僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385160

感想・レビュー・書評

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  • かなり仕事観に影響を受けた良著でした。
    今の仕事に対する不満は、昇給しても、転職しても解決しない。自分自身の考え方を変え、働き方を見直さなければいけない。

    結論としては当たり前だと感じることも、その結論に至るまでのロジックが見えてスッキリして良かった。

    「企業として」ではなく、あくまで「個人(サラリーマン)」の幸せのについて突き詰めた内容。

    ---

    使用価値=それがどれだけ役に立つか
    価値=それを作るのにどれだけ手間がかかってるか

    モノの値段も給料も価値で決められる。
    それに対して、使用価値=市場原理で調整される。

    ※マルクス『資本論』より

    ---

    ①満足感ー②必要経費=自己内利益

    ①をそのまま、②を減らす方法
    P226 「楽しい仕事」というのは、「興味を持てる仕事」のこと

    ②をそのまま、①を増やす方法
    P241 目先のキャッシュ(=残業)ではなく、将来の土台作りに投資する。

  • 利益を増やす為には
    ①売上を増やす
    ②費用を減らす
    の2通り。

    自己内利益がプラスでなければ、また増えていかなければ、どれだけ給料を稼いでも、どれだけ満足感を追い求めても、まったく意味がありません。

    年収・昇進から得られる満足感−必要経費=自己内利益

    ①世間相場よりもストレスを感じない仕事を選ぶ
    ②まず「積み上げ」によって土台を作り、その土台の上でジャンプする
    ③労働力を「消費」するのではなく、「投資」する
    ④長期的な資産を作る仕事を選ぶ
    ⑤過去からの「積み上げ」ができる仕事(職種)を選ぶ
    ⑥変化のスピードが遅い業界・職種をあえて選ぶ
    ⑦賞味期限が長く、身につけるのが大変で、高い使用価値のある知識・経験をコツコツ積み上げる
    →会計の知識や営業力、その業界で成功するために必要な人脈などが「賞味期限が長い知識・経験」
    お客様に商品を売ることが出来る営業力

    「身につけるのに手間や時間がかかるもの」が労働力の価値をあげてくれます。
    「他人から評価され、お金をもらえるくらい”大変な”資産」でなければ意味がない。

    企業は「使用価値がある価値」に高いお金を払います。「一生懸命頑張って、この仕事ができる知識と経験を身につけました。そして、それらを活かして年間10億円の利益を生み出せます!」という人に高いお金を払うのです。

    一気に何かを得ることにはデメリットも存在している。

    「資産を作る仕事を今日はどれだけやったか」
    「ひとは、1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する」

  • 私がこの本を手に取ったのは、決して毎日が辛いからではなくて、
    本屋のPOPにやられたから。
    「20代で読みたい本No.1」と書いてあったから。
    もうすぐ20代終わる…と思って買ってしまった。

    中身はと言えば、資本主義社会とは、そしてその中で生きていくには…を書いた本。
    分かっていたけど、あたらめて言われるとなるほどなと思ったのが、物の価格の成り立ち、そして給与形態の成り立ちだ。

    価格は、需要と供給の関係でなく、
    かかった費用+需要と供給の関係で成り立つということ。
    つまり、価格決定の大きな要因はどれだけ人が欲しがるかよりは
    どうやって作ったかが必要だということ。

    これと同じことが給与形態にも当てはまり
    サラリーマンのお給料は明日も同じように働くために必要なお金を渡されているだけなのである。
    そして、プラスアルファとして多少能力給がつくのだ。

    ということは、自分の自由にできるお金と時間を得るためには、どうすればいいのか?
    「金持ち父さん、貧乏父さん」の本には(読んだことないけど)自分のお金投資をして、自分が働くのではなく自分のお金を働かせることで利益を得ると書いてあるそうだ。
    それも一つの考えで、またこれをすることにより社会的にもメリットはあるのだろう。
    しかし、この本の結論は、費用分価格が上がるのと同じで実力を伸ばすこと。
    そうすれば、同じ成果を今までより少ない力で達成することが出来る。
    というものだった。

