新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884617

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001126038

  • 配置場所:2F新書書架
    請求記号:361.8||H 38
    資料ID:C0038559

  • 開発目標10:人や国の不平等をなくそう
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50093269

  • 現代日本を
    ・資本家階級
    ・親中間階級
    ・労働者階級
    ・旧中間階級(自営業者・家族従事者)
    と国民の階層を分けて推移や特徴を分析し、
    更に、上記階級にたどり着かない「アンダークラス」があると説く。
    「アンダークラス」は労働者階級の中でも、主に非正規雇用の人が中心。
    そこには、労働者階級の中でも対立がある。(労働者階級の中でも、正規雇用の給与は歴史的にはあがっているらしい)

    階級の分析においても、男性は割とダイレクトに所属する階級が世代間移動するらししのだけれど、
    女性は配偶者の階級と自身の階級のハイブリッドによって左右される、というのも印象的だった。

    階級=格差に対しても、対立の構図が生まれている。
    資本家階級=再配分に否定的=自己責任論者(=そして自民党支持者)という傾向はわかりやすいが、
    中間階級の層や、労働者階級の正規雇用の層がアンダークラスへ敵対的というのも示唆に富んでいると思う。

    自分自身は、所得再配分は是とするし格差は縮小すべきと考えている。
    ただ実際に所得再配分が強化されたときに、TAKE側ではなくGIVE側になった時、
    どう思うのかは自信が無い。
    個人的には日本人の多くが”自分は中間”とか”裕福ではない”と思っているところもあるんじゃないだろうか。

    ーーーーーーーーーーーー
    階級構造は複雑化している。単一のものと想定されていた被雇用者=労働者階級はかなり以前から新中間階級と労働者階級へと分裂していたし、いまや労働者階級は正規労働者とアンダークラスへと分裂している。(略)これらの三つの階級は、現代ん本では格差が拡大しており、また貧困層が増大しているという事実をよく知っており、事実認識ではほぼ一致している。しかし、だからといってこれら三つの階級が、格差の是正に積極的というわけではない。P245

    資本主義経済のメインストリームに位置する三つの階級(※旧中間階級を除くもの)は、新中間階級は強固に、資本家階級と正規労働者はやや控えめにという違いはあっても、所得再配分に否定的な傾向が強い。これに対してその他の階級・グループ-パート主婦、専業主婦、旧中間階級、無職の人々は、アンダークラスの人々と同じ、あるいは大差ないほどに、所得再配分を支持する傾向がある。また格差拡大の現実を認識することの効果は大きい、したがって格差拡大の客観的事実とその弊害に対する理解を広めていけば、所得再配分への支持を広げていくことができるはずである。また自己責任論は、所得再配分への合意形成の妨げになっている。したがってこれに対して適切な反論を加えていくことも必要である。P256-257

  • 各階層の分断が進んでいる現状を各階層の認識調査を用いて説明しているので、わかりやすい。分断が進んで貧困層が見えずらくなっているのがよく分かる。
    ただ、格差解消に向けた提案がなされている(ベーシックインカム、資産税など導入、固定資産税増税など)が、政策に興味を示すのは貧困層の人々ではないので、支持を得にくく、実現困難と考える。
    個人的にも支持しない。

  • アンダーグラスという新しい下層階級の人たちを自己責任で片付けてよいのか、自分が良ければそれでいいのか。
    アンダーグラスが増えることは将来的に自分たちにも何かしらの負担がのしかかる。他人事ではないのだ。

  • とても丁寧な本。統計数値を一つずつ確認して日本社会に存在する格差の姿を確認していく姿勢がとても几帳面で信頼感がある。その書き方ゆえに退屈な印象だったり、面白くないと感じるかもしれないが、こういうテーマなので丁寧さは欠かせないと思う。
     
    そういう手順で導かれたのが、
    「格差是正ー平和主義ー多文化主義の立場と、格差容認ー軍備重視ー排外主義の立場こそが、論理整合的な左派と右派の立場だと考えられてきたといっていい。」しかし「こうした構図はかなり崩壊している」。
    ということだ。
    つまり、社会の底辺で格差是正を求めるアンダークラスが、軍備重視・排外主義の傾向を示している。「ファシズムの萌芽?」とも表現されている。
    後者の傾向を最も示しているのが自民党であり、ゆえにアンダークラスが反自民とはならずにいる。しかし自民党こそが格差容認を進めてきたのであって、そこにねじれがある。
     
    このことを、感覚的な話ではなくデータをもって解きほぐしたのが本書の最大の功績かと思う。

  • 資本家階級、新中間階級、正規労働者、アンダークラス、旧中間層に区分けして、多くのデータにより日本の就業者の状況を分析している好著だ.旧中間層は戦後間もない時期に最大の割合を占めていた農民層と自営業者層だが激減してきた.問題はアンダークラス 非正規労働者だ.5つの階層は2015年前後でそれぞれ 4.1, 20.6, 35.1, 14.6, 12.9%だ.新中間階級は、穏健保守、自民支持のコアグループ、リベラル派に分けられ、それぞれ 38.8, 14.4, 46.8%だとの分析が面白かった.格差社会の克服には、アンダークラスと新中間階級のリベラル派を結集する新しい政治勢力の形成が必要だとの主張があったが、今の政治家にはあまり期待できない感じだ.

  • p6の図表0-1を見ると、卸売小売業と金融保険業を比較した産業別賃金格差は、75年を起点に上昇し、95年頃から、さらに上昇している。
    生活保護率は、90年頃まで下がり続け、95年頃を底に上昇をし始める。
    規模別賃金格差は、そう変化していない。
    男女別賃金格差は、75年頃まで下がり、その後、大きな変化はない。
    ジニ係数に関しては、当初所得では、80年頃から上昇し続けるが、再分配所得では、わずかに上昇傾向である。

    自己責任論の強い追い風となっているのは、当初所得のジニ係数が上昇しているにも関わらず、再分配所得のジニ係数が、あまり上昇していないからではなかろうか?

    ひとり親世帯の2015年の貧困率は、50.8%である。

  • なかなか衝撃的な本でした

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著者プロフィール

橋本 健二(はしもと・けんじ):1959年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。専門、社会学。

「2023年 『階級とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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