AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883078

感想・レビュー・書評

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  • 先日(2015年9月5日)トヨタが自動運転技術開発のため米マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学とAI(人工知能)の研究で協力するとのニュースがあった。今後5年間で60億円を投資するという。
    ハンドルを握らないで自動的に運転される車というのは夢のような話だが、おそらく10年もしないうちに高速道路を走る車の何%かは自動走行しているかもしれない。

    「人工知能は人類の敵か」と書かれると、まるでブレードランナーのレプリカントやターミネーターのスカイネットを思い出してしまうが、この本で紹介されるAI(人工知能)はもっと現実的なものだ。これからは、現在「道具」として使われているもの(工業製品)に、どんどんAIが実装されていく事になるのだろう。

  • 2015年3月刊。
    子どもの頃によく聞いた「AI(人工知能)」という言葉。
    現代のそれは、人間に教わることなく、大量のビッグデータを自力で収集・分析して、自分自身で成長していくまでになっていた。
    何だかちょっと空恐ろしい気も。

    【引用メモ】
    不思議なことにスペイン語を学んだシステムは、それ以前に学んでいた英語と中国語の語学力も向上しました。つまり新しい言語を学んだシステムは、なぜかそれ以外の言語についても上達したのです。その理由は、このシステムを開発した当のエンジニアにも、よく分かっていません。(loc.331)

  • 技術的なことは詳しくない。歴史的なことも孫引き的。衝撃と言うほどのタイトルではない。あくまで現況レポート。

    ・評価は社会的な影響を受ける。(まあ当たり前か)
    ・創造はゼロから何かを生み出すのではなく、何かと何かを結びつけること。

  • シンギュラリティ 技術的特異点
     グーグルのAI開発責任者 レイ・カーツワイル
    AIは今後指数関数的な成長を遂げ、2045年ころには人間の知性を超越した存在になる

    2013 雇用の未来 オックスフォード
    残る仕事 新しいビジネスを生み出す起業家のような創造的な仕事、マネジメントやマーケティングなど高度なコミュニケーションを要する仕事、芸術的な仕事、非定型な仕事 庭師、理髪業、介護ヘルパー、料理人


    なくなるもの オフィスでの単純な事務処理、銀行の窓口業務、(基本的には単調な反復作業から成る中間所得層の雇用はいままで、業務用ソフト、産業用ロボットに奪われてきた。
    今後非定型的な肉体労働も奪われるかも

    最後に残るのは高度な創造性と社会的知性を必要とする職業のみ残る

    deep learning 難問を解決するが、そこに至るシステムの思考経路を開発した技術者も理解できない

    ルールヘースのAIではフレーム問題解決できないがdeep learningなら解決するか?

    プリンストン大学とグーグル コネクトーム 脳を構成する無数のニューロンの完全な接続図 ニューロンパップを作る

    ウィロウガレージの作ったROSがロボット用のOSのデファクトスタンダード

    山海嘉之 サイバーダイン 最初経営のプロを招いたら大企業病になって失敗

    日本は長年ヒューマノイドロボットに注力しすぎて、実用ロボットの開発をおろそかしにしてきた

    1996 アシモの歩行の成功体験に酔いしれた

    deep learningの技術 Toyota technological institute at chicago

    将棋ソフト ゲーム木の探索能力、局面の評価関数

    ボナンザ 評価関数に機械学習 過去の棋譜を解析 強い棋士の大局観(評価能力)に最も近い形へと漸進的に近づいていく技術が実装

    コンピュータならではの新手

    人間のプレイヤーから学ぶことを卒業 機械同士の対戦から学ぶ

    チェスだけでなく一般的に言えることだが、何かがコンピュータに抜かれるまでは「あれこそ至高の競技だ、人間知性の表れだ」などと持て囃されながら、抜かれた途端、「あんなものはもともとたいしたことなかった」と足蹴にされる傾向があるようだ

