斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061851894

感想・レビュー・書評

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  • 散りばめるだけで骨が折れそうな膨大な伏線を全て拾いきる緻密な流れはさすがの本格派。ただし、トリックは斬新すぎて…。それから動機付け。あの部分はまるでそのままホームズ作品に出てきてもおかしくないような無理な説明臭さを感じた。

    それまでが陰鬱と長かったせいか、御手洗が登場して向こうしばらくは笑いが止まらなかった。登場人物たちの憔悴具合にあのギャグみたいなテンションでこられたら我慢できない…。いや、途中まで正直ギャグだと思っていた。

    石岡君、ご愁傷さま。

  • 島田荘司の産んだ名探偵・御手洗潔シリーズ、「占星術殺人事件」に次ぐ第二弾。・・・のはず。
    「占星術・・・」のレビューの中で、御手洗&石岡コンビに覚えた違和感についてさんざん書いたので、ここではそれは省略します。今回は二人の出番が後半に限られていたことと、地の文が非常に落ち着いて読みやすかったこともあって、前回ほどの不愉快さはなくさらさらと読めました。
    舞台は、北海道最果ての地にぽつんと建つ「流氷館」。建物全体が斜めに傾いているという異様なデザインの屋敷で、クリスマスの夜から立て続けに起こる不可能趣味の密室犯罪。動機も物理的チャンスもないように見える招待客たちと住人、使用人たち。いったい誰が、なぜこのような殺人を犯すのか。刑事たちが泊まり込む中で更に起こる事件に、誰もが恐怖におののくが・・・!?
    典型的な「嵐の山荘」もの。アクの強い登場人物といい、リアリティ無視の奇妙な建築物といい、超絶トリック(人によっては失笑モノかも)といい、いかにも本格らしい本格ミステリ。なにしろ「読者への挑戦」まで(またしても)あるからね・・・(笑)。
    ツッコミどころも多々あるし、非現実的としか思えない箇所もあるが、不思議なことに「占星術」ほどには気にならない。マイナスになっていない。
    これは、「物語の設定がこうなんだから、そこに突っ込んでも意味がない=こういう世界観だと受け止めよう」と思える程度にはおもしろく、リーダビリティがあるからだと思う。前述のとおり、落ち着いた語り口に安定感があるので、いざ御手洗がやかましく登場しても、そういう演出なのだと思えるからでしょう。
    惜しむらくは、刑事たちの描写がお粗末なこと。所詮は主役の引き立て役とはいえ、むちょっと緻密なプロの仕事をして、(一般人が考え得る)可能性はすべてしらみつぶしに潰した、と言える状況を作り出してほしかった。それがあってこそ、御手洗の非凡な推理のキレも引き立つというものでしょう。警察が無能すぎてちょっと情けなかった。(のちに「奇想、天を動かす」などにも登場する札幌署の牛越刑事も、ここではお間抜けな狂言回しでした。残念。)
    ちなみに、冒頭に登場する花壇の意匠。見た途端にわかってしまって拍子抜け・・・もうちょっとひねるべきでは。

  • 面白かった!
    しかしトリックが壮大すぎてww
    占星術以来の島田荘司さんだったけど、相変わらず解決までのプロローグが長いね。御手洗が一瞬で解くのがかっこいい。
    あとなにが好きかって、犯人がみんな分別のある大人だってこと。気品ある殺人犯で読んでて一種の尊敬の念を抱くね。

    面白かった!石岡がすきだ!
    あと日下くん!らぶ!

    13/12/18

  • トリックが斬新だった…!今まで読んだミステリの中でなかなか異色なトリック。これはありなのか⁇と一瞬思ったけど、なぜか不満は全くありません。なるほど!と感心しました。

  • もうここまで出ないならいっそ御手洗潔シリーズじゃなくても……!?
    それくらい看板であるはずの探偵の登場が遅いです。
    「もうこの屋敷に来るまでが大変だったよもお~'`,、('∀`) '`,、」みたいな
    ノリで言われたりしますが、ならせめてそのあたりを詳しく教えてくださいよ!って気分。

    それはともかく、屋敷の構造やトリックは面白い。
    読み手には見取り図がついてても難しい構造なんですが、
    これをよくゼロから考えつける……。
    お屋敷トリック系の推理小説を書く作家さんはそれだけですごい。

    人にオススメするまでではないので評価は普通。

  • 御手洗先生シリーズ。

    初めの2/3くらいは御手洗先生が出て来ない構成。
    いったいいつになったら…と悶々としながら刑事さん達と似たような推理してました(笑)

  • うーん、イマイチ。異邦の騎士が良かったから期待し過ぎたのかな。。。

  • まぁまぁです。

    昔、高校生の頃に読んだ時は面白かった気がしましたが、今読んだらそうでもなかった。

    なんというか、建物のイメージが頭に入りにくかったからかな?

    御手洗の登場が遅いのも入り込みにくい原因のような。

    「占星術殺人事件」を読んでない人には全く面白くないかもしれません。
    ご注意下さい。

  • 名作ミステリー巡礼。


    これはシリーズものだった…!
    と、気付いたのはかなり最後のほうで、それまであまりにステレオタイプな人々ばかりのいやーな駆け引き世界を見せられていたので、御手洗さんの登場はかなり新鮮な感じでした。


    だって明らかにこの人だけ別世界の人っぽい。
    しがらみのない彼の姿が対比効果で非常に魅力的に見えました。
    作者さんは策士だなぁーーー


    トリックは…うん。実は図まで描いて頑張ったけどそんなんわかるわけない…!
    正直納得はいかないけど、でもそれをものともしないなにか得体の知れない魅力というか吸引力を感じたのも事実…。うむむ。


    ちなみに御手洗シリーズはこれが初でした。
    とりあえず、作者さんのもう一つの傑作『占星術殺人事件』を読みに行こう!


    と少しずつ御手洗ワールドに踏み込んでいくのでした…。


    追伸:
    複雑すぎる建物の構造を説明する箇所で、登場人物と同じタイミングで「分からんっ!」と叫んだのには思わず笑った。

  • 壮大なトリックとそれを支える伏線の数々に尽きる。
    にもかかわらずトリックありきに終わらないのが、流石の一言。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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