ピアニシモ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.07
  • (48)
  • (95)
  • (505)
  • (90)
  • (24)
本棚登録 : 1624
感想 : 155
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087498110

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今読むと少し題材が古くさく感じるかもしれない。
    けれど面白いものの本質は変わらない。
    薄いし、とりあえず読むことを勧める。

    読み終われば思わずこれがデビュー作?と聞き返したくなるだろう。

  • 思春期特有の葛藤。
    終わりにかけて突き抜ける衝撃と恐怖はよかった。
    でも結局報われるわけでもなく、後味は悪いよね。

  • 薄気味悪さと後味の悪さ“だけ”が記憶に残ってる。

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

  • ‥ああ。
    読み終わって、それしか出てこなかった。
    ありきたりと言えばありきたり。お薦めはしないけど、こういうのもあっていいんじゃないかなと思う。

  • 10.3.15
    本の厚さに比例してか、あまり厚みか感じられなかった。
    あらすじに「少年の闘いと成長」みたいに書いてあったけど、成長というよりキレる少年という感じで。キレることを成長と肯定しているような気がして抵抗がありました。
    ただ、他の方のレビューを見ると、学生の頃に読んで衝撃だった、という方が少なからずいて、もっと若い時に読んだらまた違う見方ができたのかなぁと少し残念に思いました。

  • 中学生の時に読み、地雷を踏んだような衝撃を受けました。

    現実と向き合うこと、自分を受け入れることでしか大人になれないんだナァと、中学生には重くグサっときた記憶があります。

    今読むと、またちがった読後感なんだろうな。

  • 父親の仕事の都合で学校を転校させられてばかりの主人公。
    新しい学校に馴染もうとするが、またいじめられてしまう。
    辻仁成の作品は初めて読んだが、怖い表現が多かった。
    最終的によくわからない結末だった。

  • 転校を繰り返すたび、なじめず、いじめを受けて自分の殻の中に閉じこもっていた透。
    ヒカルという存在を自ら作り出し・・・誰にも本心を見せなかった。
    いじめられながらも矛盾や怒りや憎悪や拒否をすべて封じ込め、ひたすら覆い隠してきたはりぼての青春を主人公は過ごしてきた。

    ある時、テレクラで「地獄にいます。引っ張り上げてくれる人、1000トリプルに来てください」というメッセージを聞き、サキという少女と出会う。
    主人公は彼女が孤独に打ちひしがれている様子を知り、親近感を覚え・・・恋心を抱くようになる。
    会う約束をするが、彼女は約束の場所に来なかった。

    主人公は彼女に連絡して、言う。
    「どうしてたの?どうして来なかったの?ずっと待っていたのに・・・。具合でも悪いの?僕はいじめに耐え切れない。もうこれ以上一人で抱えきれなくなって辛いんだ。」
    彼女はついに口を開いた。
    「馬鹿じゃないの?全部演技よ。芝居よ。どうして分からないの?ごっこなんだよ、ごっご。皆、ゲーム。他にもあなたみたいに電話でやりとりしている人はたくさんいるわ。どの人とも違う自分を作って演出しているの。会ってどうするの!?会えるわけないじゃない。」

    主人公はついに訳もなくかすかな希望の、期待の、楽しみの糸をぷつんと切られてしまったようになり、ひたすら逆上して心が抑えられなくなってしまった。

    暴れ、人を、犬を、物を破壊し傷つける透。

    チェルノブイリの原子炉のようにセメントや石や砂で無理矢理密閉してしまっていた自分の感情がついに核反応を起こし、赤く赤く大爆発を起こしてしまった。

    いじめられていた透の側に片時も離れずくっついていたヒカルは「昔からウジウジするとこは相変わらず変わんねぇな。いい加減成長しろよなっ。お守りも大変だぜ・・・ったく。」と目を動かさず、眉を三角に吊り上げて笑った。

    主人公はそこで自分がヒカルに甘えていたことに気づく。
    今の僕がこうなってしまったのは・・・こうでしかなにのはヒカルの存在のせいなんだ・・・と。
    いつまでたってもいじめられ、裏切られ、殻をかぶって自分が成長できないのはすべてヒカルのせいなんだ・・・と。
    ヒカルの顔色をうかがって生きてきたからだのだ・・・と。

    そして、ヒカルを消して、自分自身から遊離することを決心する。

    ヒカルは一人っ子で転校が多く、孤独だった僕が作り出したもう一人の僕だったのだ。

    人間はあらゆるものから離れることによって、自立し成長していく動物である。
    自分自身に甘えていた主人公は自立と成長のために新しく生まれ変わろうとする姿を描いた作品。

    ほのかな恋心がちらつく青春ストーリーである。

全155件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻仁成の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘルマン ヘッセ
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×