    スティーブ・ジョブズ 創造性というものは物事を結びつけることすぎない

  • 同著者の前作も読んでいるのでいくつか既知の部分はあった。こちらのほうが最新版なので人工知能事情を知るためにはこっち読んだらいいと思うけどこの短い数年間で人工知能環境がどれだけ発達しているかを知りたいなら二冊とも読むことを勧める。
    本の内容については同時に同じような内容の本をいくつか読んだせいでこの本に対しての特別な印象があまり思い出せないので触れないでおく。でも人工知能を語る上でチェスと将棋は絶対にはずせないのかどの本にも登場してるな。

  • 技術的な面と倫理的な面の両方について、過去の歴史から最新の動向まで、わかり易く書いてあってよかった。1年後には状況が変わってる可能性があるから、出版されてすぐ読むのがいい。

    ロボットが人を支配するんじゃないか、ていう、AIの話題につきもののテーマに対する(筆者なりの)答えもあって、締まった。
    このテーマに対してぼくの考え。ロボットが人より圧倒的に速く、正確に思考できるようになった結果導き出す答え(ロボットが取るアクション)は、もしかしたら「ロボットが人を支配してはいけない」という答えかも知れない。逆に危惧した通りの答えになるなら、ロボットがいなかったとしても、スーパーな人間ばかりの世界が何年後かに訪れて、その人達に支配されて、同じ結果になるんじゃないか。つまり、早くゴールを知れるだけで、人の思考の果てにしか向かわない。だから、どしどしAIすすめるべき。

  • 前著「クラウドからAI」でグーグル等のIT企業はなぜAI研究に力を注いでいるのかについて述べた著者が、現状の最新AI技術動向についてまとめた一冊。

    現在のAI技術は、最新の脳科学の知見が反映されたており、「ディープ・ラーニング(深層学習」「ディープ・ニューラルネット」と呼ばれる。脳の記憶メカニズムであるニューロンとシナプスも模した構造が多重に積み重ねられた構造で、第1層から第N層までの階層を進むに従って学習や理解が深まっていくとのこと。
    このようなシステムは1980年代からあったが、現在のニューラルネットは最新の脳科学の知見を反映していること、ビッグデータを取り込んで過去にはない学習機会が得られていることが従来との違い。

    本書を読むと、AIが人間並みの知能を獲得するのも、そう遠くない未来なのではないかという気がしてくる。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧~機械学習の光と陰
    第2章  脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか~AIの技術と歴史
    第3章  日本の全産業がグーグルに支配される日~2045年「日本衰退」の危機
    第4章 人間の存在価値が問われる時代~将棋電脳戦と「インダストリー4.0」

    <目次>
    第1章でAIの歴史を、第2章で最新の研究成果を、第3章でこの後すぐの予想を、第4章で将棋「電脳戦」をヒントに、この語の社会でわれわれ人間がコンピュータに謝意されずに生きていく知亜が、書かれている。
    AIは脅威だが、われわれが動かさないとそのビッグデータも使えない、というのが著者の考え。私も賛成だ。

  • 人は人工知能に取って代わられるか、ということに関心があり、手に取った1冊。
    様々なキーワード、人工知能の課題について書かれているが、どこか【人の崇高さ】というところに偏って書かれている印象もある。

    【IoT(Internet of Things)】すべてのモノがインターネットにつながる

    【ディープラーニング(深層学習)】人間の頭脳を構成する神経回路網を人工的に再現したニューラルネットの一種。自力で「猫」や「人」の顔などの視覚的な概念を学習。そして、その学習成果に基づき、コンピュータ画面上にそれらのイメージを0から描き出すこともできる。

    【スケーラビリティ】システムに入力されるデータ量に比例して、その性能がアップする。従来のパターン認識技術では、データ量がある値を超えると、そこで性能がほぼ頭打ちになっていた。ところがディープラーニングではそれが起きない。つまりシステムが消化する音声や画像などのデータ量が増すほど、それらの認識精度が天井知らずに上がっていく。

