最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
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感想 : 362
4

手に取ったのはMEN'Sを読んだので女性編も、という安直な理由。
個人的には女性作家の恋愛小説は苦手な部類に入るものが多いのだが
このアンソロジーは期待以上に当たりが多かった。

春太の毎日(三浦しをん)
『きみはポラリス』にも収録されてるから読んでるはずなのに全く記憶にない(爆)。
春太が何者なのか途中で気がついたという。
読み終わってからSEX MACHINEGUNSの『犬の生活』が脳内リピ(笑)。
改めて歌詞を読むとまるっきり内容がリンクしている。

ヒトリシズカ(谷村志穂)
よく考えてみたらこの方の小説は読んだことがなかった。
文体の印象は『結婚しないかもしれない症候群』の頃と変わらないかな。
この話のからくりも途中から薄々わかってきた感じ。
女性作家の書く恋愛小説としては王道な気がする。

海辺食堂の姉妹(阿川佐和子)
当たりのうちのひとつ。
昔ばなしか民話かっていう感じの語り口なのにも拘らず
登場する姉妹のキャラと役割がイマドキだというギャップが面白かった。

スケジュール(沢村凛)
初めて読んだ作家さん。
この中ではいちばんテーマに沿った話だと思う。
淡々と話が進む中で、主人公が見せる『最後の』恋へのこだわりと
人生のスケジュールを遵守することに対する執念がなんとなく怖かった。

LAST LOVE(柴田よしき)
終盤に差し掛かるところまでは、いちばん苦手なタイプの話だと思ってたのだが
残り3ページほどの婚約者と猫のくだりで、印象が当たりへとひっくり返った。
『このひとでいい。このひとが、いい。』という1文が印象的。

わたしは鏡(松尾由美)
この方も初めて読む作家さん。
ミステリ寄りと見せかけて、謎解きがちゃんと恋愛小説に機能しているのがすごい。
個人的な感想だが、この話の読後感がいちばん切なかった。

キープ(乃南アサ)
『スケジュール』や『LAST LOVE』と雰囲気が似ている。
違うのはどんでん返し感が薄いところ。

おかえりなさい(角田光代)
離婚届を出す寸前というリアルさと、老婆との遣り取りの実感のなさ。
ふたつが絡み合って醸し出される空気感がとても不思議な話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アンソロジー
感想投稿日 : 2013年8月20日
読了日 : 2013年8月19日
本棚登録日 : 2013年8月19日

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