すべての疲労は脳が原因 1 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208290

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  • 自律神経の疲労が諸悪の根源ということがわかった。

  • 疲労と回復のメカニズムが科学的に説明されている。カギは自律神経や活性酸素にあるらしい。

    安静時や軽い運動を行っている時は、体内に十分にある酸素を用いて脂質をエネルギー源としている。強度の高い運動を始めると、酸素がなくても消費できる糖質をエネルギー源とし、その結果として乳酸が産生されるが、酸素が供給され出すとエネルギー源として利用されるもので、老廃物や疲労物質ではない。

    自律神経の中枢である視床下部と前帯状回は、心臓や横隔膜などに指令を出し続けており、発汗も調整している。運動を始めると、心拍や呼吸、発汗を制御するための処理が増加して、脳の細胞で活性酸素が発生する。

    活性酸素は、呼吸で取り入れた酸素が体内で変化したもので、他の物質から電子を奪う性質を持つ。人体には、活性酸素の作用を抑えるための抗酸化酵素が備えられているが、その防御力を上回る大量の活性酸素が発生すると、細胞や遺伝子を傷つける。特に、エネルギーを生み出すために酸素を用いるミトコンドリアは、活性酸素が生じやすく、その機能が低下するとエネルギー不足に陥る。また、細胞内の核酸は、分解と合成を繰り返す新陳代謝をしているが、運動をすると新陳代謝が活発になりすぎると、分解される過程で活性酸素が生じる。

    脳内の神経細胞が活性酸素で酸化され、自律神経の機能が果たせなくなる脳疲労の状態となると、細胞内から老廃物が排出される。それがシグナルとなって血液中に疲労因子が増加し、眼窩前頭野に送られると、疲労感として自覚される。疲労因子に対しては、疲労回復因子が備わっており、疲労因子の性質を中和して抑制する。疲労回復因子は、疲労因子が少ない状態が長く続くと反応性が低下するため、日頃から運動することが必要。

    疲れやストレスが長期化すると、副腎皮質からステロイドホルモンが分泌され、ホメオスタシスを乱す抵抗をやめて、なすがままに任せるようにする。ステロイドホルモンは、大量に分泌されると血管を老化させて動脈硬化のリスクを高める。また、インスリンの効き目が悪くなるインスリン抵抗性を引き起こすため、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病にかかりやすくなる。

    栄養ドリンク、ニンニク料理、ウナギ、焼肉は、疲労対策として科学的に認められていない。ビタミンA,C,Eやポリフェノールには抗酸化作用があるが、持続力が弱く、疲労回復の効果はない。抗酸化作用があるイミダゾールジペプチドには抗疲労作用が認められ、鳥の胸筋や魚の尾びれに近い筋肉に多い。イミダペプチドによる疲労回復効果は、鶏の胸肉を1日100g摂ることで得られる。

    クエン酸もクエン酸回路を活性化することによる抗疲労作用が認められる。レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、酢、梅干しなどに多く含まれる。ただし、活性酸素による酸化ストレスは取り除くことはできない。

    青葉アルコールや青葉アルデヒドの香りも抗疲労効果が科学的に確かめられている。緑茶に含まれる。

  • イミダペプチドとクエン酸を摂取するために、鶏むね肉とレモンを積極的に摂取しようと思った。

  • 「脳は疲れない」なんて本があったと思うけど、それとの整合性はどうなんだろう?

