老人と海 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100042

感想・レビュー・書評

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  • 鮮烈な海に関する描写がとても美しかった。特に軍艦鳥や鱰や鮫、そしてマカジキといった生命の生き生きとして神秘的な描写があまりにも映像的で、昔観たアニマルプラネットを彷彿した。会話体が多い小説であるが、登場人物は主人公のサンチャゴ爺さんと、彼を慕う少年くらいなもので人との会話は序盤と終盤以外なく、殆どが爺さんによる、己やカジキとの心を通わせた対話や独り言である。
    私は爺さんと海の関係こそが人が生きる意義なのではないかと感じた。本文中に、「この男に関するかぎり、何もかも古かった。ただ眼だけがちがう。それは海と同じ色をたたえ、不屈な正気をみなぎらせていた。」という表現がある。爺さんは耄碌としていく身体とは裏腹に、漁師として、海に生きる者の気持ちは常に瑞々しい心持ちでいる事が読みながら伝わってくる。海がみせることに関しては酸いも甘いも知り尽くし、その海の全ては爺さんにとって憧憬の対象なのである。生活の為に漁をしているとはいえ、広大な自然に寄り添いながら感情の起伏を見せる様は、人間に対して以上に愛情を持っているのは間違いないであろう。数日に及ぶまかじきとの死闘は、金銭や名誉を遥かに超えた別の目的のために闘っているのを切に感じる。死闘の間、これから殺そうとする相手に対して、爺さんはとても敬意を表している。ついにはかじきに殺されるなら構わないとまで考える。美しく逞しく気高いカジキとの死闘の敗北の代償が己の絶命であっても構わないと考える爺さんの心持ちも気高く逞しく美しいと感じた。
    最終的に爺さんは死闘の果てに勝利を収めるわけではあるが、港に戻るまでに鮫の邪魔が入り、まかじきは無惨な状態になってしまい、くたびれ儲けの有様に陥ってしまう。彼はそんな絶望の結果の夜に、ライオンの夢を見るのである。この夢が意味するものは孤高で気高く強い存在への羨望なのかもしれない。広大な海という自然に対するどこまでもの憧れはいつまでも潰えない、海への眼差しはいつまでも瑞々しく、彼の生きる力は海以外にないのであろう。このような生きるための活路を見出し、いつでも心を輝かせ、たとえ名誉が手に入らなくてもそこにこそ生きる道を見出す。その爺さんの生き様を賛美したい。

  • 情景描写が細かく、読みながら頭の中に状況が浮かんでくる。
    ページ数も少ないのでサラッと読める。
    面白いかと言われると微妙。

  • ヘミングウェイの代表作の一つ。
    人生はハッピーエンドになるとは限らない。厳しい状況であっても、決してめげてはいけない。自分の生き方に満足することが大切。他人の事は気にしない。
    中学生の頃に初めて読んで、この小説から生き方を学んだような気がした。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/684176

  • 高校生の時読んだ時は良くわからなかったが、読み返してみると文章の美しさや迫力にのめり込んだ。これだけ淡々とした外面描写だけで主人公の内面を思わせる力がすごい。

  • 当時の文化や生活がわからないのでなかなか入り込めず読むのに時間がかかりました。

    孤独だとしても生きて慌てず騒がず、追い詰められても静かに諦めず先を見る老人はいぶし銀と言うものでしょうか。

    何だかなんとなく違うようなもっとしっくりくる言葉があるような感じもしますが、
    時間と経験を重ねないと生まれない落ち着きというかもの悲しさというか魅力というか、そのようなものが描かれていたように思います。

  • オーシャンビューヘミングウェイと言うギャグで読みたくなって読みました。

  • 「人間は、勝つように出来ている。」という言葉を私にくれた本。

  • この一冊で海の色々な表情が読み取れた。
    人間にはどうすることもできないことがある。『老人と海』ではそれは自然だった。
    最後まで自然と戦い続けたサンチャゴと、自殺で一生を終えたヘミングウェイは対照的だと思った。

  • 全力で生きる人間。これが生。

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