地下室の手記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102010099

感想・レビュー・書評

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  • 書いてる言葉や言い回しは分かりやすいんだけど、話が重く、感情が生々しいせいで読むのにかなりの体力を消費した。しかしその分主人公の気持ちに感情移入出来て、読み終わったあと大きな満足感を得ることが出来た。

    呼ばれてもないパーティーに無理やり主人公が参加するシーンは読んでて凄くムズムズした。共感性羞恥というか、、、

    苦痛で死んでしまいたいという絶望の中に快楽がある~みたいな話はめちゃくちゃ共感した。そこそこの気分の時に、中途半端に失敗して落ち込むのが1番嫌なんだよね。

    何もかもが決定された世界では人間は生きる意味を見出すのだろうか?意外とそんな世界でも楽しくやって行けるものなのかな?

  • 孤独 小役人 娼婦

  • 2015.03―読了

    1864年、ドストエフスキーが42歳の時に書いたという「地下室の手記」-江川卓.訳-
    フランスの作家アンドレ・ジッド-1869~1951-は、この中編を「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と評し、
    ロシアの思想家レフ・シェストフは、その著「悲劇の哲学 -ドストエフスキーとニーチェ-」で、
    ドストエフスキーを見舞った「最もはげしい転機が突然現れている」と指摘し、ドストエフスキーの小説世界をキルケゴールやニーチェと繋がる実存主義的理解に道を開いた。
    このシェストフの発見は、30年後の日中戦争前夜の昭和10年頃、日本に紹介され、思想弾圧下の転向問題に直面していた知識人たち-正宗白鳥、小林秀雄、三木清、亀井勝一郎ら-を強く捉え、大正期白樺派の人道主義的ドストエフスキー受容とは異なる、所謂<シェストフ的不安>が流行語にさえなったドストエフスキー観が成立していく。
    ドストエフスキー自身は、「地下室の手記」執筆の10年後、長編「未成年」の創作ノートに、
    「私は、ロシア人の大多数である真実の人間をはじめて描き出し、その醜悪な、悲劇的な面をはじめて暴露したことを誇りに思っている。悲劇性はその醜悪さを意識しているところにある‥‥苦悩と、自虐と、よりよいものを意識しながら、それを獲得することが不可能な点に、また、何よりもそういう不幸な連中が、みんなそんなもので、したがって、自分を改めるまでもないと明瞭に確信している点に存在している地下室の悲劇性を描き出したのは、ただ私だけである‥‥偏見をもたぬ未来の世代はこのことを確認するだろうし、真実は私の味方にちがいない。そのことを私は信じている。」と、書きつけた。

  • ドストエフスキーとの出会い。
    手にした契機は覚えてない。
    精神描写に胸えぐられた感覚だけ残る。

  • 先日文喫というブックカフェに訪れ、前から触れていなかったドストエスフキーの作品が目に留まり読んでみました。40歳で地下室に閉じこもった主人公の手記を読まされました。基本自分語り(登場人物は一応出てくるが相槌とか引き立て役程度)だったので、仲良くもない話も通じない、社会に絶望している人が怒りで書いた手記を読めと言われたらそれは苦痛なわけで…笑正直よくわからずに読了しました。読み返したくもないんですが、作品としてよくなかったかと言われればそうではないです。鮮明に心理状態を描写する表現力や、250ページ近くも自分語りで作品を完結させる力(完成度も高い)は圧巻でしたし、わからないけどなんとなくこれは凄い作品だなと思わされるなんらかの力も…笑
    時代を超えて評価される理由の一端を知ることができて満足でした!

  • 面白かった。こういう類いのひねくれ文章だいすき。なんとも言えない見えない感情とか思考の端から端までが全て拾われて文字として形になって表現されている感じに感動した。あまり認めたくはないけど、共感できる部分もかなりあった。

  • 薄いので読みやすかったです。

  • かなり面白かった。

  • ドストエフスキー作品の読みづらい感じを集約したような難解さを感じたが自伝だと思えばまだ入り込めた。あとがきにもあるようにこの作品が後のドスト作品の名作につながってるらしい。主人公が一貫してこじらせている。こじらせた主人公による手記、日記調だから途中の読みづらさがすごい。ドストエフスキーらしさが集約されてる。読みのが辛くなるくらい人間のクズな部分が晒し出されてる。

  • ■憎悪、偏愛、嫌悪、復讐、執念、侮蔑、屈辱、恥辱、虚栄、悔恨、演技、腐敗、自虐、臆病、傲慢、苦悩、エゴイズム…病的なおもしろさ■


    「僕にとって愛するとは、暴君のように振る舞い、精神的に優位を確保することの同義語だからだ」

    手記の著者である主人公は、自身で認めるとおり、虚栄心の塊みたいな男である。
    精神の病み具合、頭のイカレ具合が尋常ではない。それでいて自身の虚栄心、病的心理、過剰なまでの自意識を冷静かつ精緻に分析して記述している。なんという自意識か。

    高すぎる知性ゆえ、プライドを傷つける者に対し懲罰を与えたいという執念にも似た欲求と、虚栄心を満たすことへの渇望が彼の原動力である。そしてそれを完全に認識しつつも止められない。むしろ止めることをよしとしない。


    「僕にはならせてもらえないんだよ…僕にはなれないんだよ…善良な人間には!」

    悲痛な心の叫びのように聞こえるが、彼自身、本気で善良な人間とやらになりたいと思っている節はない。仮になったとしても、翌日には100%偽善であることを自ら認め、笑い飛ばすに違いない。

    さて、本書前半は非常に読みづらい。主人公の御託が延々と続く一方で、ストーリーに動きがないため、文字の上を目線が滑っていく。楽しむための読書であれば、それで全く構わないと思う。
    一転して後半、ようやく人物とストーリーが動き始めてからの主人公の病的な言動と心理描写。このおもしろさは圧巻だ。

    本書を読み、自分の性格のひねくれ具合など、まったく取るに足らない、かわいいものだと妙に安心してしまった。はてさて、これでいいのやら…

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著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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