    勉強になる本ではあるが、本書の提唱する疲れない生活をしようと思うと、ほとんど何もできないのではないかという気はする。

  • ・緑青の香り
    ・記憶のタグづけ→感動する事
    ・集中力を高めると危険

  • パートナーが疲れがとれないというので、同じ著者の本を3冊まとめて購入した。本書が1匹目のどじょう。テレビで疲労には鶏の胸肉がいいという話があった。その次の日、スーパーで鶏肉の棚を見るとみごとに胸肉だけなくなっていた。しかし、2週間くらい続けて食べないと効果は表れないともいっていた。1週間後同じ棚を見るとふつうに並んでいたから、きっとほとんどの人は効果がないままだろう。ほかにはクエン酸もいいという。梅干しとかレモンとか酢とか。毎日鶏肉ばかり食べるのはあきるけれど、梅干しくらいならいいかなあ。もっとも塩分の取り過ぎの方が心配だけど。まあ何はともあれ、ゆっくり寝るのが一番いいようだ。寝不足が続けばだれだって疲れるし、免疫力も落ちることだろう。食べ物やサプリメントでどうこうするより、ゆっくり寝るのが一番だ。なお、お酒を飲んでストレス解消して疲れをとろうというのはまったくの逆効果のようです。週に2,3日は肝臓もお休みさせてください。

  • 身体の疲労を感じても筋肉等に損傷等はない(乳酸菌は疲労物質ではない)、脳が疲れを感じているだけである、といった内容の本。
    脳疲労を軽減する方法を食品や生活習慣などから提案している。

  • 本書で扱うのは「腕立て伏せを200回やって腕が疲れた!」というような疲労のことではなく、どちらかというと、「今日は次から次へと仕事が舞い込んでもうくたくただ」と言うような精神的な疲労がメインんだと思っておいた方が良い。そもそも、体を酷使して疲れる、と言う場合、最終的に疲れを”感じる”のは脳なんだから、そりゃぁ疲労の原因は脳でしょ、ってことになる。当然。本書の主張は、疲れた~と脳(大脳)が感じる疲れの元は自律神経の”疲れ”であり、それは脳神経細胞がはたらく際に活性酸素に曝されることでだんだん反応(シナプスでの信号伝達)が鈍くなることが原因だ、というようなもの。で、結局、その自律神経が疲れる大きな原因は、良い睡眠が取れていないこと、となっている。良い睡眠が疲れを回復するのに重要だというのは昔から誰でもわかっていることだと思いますが。活動すれば(脳が)疲れる、良い睡眠で(脳を)休ませて回復する・・当前です。まぁ、疲労は脳で感じるものなのだということを理解していくことは重要だと感じた。例えば、栄養ドリンクのようなものを飲んで元気になるのは疲れの原因が無くなったのではなくて、栄養ドリンクに含まれるカフェインのような成分で脳を麻痺させて疲れを感じさせなくしているだけであるらしい。さらに、仕事が楽しくて集中しているほど脳内麻薬が分泌され、長時間でも疲れを感じないで仕事が続けられるらしい(俗に言うフロー状態でしょう)。過労死になる人の自分で率先して長時間労働している場合も多いようで、日本人の多くは確かにこのような状態で過労に陥っているような気がする。要は、(脳が)疲れを感じるというのは「これ以上無理したら体が壊れるぞ」という体からの警告なのだから、栄養ドリンクなどでごまかして働き続けるのではなく休もうということでしょう。
    本書は、著者が参加した研究プロジェクトの成果を一般向けに新書で紹介した内容なんです。疲労大国日本において、疲れを客観的に数値化する方法を確立し、過労死に繋がるような疲労を減らしていくために研究を進め警鐘を鳴らしていくることは重要だと思います。ただ著者が自慢たらしく「私が・・」「我々が・・」「私の・・・」という文章が頻繁に出てくるのがちょっと鼻につきます。そして、これらの研究成果を利用して著者が個人的に病院を開院し、新書でそれを宣伝しているというのもどうなのかとも思う。

  • 神戸医療大学のセミナーに参加してきました
    講師は、大阪市大の梶本先生です
    メディアに出演が多いせいか聴衆に分かりやすいお話で楽しく拝聴しました
    一般に言われている疲労回復に関する事が根拠のないことだったり、するんですよね
    事前に著書を読んでいなかったら、ショックが大きかったかも(^^;

    自分は、睡眠が少ない方で気にしているのですが、元気に過ごせているので足りているのかなぁ?
    それとも、充実しているようで麻痺しているとか??

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著者プロフィール

梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)

「2022年 『医師が教える 疲れとりごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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