向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355511

感想・レビュー・書評

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  • 8億円売れているどんでん返しの作品を読んでみました。
    読むとじめじめする感じがする、という感想を見たので、自分の精神が元気な時に読んでみました。

    不穏な感じがずっと止まらないのが凄かった。
    異常な人物に異様な世界なのに、なぜか読み進めちゃう。
    主人公が小学生なのでほぼ子ども目線で語られる。
    それが余計にヤバさ増している気がする。
    面白い読書体験だったし記憶に残る本だと思う。

    じめじめした夏休みを味わった。

  • 序盤から感じる違和感や本当の犯人は誰、というのが気になり、読む手が止まらない。
    ただ、レビューにも多く書かれていますが、共感はできない、本当にみんな狂っているような。
    独特の世界観。
    一度は読むべき作品だと思います。

  • 再読。
    主人公含め、随分と大人びている印象は後半でなるほど。
    蜘蛛になる発想が凄い。
    これきっかけに道尾さんにはまったな~。

  • 帯に書いてあった通り「どんでん返し」でした!犯人が違った!どころではない根本的などんでん返しでした。
    ただ、好き嫌いはわかれるかも、、Theミステリーなのかと言われるとあんまりかもです。
    初めから違和感を持ちつつ、それを気にせず読み続けていけば、最後はすっごく驚くと思います。初めから最後までたくさんの驚く要素が散りばめられていて読んでいて飽きませんでした。不気味な世界観と隠れた狂気にゾワゾワします。
    『人はみんな自分の物語を持っている』

    おいみちお〜!!な作品でした。

  • 終始不気味で違和感だらけでした。好き嫌いがはっきりと分かれると思います。
    なんでもありな感じが、私はあまり好きではありませんでした。

  • うーむ、なんともいえない読後感。登場人物(?)が不思議すぎます。途中まではついていけましたが、途中からそういったものが増えていって、無理矢理みたいな感じも受けました。面白くはありましたが。

  • 夏の話。強烈な印象を残す話。
    道尾さんは、色々読んでいるのに
    これは途中までしか読めていなくて
    やっと再読。
    死体が生き返って逃げ出すのを防ぐためにやったこと。
    足の骨を折ること。
    石鹸のことも、意味のあることだった。
    序盤から、ミカは人間ではなく何かなんだろうなぁと思っていたが、ラストで驚いた。
    トカゲだった。
    生まれかわり。
    でもこれはミチオの想像なのかな?
    しかも、また!
    それは、母親も平常でいられなくなる。
    違和感の散りばめ方が秀逸で
    一気読み。

  • 「この世界は、どこかおかしい」
    主人公ミチオの台詞が全てを表しています。

    一応叙述トリックの分類だと思いますが初めての体験で、途中からミチオ自身が1番おかしいのだと気付きはするものの、そんな事は瑣末事。
    狂った世界で解かれていく真実に怖いながらも目が離せませんでした。

    自殺か他殺か、とにかく首を吊って死んでしまったクラスメートのS君。
    このイニシャルは何か意味があるのか?と気にしていたのですが結局S君のままで本名は分からず。
    後に調べた所、道尾さんの作品にはよくSという人物がキーパーソンとして登場するようで、もしかすると手塚治虫さんのようにスターシステムなのかも知れません。
    それはそれで面白いです。

    私はこの手の気持ち悪い世界観も好きなので、ミチオの突然の(と言っても読んでいてやりかねんな、と思われる方も多いと思いますが)悪魔的な行動も、おぅおぅ、そう来るか…と感心すらしたものですが、完全に人を選ぶ作品です。
    死体の足を折らないと蘇る気がして怖いし、折る事で不安もストレスも吹っ飛ぶよ☆なんて、繊細な方には心臓麻痺レベルのストレス解消法です。

    冒頭のミチオの独白を読み返すと少しは正気に戻ったのかと思いつつ、ラストの様子を見ると再起不能だなこれは…とも思えるし…。

    読み終えた人とお酒を片手に語りたくなる作品ではあります。
    が、気分を害する方もおられると思いますので、目眩を感じたら即本を閉じられる事を推奨いたします。

  • 小学4年生のミチオくんが、クラスメイトのS君の家に
    届け物を持っていくと、S君が首を吊っているのを目撃。
    そこから、なんとも言えない夏休みが始まる。

    読み進めながら、
    「ミカちゃん、3歳なのに大人っぽいなー」とか
    「S君が蜘蛛になるなんて、不思議だなぁー」とか
    いろいろな思いを、頭にこびりつけてたけど、
    最後に「ほわぁー!!!!!!」とやられました…。

