AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883078

感想・レビュー・書評

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  • 客観的事実の羅列だらけで、筆者の主張を中心に読み進める読書だとあっという間に読み終えてしまう。

  • SFが現実になるそう遠くない未来への展望!
    AIの研究が脳神経の研究と合わさって加速していることは知っていたけれど、やはり衝撃的!
    人間の仕事が奪われる可能性があるのは事実!
    だからこれから人間が仕事をするには人間らしい個人的なストーリーが必要になってくるのではないかな!
    人間vs.機械までいかなくても受け入れられるまでには世界的な物議を醸すと思われる!
    乗り越えるべき壁を越えて機械と手を取り合う未来を生きてみたい!

  • 強いAIは実現可能か?
    完全なる強いAIは人類の生存を脅かすのではないか?

    多くの科学者や知識人が驚異的に進化するAIの危険性に対して警鐘を鳴らしている。
    我々はAIに駆逐され、奴隷のように生きるのか、それともこれまでと同様、尊厳を持って生き続けられるのだろうか。
    21世紀は、人類自らが自分の存在意義を問われる時代となろう。

  • 強いAIの向こう側にある、人間の持つ「何か」に想いを馳せる著者のスタンスに共感。

  • 著者によると現代AIのベースになっている技術は「機械学習」と「ニューラルネット」と述べる。
    機械学習とは言葉を聞き分けるとか写真を見分けるとかいった人間の知能を、コンピュータが統計・確率的な数値計算によって擬似的に表現したもの。
    ニューラルネット、特にディープ・ニューラルネットやっぱりディープラーニングと呼ばれる最近のものは人間の脳科学の研究成果を応用して模した技術。
    最新のAIでの最大の特徴は問題の原因となっている特徴ベクトル(=変数)を自ら探し出すこと。しかも人間よりも高速に処理して導き出すことと言及する。
    AIが人間をあらゆる面で凌駕するか、その問に対して筆者は否と言う。それは人間はある能力において自分より優れた存在を創造し、それを受け入れる先見性と深さがあるからである。「知能」が人間に残された最後の砦ではなく、それを上回る「何か」を人間は持っている。

  • 【目次】
    はじめに(2015年3月 小林雅一) [003-008]
    目次 [009-012]

    第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧――機械学習の光と陰 013
    機械学習とは何か/グーグルvs.フェイスブックvs.百度/背景にビッグデータとIoT/拡大する機械学習の用途/チキン・フィレの焼き具合にも/“ヘッジファンド兄弟”の明暗を分けたもの/ディープラーニングの衝撃/画像・音声認識の次は自然言語処理/ニューラルネットの不思議/加熱する人材獲得競争/人類を滅亡させる恐れ/AIの暴走とロボット兵器への懸念/AIに脅かされる職種/機械が自分で学ぶことの意味/①機械への権限移譲をどう行うか――自動運転者の可能性と危険性/極限状況での判断も必要/②ロボットの行動基準や倫理観をどう決めるか――ぶり返すフレーム問題/③利便性とプライバシーのバランス――医療分野への応用におけるリスク/④監視社会の到来にどう対処するか――従業員の仕事ぶりをチェックするツール

    第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか――AIの技術と歴史 071
    機械学習の基礎:線形・ロジスティック回帰分析/現代AIの正体/本当に「本物の知能」と「意識」を持てるのか/AI研究は脳の模倣から始まった/熱狂的なブームのあとで/脳の模倣から記号処理の時代へ/「万能の天才」も誤った/再び期待から幻滅へ/統計・確率的アプローチへの一大転換/自走運転車の基本原理/ニューラルネットの復活/ニューラルネットと機械学習の関係/AI研究が企業社会から見放された理由/驚くべき発見の数々/観衆を驚愕させた技術デモ/「強いAI」への期待が復活/「何かに気付く」ことでフレーム問題も復活?/脳科学とAI研究が相乗的に進化/欧米や日本で始まった巨大脳科学プロジェクト/パイプドリームとの批判も/人間の脳波までを再現/失敗を繰り返しながら自力で成長するロボットへ

    第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日――2045年「日本衰退」の危機 135
    アシモフや手塚治虫が描いた次世代ロボットへ/なぜ今、「ロボット・ルネッサンス」なのか/ロボットに秘められた野望/グーグルが目指す「サービス・ロボット」とは/ロボットに求められる自律性/米国防総省が主導するロボット開発の「最高到達点」/知的ロボットは指数関数的に進化する/ドローンにつきまとう「問題」/次世代ロボット=次世代情報端末=「トロイの木馬」/「ペッパー」で家の中が「丸見え」?/危機感を募らせるロボット関係者/「ロボット大国」日本の現状/東京五輪をにらんだ動き/またも一時的ブームに終わる恐れは?/ヒューマノイドに注力し過ぎたツケ?/次世代ロボットに対する日米アプローチの違い/グーグルの全産業制服計画と日本衰退の危機/日本はどうすればいいのか

