」p26
「未来のことがわからない以上、僕たちに残された教材は歴史の中にしかない。そして、人類はこれまでに膨大な数の歴史を蓄積してきたのだから、そうした「パターン」の中から示唆を得ることは多分に可能だろう。歴史は、おそらく、いくら勉強しても決して飽きることがないケーススタディの宝庫である」p43
「ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』」p44
「イアン・カーショー『ヒトラー(上下)』」p61
「サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ『スターリンー赤い皇帝と廷臣たち(上下)』」p61
「アダム・スミス『道徳感情論』」p64
「鈴木亘『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』」p80
「「生まれながらのリーダー」など存在せず、リーダーとはあくまでも「なるもの」なのだ。例えば、社長になろうとして社長という「地位」につくことは可能だろうが、それがそのままリーダーであるというわけではない。リーダーとは、結果的に「なっているもの」あるいは「なってしまっているもの」である。かつ、リーダーになることそれ自体が「目的」であってはならない」p93
「個性ある人間をまとめ、組織して事業を行なっていく上で、人間に興味のないリーダーにリーダーシップを発揮することは不可能である」p101
「リーダーを目指す人間にとって、読書は不可欠だ」p103
「読書に時間もコストもかけない人間は、絶対に出世しないと言い切れる」p103
「歴史を学ぶ効用としては、「家長」の意識を持てるということがある。「家長」とは、当事者であり、リーダーであり、「責任をとる人間」ということだ。批判するだけであれば楽だが、家長は批判するだけではすまない。ビジネスにおいても、家長である経営者は、自分で提案し、実行し、利益を生み出さないといけない」p104
「ナショナリズムというのは国民国家ということだ。それを踏まえないと、単なるモダニズムになってしまう」p106
「石光真清『城下の人』」p107
「橋川文三著作集」p108
「人間はやっぱり下積みの生活がないとダメだ」p112
「「各生物は、何かを行うために進化した」と考える人がいるかもしれないが、これは「進化に目的がある」という典型的な誤解だ。生物の進化は、偶発的に生じた突然変異と、どんな遺伝子がより多く選ばれるか、つまり複製率の差異という二つの要素の結果でしかない。そこに目的や意志は存在せず、その意志なき進化によってこそ強力な繁栄をもたらす。進化生物学者マット・リドレーの言葉を借りれば、まさに「進化は万能」なのである」p120
「カール・ジンマー、ダグラス・J・エムレン『進化の教科書』」p121
「ジェフリー・ムーア『キャズム』」p136
「これまで私は数多くのベンチャービジネスを見てきたが、初期段階でスムーズにユーザーを増やした割に、途中で失速するプロダクトは枚挙にいとまがない。一方、最初はパッとしなくても着実にユーザー数を増やし、いつの間にか市場の中心に躍り出ているプロダクトもある。これらを分けるのは「キャズム」に関する意識の差に他ならない」p136

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月10日
読了日 : 2023年10月10日
本棚登録日 : 2023年10月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする