営繕かるかや怪異譚

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024171

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記で有名な小野さんお初でした。
    フィクションなんだけどフィクションぽくない怪談…というか不可思議な話、というのがしっくりくる。
    京都に行きたくなる本。怪談なのに町家に棲みたくなる不思議な本。2巻目も読みたい。

  • 先に二巻を読んでしまったので前後したけど、こっちも面白かった。
    というか二巻より遙かに尾端さんがちゃんと名乗って出ていた。営繕かるかやっていうタイトルもちゃんと回収していたし。何故二巻はこの屋号を名乗らなかったのだろう?
    怪異を除霊したりするタイプではなく、家に手を入れて共存や巧いかわし方を提供する感じなのがいい。そして事情が分かると怪異に同情してしまう話も。
    どの話も導入が巧いなと思う。何度閉めてもいつの間にか少し開く襖とか、雨の日に現れる喪服の女性と鈴の音とか、勝手に家に入り込んでいる痩せこけた老人とか。和風ホラーならではの不気味さがひたひたと迫ってくる感じがたまらない。
    個人的には「雨の鈴」が怖かった。少しずつ、でも確実に近づいてくるタイプって怖い。しかも死亡フラグ確定だと最悪。
    「異形のひと」も事情を知れば可哀想なんだけど、ふと何かを覗いたり開けたりした時に見知らぬ老人が…とか怖すぎる。
    「檻の外」もガレージのシャッターが勝手に落ちて真っ暗で、そこに子供の霊とか叫ぶと思う。ただ事情を知ると胸糞悪い、可哀想な話だっただけに最後解放されたっぽくて本当に良かった。

  • 雰囲気も物語自体は大好きだが、何かが足りない…つないでくれる何かが。
    長く考えることも必要なく、足りないものは営繕屋の存在感だと思う。表紙に描かれているわりには「申し訳なさそうに微笑んで、「分かりません」と言いながらサッと解決してくれる青年」ぐらいしか中身がなく、さらにセリフさえもない章もある。
    それぞれの物語がそれぞれの視点から描かれている点は素晴らしいですが(リアリティがあって、それぞれ違う空気と背景がある)、やはり「定着剤」になるはずの営繕屋の存在感が足りない…もうすこし「サブスタンス」が欲しかった。

  • 久しぶりの小野不由美さん。やっぱりまちがいないなー。

    ただのホラーで終わらない。どこか、人間味といったらおかしいけど、物哀しくて、切なくて、寄り添ってあげたくなるようなお話ばかりでした。

    本のタイトルを見たときは、なんのこっちゃ?やったけど、今までになかった新しい設定が新鮮で、さくさく読み進められます。

    怖いものに、ただ蓋をして閉じ込めるのではなく、救ってあげる。そんなお話の連続でした。

  • 切なく、読後感は不思議とさわやか。
    怪異が起これば、生きている人間は恐怖を感じる。
    しかし悪意や害意はあまり感じず、祓い消滅させるべきものとも思えない。
    生きていないものに寄り添い、生きている者が共存できるようにする。
    除霊ではなく、営繕というアプローチが優しい。
    特に「檻の外」は泣けた。

  • 恐れに対し、奉るのでも封じ込めるのでも攻撃するのでもなく、ただ干渉しあわず互いのまま共存できる方法をとる、という考え方にちょっと目から鱗でした。
    そこに、必ずしも理解が必要なわけではない、というのがまた好い。互いの在り様への尊重がありさえすれば。
    何はともあれ、充分に怖かったけれど。

  • 家にまつわる怪異を営繕屋が解決するという短編集。しかし、解決する前の怪異のありようが詳しく描かれ、時にはそれが哀れを誘う。

  • 普通。
    むかしの、「緑の我が家」とか「過ぎる十七の春」とかの方が怖くて後に残るものがあった気がするんだけど、読んだ年齢が合ってたのかなあ

  • 古い町家の多い城下町で起こる家に纏わる障りや怪異、それを直す営繕の尾端のお話。

    尾端は最後にちょこっと出てきて、住んでいる人とそこに出るモノを救ったり、障りを直したりする。
    だんだんと近づいてくる喪服の女が怖かった。逃げられない感じが本当に袋小路みたいだし、その存在の異質さやラストがちょっと八尺様っぽくもあり、過ぎる17の春の母親っぽくも感じられる。
    開かずの間の女も現象だけだとすごく怖いけど、こっちは尾端の営繕によって読んでるいるこちらもガラッと視点が変わり、共存できるというか、救われる感じがあった。
    ガレージの子供や隠れるおじいさんも同様に。
    封じていたモノを損なってしまい、再発する怪異を描いた井戸の手や河童の話は、もっと背景事情が知りたいなと思う話だった。
    全体的には障りには不幸な、同情を感じる人の死が多くて、それを鮮やかに解決してくれる様はさすが読ませてくれるなぁと思った。長編とは違って、がっつりな怖さはあまりないけど、楽しかった。

  • 図書館で借りる。不可思議な事象に対して、徒に恐れるのではなく『そう在るもの』として接している。優しいわけではないけれど、誠実な話だと思った。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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