    それぞれの子供たちの家庭環境が複雑だけど、
    だからこそ、どの子も幸せになってほしいと
    願いながら読んでいたがために、
    なんとも言えない後味を感じてしまった。
    大人が思っている以上に、子供は子供の世界観で
    生きている。
    だれかが、手を指し伸ばそうとしても
    そこに侵入させる隙間がない。
    不安な気持ちを抱えたまま、読み終わってしまいました。

  • 後味クソ悪いけどクセになる不思議な本。
    登場人物は全員イかれてるし、物語も救いようがない。
    でも定期的に夏に読みたくなる、吸い込まれるように。

    俺の人生で1番好きな小説、俺もどこかおかしいのかもしれない。

  • ミステリー好きが読む作品とは少しジャンルが違うのかもしれない。
    序盤は気持ち悪い描写が多く、苦手だなぁと思っていたのだが、中盤くらいからどんどん物語に変化が。

    蜘蛛になったSくんの語りを信じて読んでいたが、中盤過ぎてやっとこれはそういう小説ではないのか!?と気づく。

    後半は畳み掛けるように真実が明らかにされていく。

    色々なことを考えさせられる一冊だった。
    この本は難しいなぁ。。。


    印象に残ったフレーズ↓

    「誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけが物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか。」

  • ミステリ、といっても、王道なミステリではない。造語で語るなら、ダーク・メルヘン・ミステリ、というところか。

    あらすじ。物語は、小学生の主人公であるミチオが、夏休み前の終業式の日に、クラスメイトであるSくんの首吊り死体を見つけるところから始まる。しかし、大人や警察が到着したときには、あったはずの死体が忽然と消えてしまっていた。死体はどこへ消えたのか? そんな不可思議から始まった夏休みのある日、Sくんが、クモに姿を変えて現れる。「僕は殺された。死体を見つけてほしい」……、そうして、ミチオとその妹ミカは、独自に事件を追い始める。

    これだけ聞くと、「ぼくのなつやすみ」みたいな、あの夏の日の思い出、……のような草の匂いが強くけぶるノスタルジック作品にも思えますが。

    とんでもない。

    登場人物がみんな異常という、引き笑いの出る陰鬱小説。

    ミステリとしては、真相が特段におもしろいわけではないし、謎解きのシーンにかなりの無理があると感じる。だって主人公は小学生だし。あんな推理無理だし。お前はコナンか。

    ただ、この物語の真髄はそこではなく、物語全体に散りばめられた病的な異常性と、不自然なほどの違和感(=作品に仕掛けられたトリック)だと思っています。amazonのレビューでは、

    ”不自然さを不自然さと感じさせる時点で仕掛けとしてイマイチのような?”

    と述べている方がいらっしゃいましたが、読み終わってみると、ちょっと違うかな、と感じました。どちらかというと、作者はあえて不自然さをわかりやすく、感じやすく全編に溶け込ませている。読者が不自然と気づくのは必然で、その異常性や違和感からくる気色悪さが、ラストの更なる異常性へと結実していくようにできているのではないかと。

    まぁ、それはそれとして、おもしろいかつまらないかといえば、フツーだったかな。本編中の違和感とは別に、設定自体に無理とアラが目立ちました。

    とにかく、夏休み、小学生……というキーワードから通常連想させるミステリを期待して読んではいけません。ここでもamazonのレビューを引用させてもらうならば、

     ”王道のミステリーがあるとすれば、これは邪道のミステリーです。”

    これが非常に的確だと感じました。

  • 道尾秀介作品を久しぶりに読みました。最初の滑り出しは気軽に読める本なのかと思いながら読んでいたが、途中ではかなり重い内容の本だなぁと思いながら、そして最後は「?」というかんじで終わってしまった。「いつそうなったん?」という箇所がいくつかあり、読み返しながら読んだが、結局分からず。。冒頭に妹が事件の一年後に亡くなるとあるが、じつはお母さんのお腹の中にいた時に産まれずして亡くなっている。てことは事件の一年後にトカゲとして死ぬということなのか。。でもそのシーンは無いし。。
    そんなふうにキャラクターが次々と「生まれ変わり」をしていくというファンタジーっぽい一面もあるのだが、そのファンタジーさと現実味の境目がもう分からない笑。とにかく違和感だったのがミカが3歳とは思えないほどの発言を連発。そしてミチオの発言や思考や推理力は9歳とは思えない。「その推理力コナンやんか!」と思ってしまった。そうコナンって考えるともしかするとミチオはじつは大人の時に死んで(コナンとは違うが)生まれ変わって9歳児になってしまっただけなのかとも勘ぐってしまった。境目がわからない笑。
    うーんもう一回読めば、わかってくるのだろうか??いやわからないだろうなあ。。。
    自分の洞察力の無さが悔しい。。。
    ミチオとS君というのは、道尾秀介をもじってるんでしょうなぁ。

  • この小説はジャンルが定まらない
    急にホラーになったり、実はファンタジー要素強かったりで読んでいて飽きない
    ただ、登場人物は常識にあてはまらない人が多いので、人にオススメする本には向いていないとよく言われるのかなと思った
    でも、どんでん返しというか、そこから騙されてたのか!っていうことが多いのでミステリ好きは読んで損はないと思う

  • 有名なので期待してました。
    はっきり言うと好みではないですが、今までにない感じで、後半は予想もしてなかった展開に「振り回されたー!」っていう楽しさはありました。

  • イヤミスー!
    ラストが秀逸

    道路に写った影の数…!

