ピアニシモ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1624
感想 : 155
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087498110

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な世界が表現された作品です、

  • 透の現実はとても悲惨で、残酷なものだった。
    自分では気にしてない、むしろお前らを遊んでやってるんだよと言わんばかりに綴られる透の思い。
    でも、やはり耐えきれないのだからヒカルをつくったんだろうなあ。

    放課後は、ヒカルと共に"ヒーロー"を探しにいく。彼にとっては、普通から逸れた者こそがヒーローだったんだろう。つまり、透もそうしたかったんだろう。

    サキが透の前に現れなかったのは、想定の内ではあったが…。やっと、自分と同じ境遇の信用できる人が見つかったと思っていたのに…。

    サキとの最後の電話の後、透はヒーローになったんだなと思った。その後読み進めていくと、「まるでヒーローになろうとしているみたいでおかしかった。」と書かれていたので、私の考えは確信へと変わった。


    そう、彼はヒーローになった。少し横暴ではあったが、以前の透では考えられない行動を自ら起こしたのだ。もうヒカルはいらない。一人で生きていけるのだ。母に尊敬していた父のグレーのカーディガンをかけるところにも、表れているだろう。正直、この小説を読み始めた時はこんなにも心が打たれるところがあるなんて思いもしなかった。



    これは、一人の少年が成長していく話。

  • 昔読んだ記憶が残っていた。

    実に、痛い話だ。
    こういう話は苦手だ。
    読んでいて苦しい。
    委縮する心・恐怖・裏切り・諦め
    負の要素がみっしりとつまっている。
    どうしてどこにも救いがないんだ。
    どうして温かいものが感じられないんだ。
    ニンゲンって、こういう面ばかりではないはずなのに。
    いわゆる思春期のややこしい時期。
    子どもと大人の境目で、自ら成長に向かおうとした姿に救いを感じる。
    まだまだ視野が狭くって、こどもっぽい感じが、上手に描かれていたと思う。

    苦手な話だ。
    それは、リアルに痛いから。

  • 有名人(芸能人)物は敬遠していたが「食わず嫌い」もなぁと手に取った作品。 偶然にもこれがデビュー作。 急に終った感も少年が成長していく過程の話なんだからオチなり、結末が有る訳ではないと一人納得。

  • 中学3年生(だっけ?)の透。親の仕事の都合で転校を重ねる。自分で作り上げた幻影のヒカルに頼っちゃいけないんだと、成長していく。
    酷いいじめとか、胸が痛くなる。
    痛い・悲しい・怒りと、暗い雰囲気に包まれた作品だった。

  • 辻仁成デビュー作。第13回すばる文学賞受賞作。
    転校を繰り返し、殻に閉じ籠る性格を形成してしまった主人公がもがきながらも成長していく姿を、怒りの姿勢で描いた青春小説でした。ストレスを文章にしたらこうなった、みたいな。これは辻さん自身が転校を繰り返した過去故に描き出せるリアリティなのかもしれません。でも思春期の少年の爆発的鬱屈、不条理による心の空洞を埋めるものが「悲しみ」だったのは哀れ。
    彼が自力で踏み出した勇気は称賛に値します。
    いつか満たされた平穏な生活が訪れますように。
    (実家本)

  • 解説者島田雅彦氏。 
    こうやって整理してくれるって凄い。

    というのも、起承転結系でない物語は読み終わってももやもやする事が多いので…。

    続編があるようだけれど、一応読んでみようか。。

  • 2015.1
    ブックオフ自由が丘

  • 転校の多い主人公が妄想のヒカルと友達で、他に友達が誰もいないという寂しい状況の中、日々葛藤している話。
    書き方が独特で、不思議な世界観に包まれる書き方。
    読みやすいし、サックリ読めるけれど、なんとなくモヤモヤする感じ・・・

  • ほとんど内容は覚えてなくて。

    【Amazonからの引用】
    僕にはヒカルがいる。しかし、ヒカルは僕にしか見えない。伝言ダイヤルで知り合ったサキ。でも、知っているのは彼女の声だけ。あとは、冷たい視線と敵意にあふれた教室、崩壊寸前の家庭…。行き場を見失い、都会のコンクリートジャングルを彷徨する孤独な少年の心の荒廃と自立への闘い、そして成長―。ブランク・ジェネレーションに捧げる新しい時代の青春文学。第13回すばる文学賞受賞作。

    *************:
    まったく記憶にないけど、読書感想文を書いた気がする。書きにくかったは覚えている(笑)
    なんとなく、ナルシストで抽象的な印象だったので、このあと辻さんの作品を読むことはなくなりました。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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