破船 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.13
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本棚登録 : 1367
感想 : 166
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117188

感想・レビュー・書評

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  • 2022年本屋大賞発掘本。江戸時代の寒村を舞台に、村が生き残るために昔ながらの策を実行している。それは、夜に近くを航行する商船を塩焼きの炎で浜におびき寄せ、座礁させて積み荷を奪う“お船様”。いけないことではあるが生きるためには仕方がないこととして認識されている。実際に、お船様のおかげで米を食えたり、人をきつい労働の出稼ぎに出すこともなくなる。生き延びるための犯罪なのだ。ある時、赤い服をまとった死人ばかりの船がお船様として村に漂着する。その服を奪ったばかりに村は天然痘が蔓延る。お船様の功罪と同時に、絶望的な状況に恐怖した。

  • 超発掘本!って帯が気になって購入
    たしかにそんな帯がなかったら
    読もうとは思わなかった本
    しかしその帯がハードルあげちゃって
    ちょっと期待外れでもある

    最初からずっと不穏
    終始不穏
    不幸も災難も事件も
    淡々と過ぎ去っていくのが
    腹のそこからじんわり冷えてく感じ

    心はまったく休まらないので
    弱ってる時に読むのはおすすめしない
    興味深い内容だし
    かなり読みやすいので
    星は3つ!

  • 孤立した島で、父が身売りをした3年間にあった家族の話。
    島に破船した船を「お船様」と呼び、積荷や船の材料までをも島の蓄えにする。島、独特の習わしがあり普通では犯罪となる事も神事として行われる。現在の暮らしを考えさせられる本でした。

  • 生きるということは、これほどまでに過酷なことなのか。現代人には想像もつかない喜怒哀楽がここにある。この小説の中で「船」に例えられているものが運命かもしれない。思わぬ幸運に恵まれることがあれば、疫病=コロナやウクライナ戦争に愛する人を奪われることもある。でも作者は希望=父を与えてくれた。伊作に幸あれと願う。

  • 江戸時代、廻船で荷を運ぶ。天候に左右される運輸。難破船はどうなったのか。海の藻屑になるほかにこんな事があったのか。島の貧しい小さな離れ寒村。生きていくための戒律が宗教的。お船様と呼ぶ。この時代飢饉も大概だが、これは言葉を失う。情報も知識も教育も生きていくには必要なのだ。

    自分は図書館で借りた本で読んだ。1982年刊版。文庫版を手に入れよう。

  • とにかく過酷。過酷すぎて震える。

  • 4.13/708
    『海辺の寒村に伝わるサバイバルのための苛酷な風習が招いた悪夢のような災厄! 【吉村文学・異色の傑作】
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。しかし、積荷はほとんどなく、中の者たちはすべて死に絶えていた。骸が着けていた揃いの赤い服を分配後まもなく、村を恐ろしい出来事が襲う……。嵐の夜、浜で火を焚き、近づく船を坐礁させ、その積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に伝わる、サバイバルのための異様な風習“お船様”が招いた、悪夢のような災厄を描く、異色の長編小説。』(「新潮社」サイトより)

    冒頭
    『波打ち際に、古びた菅笠が所々に動いている。岩礁のつづく遠い岸に砕けた波の飛沫があがると、次々に飛沫が近づき、伊作の立つ岸の海水もにわかにふくれ上って、岩に衝突すると散った。』

    『破船』
    著者:吉村 昭(よしむら あきら)
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎256ページ

    外国語訳:
    English『Shipwrecks』
    Spanish『Naufragios』
    French『Naufrages』
    German『Schiffbruch』
    他、多数

  • 全体的に終始くらい雰囲気のため、最後の最後は碌でもないことにしかないならないと予想できる小説です。

  • 善悪の前に、生きて行くためにはやむを得ない行為…
    そして、当時としてはこれもやむを得ない感染爆発…
    コロナ禍の今、人間の本質と感染症との戦いは変わらないことを痛感。
    舞台がどこなのか?みんな気になるのは同じなんだとNetで知った…

  • 「破船 吉村昭 新潮文庫 昭和60年1985年」図書館で借りた。漫画家の東村アキコがpodcastの中でオススメとして紹介したいたので読んでみた。全体的に暗い。貧しい漁村の話。ホラー小説よりも怖い読後感。物凄く面白かった。日本海側の漁村はこんな地域が本当にあったのではないかと思わせる内容。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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