    生まれ変わってもカマドウマにだけは
    なりたくない

    生まれ変わったら深田恭子になりたい

  • 読み物としてはスラスラと読め、何度も自分の中で盛り上がりを感じることは出来た。

    しかし、冒頭から亡くなった級友のS君が蜘蛛となって蘇り、自分の死体を探して欲しいというくだりから???大丈夫か?最後まで読めるか?と思いながら読み始めたことは事実。

    読み進めながら感じる違和感は物語の後半で一気にその謎が解き明かされ、本作が間違いなくミステリー作品であることを再認識させられる。

    物語の最後、感じた感想は読者によって十人十色であろうが、個人的にスッキリ感と読み終えた満足感は☆3つというところか。

    ただし、著者の筆力はしっかりと感じることができたので、他の作品も読み進めていこうと思う。


    内容(「BOOK」データベースより)
    夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

    • moboyokohamaさん
      私はこの作品を読み終えた時に意味を理解できずに混乱したのではなかっただろうか?
      そんな記憶が残っています。
      私はこの作品を読み終えた時に意味を理解できずに混乱したのではなかっただろうか?
      そんな記憶が残っています。
      2019/11/23
  • どれだけ面白くても星5にはなりにくい作品と思います。つまり面白かったということですが、100ページ目くらいで止めようかなとも思ったけど、あとちょっとあとちょっとを繰り返して読了。
    評価は皆様の書かれている通り。
    後書きにあるように、読んだ事を覚えている本てこう言うのだよね、と思った。
    まずは一度開いてみて下さい。

  • そうです!やっと読みました。評価もたかく、あちらこちらでずーっと、何度もなんども!目にしていた本です。
    長く据え置きすぎたせいでハードルがバカ上がりしてしまったのかも…

    私もやはり最初に戻って読み返しました。…終わりまで読んでもどういうことかわからなかったから…読み返してもやっぱりわからなかった…

    わからない上に、嫌〜な空気感、意味わからんこと書いてるのにツラッとスルーしてしまう…そういう地味な部分が不気味
    もちろん明確に嫌悪感じることもたくさん出てきたけれども

    終盤なんて主人公が追いかける側になっちゃって。
    そりゃそもそもクモをS君と呼んだり会話したりおかしなところは満載だったけど、まともに考えようとしてたじゃない?湧き上がる怒りや嗜虐的感情を抑えようとしてるように見えたのに…

    それで読み終わってみる、え、つまりこれって完全に主人公から見えてる妄想の物語だよね。

  • 現実味がない主人公の妄想が、救いがない。またラストシーンではサイコパス感が伝わりゾクゾクした。

    現実を逃避するため自分自身のからに閉じこもり物語の世界を都合よく作ることでしか生きられない主人公。途中でお爺さんが言っていたように、話を聞いてもらうことで気持ちを晴らすことができるはずなのに、それができない環境だったせいで、幼いながらもこのような世界観に閉じこもってしまう結果になってしまったのだろうと感じた。

    両親も嫌な現実と向き合うことを避け、物語を作って別世界を生きることに徹していて、息子と向き合っていなかったことが文章からわかった。そして人は誰しも苦しい時に都合のいい物語を作ってしまうということに共感できた。

    1番不憫だと思うのはお父さんで、息子の話を聞こう、寄り添おうとしてもお母さんに邪魔されてしまうのが不甲斐なかった。ここで強くでても和を乱すことを嫌う父は反抗できなかったのであろう。息子をもっと愛してほしいが、もし母親を本気で叱ったら、平穏な家族も壊れてしまう。そんなジレンマを抱えて1人仲介役として生きるのは大変そうだと感じた。

    最後のシーンで母親がミチオの名前を呼ぶシーンがあったが、やっと現実と向き合うことができ自分の息子との関わり方に反省の念を感じたのだろうか。けれどそれも束の間、影がひとつと書いてあることからミチオはひとりぼっちになってしまったことがわかる。
    物語をやり直すことを試みたけれど、また悪い部分は隠して物語をつくってしまうのだろうか。まだ幼いのにこの状況に陥ってしまったミチオに同情してしまう。


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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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