触身仏 蓮丈那智フィールドファイルⅡ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207223

感想・レビュー・書評

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  • 教務課の狐目がだんだん重要な位置をしめてくる

  • 蓮丈那智シリーズの2作目です。
    今回も短編が5つ収録されていて、
    山人伝説、大黒天、三種の神器がひとつ八坂瓊(やさかに)の曲玉、
    塞の神、御蔭講と民俗学的考察盛り沢山となってます。

    まず民俗学的題材があって、
    推測したりフィールドワークに出たり、
    その過程で進められる考察にたっぷり頁を割いています。
    毎回蓮丈研究室の関係者(時には那智本人)が巻き込まれて、
    殺人事件が起こったりしますが、
    そちらは推理途中の描写が無く、
    いつも最後に那智があっさり謎を解いてしまいます。
    それよりも、
    明確な答えの無い学問とはいえ、
    新たな視点を検討して無理の無い人間の行動を分析し、
    遺物や伝承から矛盾の無い説を導き出す様子は、
    なんとも壮大な謎解きです。
    よく知られているあの「わらしべ長者」のくだりは、
    ゾクゾクしました。

    それにしても・・・。
    何だろう。
    狐目の教務部担当者(なぜか名前がでてこない)が、
    読み進んでいくにつれだんだん格好良くなってきました。
    実は那智の同級生だったとか、
    昔は民俗学界で認められた優秀な研究者だったとか。
    新事実がどんどん出てきて、
    三國を叱咤激励する様なんかもはや準主役のようです。

  • 「邪馬台」を読んで、他の小説を読みたくなりこの本を読みました。
    大変面白く続きが読みたいものの作者が既に亡くなっていることが
    残念に思いました。

  • 4

  • 工藤さんモノ、冬狐堂モノもいいですが、蓮丈那智モノが一番好きですね。
    短編が5つありましたが、タイトルにもなった触身仏が良かった。最後にトリハダが立ちました(ホントに怖くて)。
    それにしても蓮丈センセ、自動酒飲み人形って・・・お酒強すぎない!?

  • 蓮丈那智シリーズ待望の二作目。
    やっぱり好きだ…!前作からパワーアップして初めから最後まで時に笑いながら時に「むむむ」と推理を考えながら、読ませてもらった。三國や那智が向かう謎と民俗学上の謎がミックスしていて、それをユーモラスに表現してしまう北森さんの才能に脱帽だ。コンパクトに纏めるのも上手くて、長編もイケる。物語を書くのが本当にうまい人だ。ちょっと無理があるトリックもあったが結局おもしれければそれが正義、というスタンスの読書をしているわたしは気にならなかった。
    確実に物語りが展開しているのもシリーズものの醍醐味だ。

  • フィールドファイルの中でも、触身仏が逸品。
    北森ワールド、もう新しいものが出ないのが本当に残念です。

  • 蓮杖那智シリーズの2作目。1作目を読んだのはかなり昔だ。民俗学とミステリーの親和性は高いのは前作を読んだときからわかったいた。民俗学の新説と現実に起きた事件との結びつきが弱く(歴史ミステリーなんかがよくある陥穽)、全体的に無理のあるプロットが多いが、その中では表題作がまずまずの出来であった。同じ北森のシリーズ物なら、冬狐堂のほうがいいなぁ。

  • “異端の民俗学者”蓮丈那智シリーズ第2弾です。

    シリーズのなかでも、もっとも民俗学的な内容を扱った巻だと思います。
    民俗学を学んだ方だと、知っていることが多いので、逆に興味が湧かないかもしれませんが、基礎知識のない方には蘊蓄がたくさんあるので、とても面白いと思います。

  • 蓮丈那智フィールドファイルのシリーズ第2弾。

    「秘供養」・「大黒闇」・「死満瓊」・「触身仏」・「御陰講」の五篇構成。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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