    【シンギュラリティ(技術的特異点)】米国の著名な発明家、現在はグーグルのAI開発責任者を務めるレイ・カーツワイル氏ら、一部のエキセントリックな科学者たちが提唱している科学思想。「AIは今後、指数関数的な成長を遂げ、2015年ごろには人間の知性を超越した存在になる」。

    【AIの得手不得手】
    AIによる雇用の浸食は、「運転手」「ウエイター」「看護師」など、現存する職種の47%がAIに奪われると予想がされた。例えば、電話による販売員、データ入力、小売店のレジ係、など単調な反復作業からなる仕事が奪われていく。一方で、医師、ファッションデザイナー、起業家、など創造的な仕事、あるいは、マネジメントやマーケティングなどの高度なコミュニケーション力を要する仕事、更にベストセラー小説を書いたり大ヒット映画をプロデュースするといった芸術的仕事は、否定形的な仕事であり代替が難しいとされる。

    コンピュータはある限定的な枠組み、「チェス」や「将棋」のようにルールがしっかりと定まった限定的な世界では無類の力を発揮する。
    しかし現実世界のように、何が起きるか分からない状態、つまり限定的な枠組みを決めることができない世界では壁にぶつかる。
    Siriや音声検索では、例え何らかの間違いが発生してもユーザーにはほとんど被害がないから許される。

    現代AIのベースとなる「機械学習」とは、例えば、「言葉を聞きわける」「写真を見分ける」といった人間の知能を、コンピュータが得意とする大規模な数値計算へ巧妙にすり替えることで成り立っている。

    原発建屋の複雑な内部構造や、床に散乱した瓦礫などによって、思うようにロボットを操作するのが難しく、活躍することができなかった。例えば、わずか9段のはしごを登りきるまでに今のロボットでは8分かかる。

    【どちらに分がある?】
    あくまで勝負を最優先するチェスや将棋の場合、コンピュータに分があるが、建築物の設計ではそれを評価する人間の主観が最優先されることから、むしろ人間の方に分がある。人間の主観はコンピュータでも予測不能。
    →そんなこと言ったら元も子もないのでは?

    素性を明かさなければ人を感動させることのできるようなエミーは、バッハやショパンのような芸術家と同じような創造性をもっていると考えている。
    →これも人間のエゴ。ロボットが人様を満足させられるわけがなかろう、という隠れた前提が見え隠れする。

    【創造性とは何か?】
    これまで人間とコンピュータを分ける最大の要素は「創造性」や「独創性」にあると考えられてきた。しかし作曲活動のような最も人間的で創造的な作業までも「音楽データの量とそれを再構築する能力」などという無機質なコンピュータ科学の対象となりつつある今、その本質が改めて問い直されている。いったい、創造性とは何か?
    スティーブ・ジョブズは、「創造性とは物事を結びつけることにすぎない」と言っている。

    【意識とは何か】
    神経科学や心理学など異なる研究領域を通じて共通の定義する確率がされていない状態。
    私たちが何かに注意を向けていると、脳を構成する無数の神経細胞のうち、特定の何個かだけが同時に発火する。

    【AIに残された課題】
    1.人から機械への制御権の移譲
    どこからどこまで権限を委譲していいか悩ましいところ

    2.ロボットの行動基準や倫理観
    正直なところ明確な基準や原則などを打ち出すことができない

    3.利便性とプライバシーのバランス
    言うまでもなくプライバシーに関する懸念をどのように規定か

    4.監視社会の到来にどう対処するか
    IoTなどによる従業員の監視

  • AI、インターネット、ロボット…。「そういう分野は苦手だからついていけない」と拒絶する人も少なくないが、そうは言っていられない。将来、知らないうちに人類の領域まで「トロイの木馬」のように入り込んで来るだろう。最先端の研究を正確に理解することはできなくても、ある程度の知識は持っていなければならない。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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