    第4章 人間の存在価値が問われる時代――将棋電王戦と「インダストリー4・0」 185
    将棋電王戦が示唆するもの/将棋ソフトの飛躍的進化を促した機械学習/機械学習がもたらした「コンピュータならではの新手」/ポンと突然棋力が上がる/プロ棋士による指し手の限界/人間から学ぶことを卒業した/人がコンピュータに抜かれると何が起きるのか/人間そのものの存在価値が問われる時代/AI普及を促すIT資本家層/「インダストリー4・0」と匠の技を継承するロボット/米国への対抗意識/第四次産業革命は雇用を奪うのか/「人と機械の新たな関係」を模索/人間の主観はコンピュータでも予測不能/コンピュータが作曲したオペラを地元紙が絶賛/魂はなくても素晴らしいオペラは作れる?/創造性とは何か/人間を超えるものは人間をあえて作るだろうか/人間にとっての「最後の砦」

    おわりに [244-247]

  • AIの衝撃

    人工知能における概説書である。人工知能がこのように現在注目されるまでに至った研究上の発展をまとめている。もともと、機械学習とは、ビッグデータ解析に基づくパターン認識など、統計的な大数の法則によって解を絞り込むというようなものであった。このような、統計的なアプローチにより、コスト関数(事象を分類する時に、任意の事象同士の近さをシグマで足し合わせ、それを最小化する関数)などでカテゴリー分けをしていた。しかし、このやり方では、二つに分けることはできるが、ベン図の重なりのような共通部分を考えることが出来ず、実用化には問題があった。その中で、人間の脳を模倣するというようなニューラルネットワークの研究がすすめられた。この研究は、今までの数学的な人工知能の課題を克服し、人工知能研究を推し進めた。このような脳のニューラルネットワークの模倣は、ニューラルサイエンスとも呼ばれ、多層構造による学習はディープラーニングともいう。さらに、人工知能は単なる確率統計ではデータが集まるまでにあまりにも時間がかかる(無限にデータが必要)ために、ベイズ確率という事前確率と事後確率を用いた計算方式に変え、臨機応変的なものになっていった。このような発展の中で、人々は計算処理にとどまらない人工知能の活用―強いAI―を志向するようになっていった。一方で、依然として完全自動車など、AIを扱った問題は多く存在する。例えば、限定的なルールの中では高確率で正解を出すことが出来るが、不確実性の高い現実世界では、フレーム外のことも発生し、医療分野や自動運転など、間違いの許されない世界では通用しないのではないかというような批判である。このような原理的問題が、人工知能の実用化について議論を呼ぶところである。
    さて、人工知能の開発は、グーグルなどを筆頭にアメリカの企業が席巻している。これは、コンピューターサイエンスとロボット工学をダブルメジャーするアメリカの大学研究者が尽力した結果であり、日本は分野横断的な研究の少なさから、一歩遅れている。その中で、グーグルを中心とするアメリカ企業が人工知能分野で日本の最先端産業を圧倒してしまえば、産業構造自体を変えてしまうなどの懸念や、実際にGEなどのように、ソフトを提供する一方で、その会社のノウハウなどを筒抜けにしてしまうなどの、プライバシー的な問題もある。マーケティングのためにペッパー君から過程を除かれてしまえば、プライバシーなどないに等しいだろう。人工知能分野で後れを取った技術後進国は、そのような危険性と隣り合わせなのである。さて、人工知能に対して、最後の砦となりうるものは、芸術系の分野であるが、その分野での研究は進んでいるのかといえば、答えはyesである。音楽に関しては、パターン認識により、バッハと聞き間違えるような名曲を創る人工知能も存在し、今一度、人間と人工知能の違いとは何か、人間とは何かについて哲学的・人類学的議論がなされている。将棋やチェスでは、もう人間は勝てないが、どの分野なら勝てるのか、そもそも勝負するのではなく、共同戦線を張るのかなど、人工知能の問題は奥深く存在する。
    シンギュラリティは2045年と言われているが、実はもっと早く到達するのかもしれない。

  • 知っていることしか書いていなかった。
    一般受けを狙った本でしかない。
    →売却

  • 人工知能の歴史と全体像がコンパクトに書かれており、全体を俯瞰的に知ることができる。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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