- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062633765
作品紹介・あらすじ
永遠の愛をつかみたいと男は願った-。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
感想・レビュー・書評
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これが俺の愛の形だ。と信じて疑わなかったものが形として残らなかった時、いつまでも手元に残るようにしておきたい、いつでもすぐ感じられるようにしていたい、最高潮の状態を。もっともっと…欲望に歯止めが効かなくなって、女性を連続殺人していく話。
犯人の犯行だけを描いた話ならあんまり引っかからなかったかもしれないけれど、犯人の家族がうまく絡んできていて一緒にドキドキした。面白さに加速度をつけていたと思う。
過激な描写が多いと知っていたので敬遠していたけど、書き出しと導入部を読んで続きが気になって驚くほど一気読みした。途中気分が悪くなるところもあるのだけど、最後に「えっっっ⁈」と声が出て、頭に????を抱えながら解説を読み、もう一度惹きつけられた冒頭の導入部を読んで、鳥肌が立った。
騙されました。怖くて、気持ち悪いけど面白かった。まさに「殺戮にいたる病」を垣間見た。
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裏表紙にも書かれていますが、サイコキラーの猟奇的な連続殺人事件のお話で、犯人は最初からわかっていました。
視点が、犯人、事件を追う元刑事、雅子の三者となっていて、それぞれの時系列もきちんとわかりやすかったです。
殺人の内容が…アレですよ、大分グロテスクな表現が多くて。気持ち悪くさせる目的(?)なのかしらって思いながら読んでいました。
でもなーただ気持ち悪い押しされても、何というかあんまり私のメンタルには響かないなぁ…なんて思いながらお話は進み。
最後の8行で「えっ?なんて??」と何度か読み返して冒頭に戻り、中を飛ばし読み。
そうかーそこかー!!参りましたー!!
そーゆー風に思えば、ちゃんと書いてありましたね、疑わしき描写!みたいな。
まんまとすっかり綺麗に騙されました。
描写がキモチワルイけど、みなさんの評価が高いのがわかりました! -
叙述トリックの最傑作…と、前評判が高かったので、それなりに単語や文脈を警戒しつつ読み進めたものの、ラストは見事にハメられた。
文中、刺激が強すぎる異常な描写に幾度か不快感はあったが、犯人・元警察・犯人家族の各視点と時系列で展開していくストーリーに魅了される自分の方が優っていた。 -
叙述トリック作品の最高峰と言われるだけあって、完全に騙された(@_@)
後で読み返すと確かに、色々伏線はってある…
でもな、こんなにエログロなの見せられたら(読むか…)、注意は、そっちに行くって!
「おいおい!そんな事したらアカンやろ!」って…
「こんな奴おるんや!あり得んわ!」って…
そっちに集中!って感じなってもうた_| ̄|○
言い訳…^^;
これは、再読やな!2度目はエログロは大丈夫やし!ホンマかな…(ーー;) -
タイトルとおり精神的に辛いホラーミステリー。しかしミステリーとしては超名作の一級品、圧倒的★5
サイコキラーが次々と若き女性たちを惨殺、母や引退した刑事たちが少しずつ真相を解明していく…
女性を惨殺する描写はあまりに痛烈、ここまでグロい作品は島田荘司のアポトス、龍臥亭事件くらいでしょうか。読み切るにはなかなかしんどかったです。
しかし名作となりうるには理由があり、あっと驚く結末がミステリーファンをうならせます。よくもまぁ組み立てました、素晴らしい作品です!
なんといっても登場人物たちの心理描写のクオリティが高く、主人公の狂った情感と、母の掻き乱された心情が切々と伝わってきます。気を付けないとあなたも…
正直女性にはオススメしませんが、ミステリー好きなら是非読んでおきたい一冊。 -
H30.10.6 読了。
・ほとんど一気読み。最後までトリックに気付かなかった。-
2018/10/18
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みなさんのおっしゃるとおり、グロい。
最初から最後までグロい。
食事中は読まない方が良い。
てか、普通は食事中に本は読まないのかな?
とあるサイコキラーの話。
3人の視点で話は進んでいくのだが、なぜ3人必要なのか、ずっと違和感があったが、最後に理解できた。
トリックはある。
もちろん騙された。
しかし、それだけのこと。
歌野晶午さんの「葉桜の季節に君を思うということ」などが好きな人にはお勧めできるかな。
グロいけど。 -
ここで終わるの...?と取り残されたが、なんとか整理して落ち着いた。
あまりにも非人道的な殺人の描写に何度も本を閉じた。そんな訳で読了までに時間をかなり要した一冊となった。
エピローグで犯人は"蒲生稔"と書かれているのにも関わらず、私はどこでどう間違えて騙されたのだろう。それすらも分からない。叙述トリック自体は初めてではないが、こんなにスパッと騙される本はなかなか出会わない。お見事!
目を背けたくなるような描写ばかりなのでグロテスク耐性がない方にはお勧めできないが、サイコキラーが好きな方には是非とも読んでもらいたい、さすが名作。
初読は時間軸やそれぞれの関係性は気にしながらも、自分では推理せず読むとラストが楽しいかも。伏線回収のためにもう一度読みたいとは思うが、間に時間と癒される本がないとこちらの精神が参りそうなのでまた今度。 -
評判の高い作品だけに期待して読んだのだが、期待以上の作品だった。巧みなトリックを組み込んだ、かなりハードなサイコ・キラー小説。
東京の繁華街で猟奇殺人を重ねるサイコ・キラー、蒲生稔。非常に恐ろしい物語は、蒲生稔、蒲生敏子、退職した元刑事の樋口武雄の三人の視点で交互に綴られる。
犯人は最初から蒲生稔と判明しているので、元刑事の樋口が蒲生稔の兇行に如何にして終止符を打つのかというのが物語の大筋の流れである。しかし、その陰で次々と猟奇殺人を重ねる蒲生稔の狂気と惨劇の光景が非常にリアルに綴られ、それに目を奪われるためか、知らぬ間に著者の術中にはまっていく。
徹底的にサイコ・キラーを描き切った小説というと、海外翻訳小説には数多くあるのだが、日本の小説では余りお目に掛からない。最近の日本の小説だと誉田哲也の『ケモノの城』だろうか。 -
宮部みゆきの「模倣犯」を思い出させる、残忍な犯行の数々と、衝撃的なラスト。私の苦手なグロテスクな描写が多く、読み進めるのが辛かったが、結末を知りたく、さっさと読み終えてしまおうと、急ぎ足で読み進めた。