海馬 脳は疲れない (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101183145

感想・レビュー・書評

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  • 2008年12月読了

    「30歳を過ぎると、つながりを発見する能力が非常に伸びる」

    という言葉に妙に納得。
    自分の場合、昔から興味は持っていたけど繋がりを見つける手段やきっかけがわからずに過ぎてしまっていたことが、最近になって妙に繋がる。

    意識の持ち方の問題かもしれませんが、糸井氏の言う「経験メモリー」の蓄積に励もうと思った一冊。

  • 物覚えの悪さとか、要領の悪さとか、最近色々と気になっていて、「歳とったからなぁ」なんて年齢のせいにしてたのですが、この本を読んで要は脳の使い方なんだと気づきました。「まだまだこれからだ」と思える一冊です。

  • 30過ぎて頭がよくなる!人生より楽しくなる!

  • 脳の研究者とコピーライターの異色な対談。
    脳に関する専門家と素人という関係性なので、まったく知識がない私にとっても読みやすく勉強になった。2000初頭の発行なので、まだ脳について確定的な情報は少なく、いずれも「~と考えられる」という情報に過ぎないが、自身の学習方法やコミュニケーションに何らかの形で役に立つのではと期待できた。

    ・感情をつかさどる偏桃体と、記憶をつかさどる海馬は脳内で近い距離にあるため、好き嫌いなものこそ記憶に残る。
    ・海馬とは、記憶をためる貯蔵庫ではない。日々過ごす中で、記憶に残すべきかどうか判断する機関である。記憶そのものは脳内の別のところに保管される。だから仮に海馬の機能を失った人は、失った日以降の記憶を保持できない(海馬が記憶を残そうとしないから)が、失う前までの記憶はある。
    ・会話の途中で頭が真っ白になっても、そう思わないことが重要。真っ白のままだと話に更についていけなくなる。会話
    ・空間の情報が海馬に刺激を与える。例えば”旅”をすることで海馬に刺激を与えることができると考えられる。
    ・やる気を生み出すのは側坐核というところ。そこの神経細胞が活動すればやる気が出る。刺激を与えればやる気が出るので、例えやる気が無くてもまずは取り掛かるしかないということ。やっているうちに側坐核が興奮し、やる気が出てくる。
    ・「脳の本質は、ものとものとを結びつけること」日々目や耳に入る新しい情報を整理し、関連付ける。

