栄養学を拓いた巨人たち (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578110

感想・レビュー・書評

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  • いつも思うことだが人類の科学結果は素っ気ないこともあるが、その発見の歴史はいろいろな紆余曲折があり興味深い。

    本書は、栄養学(一部は生化学となるが)の歴史を追いながら、今では当たり前になっていることがどのようにして発見・研究されたかわかる中で、意味づけがわかってくると思う。

    内容は、1章が熱関係も含めた自然科学、2章が3大栄養素、3.4章がビタミンの発見史、5章が生化学としてクエン酸回路に至るまでの発見史(著者の専門に近いらしい)、6章が第二次世界大戦後の給食開始などのエピソードである。

    試験のためだけだともったいないので、栄養素や仕組みを覚える前に本書のように歴史を知ったうえで学ぶと、頭に入りやすいのではないかと思った。

  • 栄養学といわれても、知らない身からするとどこからどこまでがその範囲なのかイメージがわかない。
    本書を読むことで、おぼろげながら「栄養学」とよばれる学問範囲がなんとなく把握できる。
    入門書としては良かったような気がする。

  • 体内に食物が摂取された後,それがどのような「栄養」となるのか.生体内での化学反応は複雑であり,その流れを解明することは情報の無い時代には至難の業であった.そのような中,活路を見出してきた多くの研究者の重要な研究内容が紹介されている.

  • 筆者の主観が多く見られるものの、栄養学や生化学といった(実践的要素を含む)学問がいかに形成されてきたかといった歴史は、非常に興味深いものであった。
    高校の化学の時間にこういった内容に触れたり、第二次世界大戦を栄養の観点から考察するという機会があればよかったと思う。

    あとサムス大佐かっこいいです。

  • 著者の杉先生は帝京大学の生理学の教授だった先生ですが、この本を書くにいたった経緯が凄いです。

    お父様の杉靖三郎氏は、アメリカの医学雑誌を翻訳する仕事をしていました。
    お父様が96歳で天寿を全うなされ亡くなられた際に蔵書から40年以上前に翻訳されたアメリカの医学入門シリーズを見つけ読んだそうです。
    そのシリーズの中で栄養学の本にアメリカ学者たちがビタミンの存在に迫ってゆく様子が探偵小説をしのぐ迫力で描写されていて思わず引きずりこまれてしまったとのことです。
    その時、杉氏70歳です。
    それから十年かけて資料を集め、読み、執筆なされて今年80歳のお年でこの本を出版されています。
    杉先生の意欲と気力に心から感服いたします。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11560025926.html

  • 栄養学・生化学についてのお勉強中の息抜きとして。単に「栄養素の○○は○○という機能がある」という覚え方には限界があるので、それぞれが発見された背景をふまえて覚えてみることにした。そうか、解明されるまにでこんな苦労があったのかー。先に発見したのは別の人なのに…科学論文の世界はシビアだなー。な~んて思いながらよんでたら、いつのまにか覚えられた!やはり無理やり頭に入れるだけじゃダメだなぁ、と。たまには変った暗記方法を試してみるのも吉。大学の授業じゃ、さすがに功労者達のバックグラウンドまでは教えてくれないしね。一番印象に残ったのは軍医(栄養学者的な)としての森鴎外の意外な一面です…。

  • ・熱力学のお話からスタートのはちょっと意外だった。生物は熱を運動に変換する機関と言えるのだから、熱力学は大事なんだね。
    ・ビタミン、ミネラルを摂取すべき量は、人によって異なる。1対100以上の差がある。
    ・ミトコンドリアの中で起きているATP生成のプロセスを明らかにした研究は分子の動きまでとらえているという点で、すばらしいと思った。。
    ・筆者は、現在の栄養学は動物実験を中心に行われているため人間不在と批判したり、ノックアウトマウスを投機的な研究と指摘しているところは、

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著者プロフィール

帝京大学名誉教授

「2021年 『筋収縮の謎 研究の歴史とこれからの課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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