- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101235073
作品紹介・あらすじ
風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。そうやってはやっとインドに辿り着いた。カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッダガヤでは最下層の子供たちとの共同生活を体験した。ベナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。そんな日々を過ごすうちに、は自分の中の何かから、一つ、また一つと自由になっていった-。
感想・レビュー・書評
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インド・ネパール編。
自分が学生の頃の「貧乏旅行の聖典」的本作品の中でも、もっともそれらしい巻ではなかろうか。
インドもネパールも行ったことがないので、比べようもないが、1975年の当時とは様変わりしていて、今や当時の光景を想像することは難しいのだろうか。ヒンドゥーの聖地ベナレスは、とある漫画(ジョジョ3部)で登場するので、何となく当時の雰囲気をイメージしやすかった。
リキシャの値段を交渉する場面ははたから見ている分には、文化のギャップが楽しい。目的地までの距離が思ったより長かったので、事前に交渉して決めていた料金よりもオマケしてはずんでやると、リキシャ引は、それに感謝するのではなく、正規料金はもっと上だ、とさらに要求してくる。
みんな、生きるのに一生懸命だ。
自分の権利を主張できるのは自分しかいない、という意味では、現代日本の、誰かの奮闘にフリーライドする社会とは大違いだ。
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第3巻。
舞台はいよいよスタート地点のインドへ。
ここで主人公は生と死について繰り返し深く考える機会となります。
同じアジアなのにこうも違うのか、と私までもカルチャーショックにあったような気持ちになります。
一日で夢中で読んでしまいます。オススメ! -
これはノンフィクションとしましょうか。んで、読みながら不思議に思っていたのは、何故筆者は当時の記憶を鮮明に覚えているのか?でした。
その瞬間瞬間のリアルな動き・感情・空気、いくら本人にとっては衝撃的な旅行であっても長く旅をしているわけですから、まあそこまでは覚えてないでしょーっと、興ざめな私。サーセン。
ちょっと調べた所、筆者さんは金銭出納帳がわりのノートと手紙の存在が大きかったと、それプラス参考文献を資料に記憶を読み直したと。また、その手紙は一生かかって書くべき量を1年で書き尽くしたというぐらい、頻繁に書いてたようですね。ああ、それか。
とは言え、40年前位の作品ですが、面白い。バックパッカーなんてお腹の弱い私にはまずあり得ない世界ですが、筆者と現地の方との交流というか、交渉というか、絶対現地に行きたくないくらい楽しい。インド編で私の頭の中を過ったのは三島由紀夫<豊穣の海三部作『暁の寺』>で本多の印度への旅、まさにベナレスがそこです。三島は”さるにしてもベナレスは、神聖が極まると共に汚穢(おわい)も極まった町だった”と作中で表現し、そして沢木は第9章で”死の匂い”とタイトルを付けています。
グロ映画が好きな私にはちょっと覗いてみたい世界ですが、やはりインドへ行くのは嫌ですね。そう、お腹が弱いので。 -
ずっと行ってみたくて、でもまだ行けていないネパールとインド。更にはコロナのせいで渡航すらも難しくなってしまったので、活字で旅行。
文章を読むごとに頭の中に、こんな場所だろうか?とか、こんな景色だろうか?という事を思い浮かべながら。そして、ところ変われば〜と言われるようにそれぞれの国の習慣や文化に、へぇ、そうなのか。そういうものがあるのか。と驚きつつ、勉強になるな。と感じたり。
逆にまた1つ旅に行きたい欲が増えてしまったけれど(笑)4巻へ続く。 -
いよいよインドへ
まずは、東海岸のカルカッタ、ブッダガヤ
ブッダガヤから足を伸ばしてアシュラム体験
そして、ネパールのカトマンズ
再度、インドへ入り、ヒンドゥー教の最大の聖地であるベナレスへと
まるで別世界、刺激的、度肝を抜かれる
満員の列車での席の取り合い 荷物台に荷物を載せて場所を確保し、そこによじ登り体を横たえる
宿舎やリキシャを利用するたびにインド人との値段交渉
蝿がぶんぶん飛び回りたかってくる食堂での食事
道のここかしこで、痩せ衰えた老人や子供がうずくまり横になり・・・
時には足を掴まれ
十歳にもならないような少女が自分を買ってくれないかと言い寄ってくる
厳しいカーストに縛られた人間扱いされない暮らし
ガンジス川での沐浴や死体を焼くシーン
インドとはうって変わった静けさのカトマンズではあるが、長雨に旅行者は来る日も来る日もハシシを吸い、次第に自分を壊していく
沢木さんが26歳の時の旅、今からおよそ50年前のことだ
目覚ましい経済発展を遂げているインドだが、今はどんな様子なのだろう
違った世界を見せてもらった、単に興味深いという言葉では片付けられない胸のモヤモヤ感が読んでいる間、終始付き纏っていた -
再読。第3巻はインド、ネパールの旅。この巻がこの旅の一つのハイライトだと思います。インドのカルカッタで路上に座る人から足をつかまれたり、ガンジス川で人が焼かれるのを眺めたり、猥雑な雑踏の中を熱に浮かされたように歩き回る彼。カトマンズでは、神の子と呼ばれる孤児たちの暮らす村に滞在します。このカトマンズでの穏やかな日々は、紀行文ではなく現地からの手紙という形を取っているのも、インドの熱い日々との対比をより鮮明にしています。
インドへは出張で何回か行きましたが、ホテルの外を歩くだけで、やはりそこは完全な異国の世界と感じました。東南アジアとは全く違う世界。なかなか長期間滞在は難しいですが、本書のような作品でその疑似体験ができるのが読書の喜びと思います。 -
インドに行って自分探しをすると学生時代に冗談で言っていたが、本当に行っておけば良かったw
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人生後半になった今、日々の暮らしに意味を見つけにくくなる。
けれどこの作品を読むたびに、世の中の苦難や貧困の渦に巻き込まれて生きる人々の人生を考えさせられ、自分のような甘い考えを持てるということが幸福なのだと知らされる。
苦難の中でもがきながらも生きている人々と比べて、と考えるのは自分勝手であるのはわかるのだが。 -
カルカッタ、ブッダガヤ、ベレナス。
喧騒と混乱と諦観と生と死。
旅人視点で見たアジア。
安全な読者の立場でこんな放浪の旅を追体験できる良さを感じる。
若いっていいな。やりたいことはやりたいうちに、やれるうちにやらないとね、と改めて思う。楽しかった。