  •  刊行当時30代前半の脳科学者と、50代後半のコピーライターの2人が、脳、特に海馬にどんな性質があり、何が脳にとって良いのか、「頭が良くなる」とはどういう状態で、どうすればその状態になるのか、といったことについての対談。とても読みやすい。
     「どうやったら頭が良くなるか」とか、ものすごく打算的なことについて分かりやすく書かれている本という訳ではない。もっと科学的に、こういう実験をやったらこういう結果が出たから、といった、おそらく安心できる話が書かれている。
     脳の働きに関することも去ることながら、糸井さんの「コミュ力」に「頭の良さ」を感じさせる。一つの話を受けて、へえそうですか、で終わるのではなく、巧みに話を付け加えていきながらさらに話を膨らませていき、どんどん面白いネタを池谷さんから引き出す手法がすごい。例えばコミュニケーション力がある、とはどんなことを言うのか、という話で、「だけど、よく考えたら、『奥義を伝えること』と『水とお湯の話』って、ほんとは違う話ですよね?よくよく考えてみると、かなり違う次元の話なんですよ。なのに、言ったほうも言われたほうも納得しちゃう。そこがすごい。宗教の開祖とかって、こういう技術が天才的だったんだろうなぁと思うんですよ。別のものどうしを結び付けちゃう能力、それを納得させてしまう説得力。『たとえ力』と言ってもいいんだけど。」(p.34)とか、ここでパッと宗教の開祖との「結び付き」を発見する糸井さんがすごい。
     脳そのもの話で面白かったし印象に残った部分はいくつもあるが、例えば「無刺激に耐えられない」(p.51)という脳の性質。それから「一見関係のないものとものとのあいだに、以前自分が発見したものに近いつながりを感じる能力は、三〇歳を超えると飛躍的に伸びる」(p.55)とか、「サルは額が垂直ではないです。あれは前頭葉がないから斜めなんです。額が垂直なのは人間だけ」(p.75)とか、「考えごとをして疲れを感じた時は、あれは脳が疲れているわけではない。」(p.77)とか、「記憶は海馬の中に蓄えられているわけではないんです。海馬は情報の要・不要を判断して、他の部位に記憶を蓄えるんですね。だから海馬を『記憶の製造工場』と言うのです。」(p.144)という何となく聞いたことのある「海馬」の役割について。「海馬が記憶を製造するチカラを増強させるためには、たのしいことや悲しいことの刺激をたくさん受けることは、重要」(p.156)で、刺激的な環境で生きればネズミは数日で海馬が増えるが、逆に刺激のある環境から何もないところに移しても、ネズミの海馬は数日でダメになります」(p.158)というのはショッキング。あと睡眠の重要性ということで、「睡眠は、きちんと整理整頓できた情報をしっかり記憶しようという、取捨選択の重要なプロセスなのです。だから『夢を見ない』というか『眠らない』ということは、海馬に情報を整理する猶予を与えないことになります。(略)六時間以下の睡眠だと脳の成績がすごく落ちるということは、ここ二年ぐらいのあいだに科学的な証明がなされました」(p.215)という部分は、適度な睡眠がいかに脳にとって必要であるか、ということが示されていて、睡眠不足の状態が続くことの恐ろしさを感じた。そういえば、『英語教育』という雑誌の、教師のメンタルヘルスがテーマになっている連載があるが、そこでわりとうまくいかなくなって八方塞がりになった教師のことが書いてあり、でも最後に「それでも何とかやっていけたのは、最低限の睡眠は摂っていたからでしょう」みたいなことが書かれてたのをわりと意識的に覚えている。とりあえず、寝さえしておけば、体は持つのかもしれない、ということを感じた。やっぱり睡眠の質について勉強することは、豊かな人生を送る上で必須だと思う。いっそ、中高で「睡眠の科学」とかいう科目を作った方が、よっぽど勉強でも社会生活を送る上でも役に立つ科目なんじゃないかと思う。「生物」とか「保健」とかの一単元で置いておくにはもったいない(放送大学には「睡眠と科学」がある。取ろうかな)
     という訳で、これを読んで思ったことは、よりよい脳の状態を保つために、①寝よう、②色々やってみようということだった。読みやすく、面白い本。(19/09/10)

  • 糸井重里と科学者の組み合わせの本は良いなあ。でもこの本は、ちょっと糸井さんの我田引水が多い印象。判りやすさを出すための例という感じで、悪くはないのだけど。

  • なかなか面白かった・・・のだけど、せっかくなので、この本が出た後の研究の結果なども知りたかった。科学に関する本はすぐ古くなるのが残念。

  • 12.06.09入手

    おそらくこれから何回も読み返すことになると思う

  • 大人は経験を下敷きにしているので子供よりも覚えやすい
    海馬:情報の整理(取捨選択)、記憶を司る
    偏桃体:好き嫌い
    30歳からつながりを発見する能力向上
    脳は刺激のない事に耐えられない
    ストッパーをはずす事で向上する
    一度に7つのみ覚えられる
    脳はうそつき
     無意識のうちに騙されている→そう思っていたら現実になる??
    実践する度に脳の経験はべき乗(=倍)
     天才ほど差は大きい

    6時間以下の睡眠は脳の成績落ちる
    眠る事で脳の情報整理がされる
    ヤル気はやればでてくる

  • 専門領域を何か特別なことだから口を出すな、という態度を取るってことは、誰でもやらかしてしまいそうなことなんだけど、じっくり見ていたらたいしたことしてない場合が多いんですよ。ほんとにその分野に精通しているプロは、そういうことがないんです。むしろ素人の何気ない「不満足」を敏感に察知して、自分の側の問題点を積極的に改良しはじめたりする。ほんとのプロっていう人たちには、そういうところがあるから、仕事を進めていく上では圧倒的に助かる。

    自分の考えの発信はするけれども、難しい言葉でまとめなければいけないのなら、それはほんとうに思っていることではないかもしれないので、言わないようにしました。

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著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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