- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881531
感想・レビュー・書評
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限界シリーズも3冊目。
1冊目、2冊目は楽しく読めたけれども、これはいまいちだった。1、2冊目は人に勧めてもいいけれども、3冊目はちょっと勧められないかな。以下簡単にレビュー。
第一章行為の限界:行動経済学は少し前に友野典夫の新書を読んでいたので、大体は知っている話であった。知っている話なので少々物足りなさはあったが、導入としてはまあいいのでは。
第二章:意思の限界
行動経済学の話としては、権威への服従がシステム1とシステム2のジレンマであるという情報。これは今回目新しい情報だった。それ以外はいままでのシリーズもののまとめ的な立場なのかな?
第三章:存在の限界
この章はだいぶ微妙。観念的な話が多く、いまいちしっくりこなかった。はっとしたものは「小集団の論理」くらいか。この論理はさまざまなところで実感しているので、学術的根拠を得られたことはよかった。今までのシリーズではさまざまな実験で証明されてきた事象を扱っていて、この章はそういかないという事情を考慮しても、だいぶ情緒的な話に終始した印象。あとがきを読む限りでは、東日本大震災の後に刊行されたようだが、その影響があるのだろうか。
前2冊は読み返すかもしれないが、これは読み返さないと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書らしくわかりやすい内容だが、興味深い話がたくさん載っている本
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一つの問題に対して,いろいろな分野から,いろいろなアプローチがあるのはわかるが,どれも確かな問題解決に結びつかないのがもどかしい.それはここで扱われた問題が本質的に孕んでいるものなのかもしれない.
このシンポジウム形式に飽きてきたのもある.
やはり1冊目が一番刺激的だった. -
人間の本質、傾向を知る。
・アンカリング
・自律的システムと分析的システム
・小集団への帰属
・ミーム -
多分専門が理性の方だからと思うのだが、他のシリーズの方が断然良かったのでがっかり。
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「感性の限界」高橋昌一郎
哲学思考ディベート。無色。
講談社現代新書。
「限界シリーズ」の3冊目では最も哲学的な命題、人間に関わる根源的なことがらについて取り上げられています。即ち、愛(行為)・意志(自由)・死(存在)の限界について。
誰にとっても最も身近な問題で、かつ考えても考えても答えのでない問題というのは、面白いんだけれども、面倒くさい。安直に逃げてしまいがちな命題です。
前二作同様、架空のシンポジウム形式で多くの異なる視座をもった出席者達のディスカッションを通じ、命題を切り開いていきます。
生理学者、神経生理学者、社会心理学者、行動経済学者、動物行動学者、認知科学者、ロマン主義者、行動主義者、実存主義者、進化論者、哲学史家、科学史家、フランス国粋主義者とフランス社会主義者、カント主義者、論理実証主義者、形而上学者(!)、急進的フェミニスト、会社員、運動選手、大学生…、
等々。
いろいろなセオリーや学史のつまみ食いなので、興味を持ったことはさらに自分で深めていくことができる、てつがくの入門書です。
また3冊通して読みかえしたい。
(5)
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以下メモ
行為の限界のパートに出てきた二重過程モデルについて。
システム1=直感的、素早い、無意識。
システム2=分析的、熟考する、顕在的。
計算機科学分野においては、ヒューリスティクス処理システム(システム1)と系統的処理システム(システム2)という用語が使われている。
問題点。人間は、理性的に判断すれば合理的と分かっていても直感的に判断した不合理な事柄に対して、”後付けの理屈”をつけて矛盾を軽減しようとする(認知的不協和)。
つまり、人間の行為には直感という認知バイアスによる限界がある、という論旨。 -
人間は得をするフレームではリスクを避け、損をするフレームではリスクを冒そうとする➖フラーミング効果
限界シリーズよまなきゃ。 -
これまで読んだ本と知識がつながっている部分がありすらすら楽しく読むことができた。
もっと本を読みたくなった。 -
「なんでそんなことをしてしまうのか?」についてのいろんな見解を、
多くの立場(哲学者、科学者など)からの分析をぶつけ合う会話の中で読み解く
といった本です。
内容は深く、難しい話だと思いますが、とっても読みやすくて楽しかったです。
科学とか哲学を使った、おあそびですね。