    本屋のPOPなかなかやるな…。
    資本主義社会というのはどういったものかがよくわかりました。
    結局仕組みを理解したうえでうま~く波乗りしてくには
    どうしたらいいんかなぁ、と思いました。

    まぁ決して人生のゴールが「お金を稼ぐこと」には非ず。
    けれど、自己実現=多くの人に認めて貰うこと=多くの人を何らかの形で幸せにすること=付随的にお金が手に入る、という図式は成り立つ気がする。
    うむ。
    ここのところ、よく思うのだが、追われて目の前のことをいっぱいになりながら仕事するのはやめようと。
    何がしたいかを考えながら、時に追われていっぱいになるときがあったとしても、本当に必要ないっぱいにしたいなと。

  • ちょっと内容は難しいけれども、新しい切り口でこれからの労働問題について論じているおもしろい本。

    労働とは何か?という疑問に本書ではマルクス経済学から答えを出している。

    マルクス経済学というと、経済の失敗例みたいに思っている人がいるけれど、本当の意味では資本主義の成れの果てであり、ダメも糞もないのである。

    既存のこの手のビジネス本を読んでもピンとこなかった人にはオススメである。

    新しい戦略であることは間違いなし。

    では、バイちゃ!

  • 「怖い話の本」よりも怖いと感じました((((;゚Д゚))))))) 今の働き方って、つまりは「パケ放題」じゃんかーー‼!って。

    資本主義社会の中にいるってことは、「経済的な囚人のジレンマ」なんだって気づきました!

    高収入が欲しいのは、人間の欲求が底なしだからってだけじゃない!!

    【A書評】
    自己資産を増やす為の行動とは、可能性として何があるかを考える
    →今週中にまずその行動を取る!

    転職でお悩み中の方にはこの本を勧める☆

  • <僕たちの「給料」は、なぜその金額なのか?>
    キャリアコンサルティングをしていると、仕事が出来ない先輩が、自分より
    高い給料をもらっている事が我慢ならないと言う話を良く聞きます。

    私も給料は自分の能力に対して金額が決まっていると思ってました。

    本書ではマルクスの『資本論』でいう労働価値説を用いて給料がどのように
    決まっているが解りやすく説明されてます。

    完全成果主義以外は必要経費方式と言って、生活に必要なお金しかもらえず、
    給料はそもそも努力や成果をベースに決まっている訳ではないようです。

    実は「同じように働く為に必要な経費のみ」しか支払われていないようです。

    マルクスの経済学では「労働の再生産コスト」と呼ぶようで
    「再生産コスト」とは「もう一度同じことをするのに必要なお金」の事です。

    つまり、明日も同じように働いてくれるだけのお金が「給料」だと言う事です。

    高卒と大卒でなぜ給料が違うのか?中途で入ってきたマネージャーが
    自社の事も知らないのになぜ高給で雇われているのか?数々の疑問も
    資本論的に考えると整理が出来る気がしました。



    <残業代では豊かになれない>
    経済構造的「囚人のジレンマ」を例に目先の利益に惑わされるず、俯瞰して
    みると、どれが正しいのかを判断できるとあります。

    営業マンが目標を達成するために毎日遅くまで残業をする、週末も
    会社にでて仕事をする。毎月毎月必死になって会社の為に頑張る。
    しかし、頑張る事を辞めた途端に成績は下がり、会社の評価は下がる
    その時になって、会社の為に頑張ったのに認めてくれないと
    嘆く人が多い気がします。

    実は目先の利益に惑わされて、長期的な視点で自分の能力を積み上げて
    いなかった為に、ゼロリセットで働き、体力、気力で頑張っただけのようです。
    体力、気力がなくなった途端にゼロになってしまいます。

    残業代で給料を上げると言う考え方はまさしく、労働力として時間を
    切り売りしているだけなので、長期的な視点で考えると豊かにはなれないと
    と思います。

    はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり・・・ですね。


    <労働力を「消費」せずに「投資」する>

    本書では残業代やインセンティブのような目先のキャッシュに
    惑わされずに、長期的な視点で労働力を投資しようと提案しています。

    私なりの解釈では「労働力の価値」を高める為の時間の使い方が
    もっとな重要な気がしました。

    具体的には9時-18時定時の会社で目標達成する為に営業マンが
    終電前の24時まで働いているとします。
    6時間を残業して目標達成の為に頑張っているのですが、
    1件でも多く客先を回る、DMを出す、電話をするという働き方ではなく、
    長期的な視点で、プレゼン能力を高める為に勉強会に参加したり、
    関連書籍を読む時間につかったり、知識を付けることで「労働力の価値」を
    高める時間をつくりましょうと言う事だと思います。


    アンソニー・ロビンス「ひとは、1年でできることを過大評価し、
    10年でできることを過小評価する」とあります。

    目の前の仕事をこなすだけの働き方ではなく、10年後を見据えて
    「労働力の価値」を高める為の時間確保する事が、ラットレースから
    抜け出すための方法なのかもしれません。

    私自身も<労働時間>を「消費」せずに「投資」の時間にしようと思います。


    <最後に>
    文章として分かりやすいのでさらっと読めるのですが、一章ごとに
    考えさせられるので、読むのに時間がかかりました。

    入社して3年目、与えられた仕事はこなせるようななった社会人が
    立ち止まって、次の方向を探している時に読んで頂きたいと思います。
    本書から気づきを得て、行動した結果10年後には豊かな暮らしを
    している事を願います。

    最後に本書にも引用のあった作家の中谷彰宏氏の言葉も心に響きました。

    「したいひと10000人、始める人100人、続ける人、1人」

  • 前半は、仕事に対するそれぞれの悩みを根本から解決するために知っておくべき、資本主義経済の構造・仕組みと、労働者の置かれている状況について解説。
    後半はその中で働く労働者がどのような働き方、そして生き方を目指していくべきかについて解説されている。
    働き方に疑問を持つ人は、転職などを考える前に読むべき一冊。今の仕事の仕方を見直すキッカケになるだろう。

  • これは面白かった!
    瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』より面白かった。

    前半の資本論の説明だけでも面白いのに、後半の資本主義社会における賢い生き方のアイデアは凄まじい示唆に富んでいた。

    レヴィナスは論文を書く前に頭の回転を増すべくマルクスの文章を読むと言ったらしいが、今までマルクスの文章にそんな刺激を感じたことはあまり無かった。
    しかし、この本の前半に説明されたマルクスのアイデアは、機知に富み脳を強く刺激した。

    後半は『僕は君たちに武器を配りたい』で提案されていた生き方よりも少し抽象的ではあったが、実践しやすく、何より「経済学的な学問のすすめ」のような印象を受けた。
    自己啓発本の類と解釈することも可能だが、一般のそれより非常に本質的だったと感じた。

    ビジネスマン向けに書かれているようだったが、学生(特に就活前の人)が読んでも非常に面白いと思う。

  • 日本の会社員の給料の根拠は貢献度ではなく「この年齢なら家族がいてこのくらい必要でしょ?」に基づいている…!謎の「給与テーブル」に昇給阻まれがちな意味がわかりました。頑張ったら上げるよ!じゃなくて、このくらいあれば最低限生活できるよね?としてお給料決まってたんや。。。だから冠婚葬祭の時に会社からお金出るのね、、、「お香典出すのにいるでしょ?」ていう。

  • 発刊から10年以上経っていますが、面白い。

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著者プロフィール

1977年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。学生時代から複雑な物事を言語化し、シンプルに表現することに異常な執着を持ち、大学在学中に『資本論』の解説書を自作し学内で大ヒットさせる。リアルな現場と経済学の両面から、個人が幸せに生きるための働き方を分析し提言している。コミュニケーション、投資、個人ビジネスの立ち上げ手法を構造化・言語化し累計5万人以上に指導。また出版コンテンツへのコンサルティングも行い、延べ1000冊以上プロデュース。著書には、『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』(講談社+α文庫)、『カイジ「勝つべくして勝つ! 」働き方の話』(サンマーク文庫)ほかがある。趣味はハワイ。


「2022年 『その働き方、あと何年できますか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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