家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103058526

感想・レビュー・書評

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  • 思ってた以上にすごい内容で、何というかダメージを受けた感じ。あんまりだ、と思いながら一気に読んでしまった。

    みんながみんなこうではないと思うけれど、家庭での食事がエライことになっている、というのは間違いのないところだろう。それを写真で見せられるとこんなにも衝撃的だとは…。

    この間から今話題の(もう古い?)サンデル教授の本をゆっくり読んでいて、正義と自由についてあれこれ考えていた。だからだと思うが、この本を読みながら「自由」ということが頭から離れなかった。

    確かに、どんな食生活をしようがそれで満足してるんだから「家族の勝手」である。しかし。こんなことでいいんだろうか。

    かつての女性は家事労働に多くの時間を(まあ言えば人生を)拘束されていた。そこに戻っていいはずはない。かつて田辺聖子さんが「安易に大家族礼賛を言う政治家を見ると飛びかかって首を絞めてやりたくなる」とおっしゃっていたが、実に同感だ。母や祖母の苦労を繰り返してはいけない。

    しかし。だからといってこの食卓はないだろう。雑多なものがのったテーブルの一角にスナック菓子などが積んであって、めいめいが好きな時間にほしいものを食べる、などというのは「食事」ではない。こんな「自由」を求めてきたのではないはずだ。

    一方で別の気分の悪さも感じる。後書きに「決して『主婦』批判が目的ではない」とあるが、他に読みようがないだろう。「ママ友」とのランチ(夫の昼食とは比べものにならないリッチさの)を楽しみ、おでかけして疲れたから夕食はカップラーメン、というような書き方から伝わるメッセージは明らかだと思うのだが。あくまで実態をとらえることが目的、というスタンスはわかるが、そうは言ってもある種の価値判断からは逃れられないだろう。そこらへんが不満。

  • ひやりとする。成人病もしくは栄養失調の人間を、着々と作っているような食卓の写真が続く。書店には料理本があふれ、TVでは料理番組、グルメ番組が毎日のように流れているのに。
    この先はどこへ行くのか。
    知りたくもあり、知りたくもなし。

  • それぞれの家族の朝昼晩の献立。
    一週間レポートの初日と最終日の落差とか、お父さんのいない食卓といる食卓の違いなど、家庭による色々な献立を写真で紹介。
    ある意味笑える、主婦の弁解がおもしろい。

    写真が小さいので今ひとつ細かなところが見えてこないのが残念。

  • 現代日本の家族の一週間の食事を写真撮影し、多数のインタビューを通じて食の在り方や問題を浮き彫りにした一冊だ。
    調査対象は子供のいる主婦で、30〜40代が多い。
    ・・・・・みんなこんなに既製品、加工食品だらけの食事してるの?
    まあ、私も朝食をケーキで済ますことはあるし、家族が時間差で好きなものを食べるのは日常だ。だから何が普通なのか、なんていうのは誰にもわからないのかもしれない。
    顕著だったのは、主婦の身勝手さ。
    子供を放って友達とランチに出かけ、遊び疲れを理由に料理をしない。無茶苦茶だ、と思うけれど、彼女らの勝手な言い分にも、わかるところがあるのだ。
    メディアか教育か、何が要因なのかはわからないけど、今の20代、30代の日本女性に妻や母はいない。みんな、娘であり女である。
    確かに食の崩壊は女性が一番先頭に立って起こしたが、それを罪とするなら功罪は女性だけのものではないだろう。
    家庭の食卓から、社会が透けて見える気がした。
    それにしても、こうして育った子供たちが作る食卓はいったいどんなものになるんだろう。

  • 274枚の写真で見る食卓の喜劇~お父さんが知らない家庭の食卓・健康志向とその正体・昔の常識,今の非常識・「誰か」と「明日」に期待する子育て・「子供中心」というネグレクト・「私」と大切にする主婦たち・家族一緒はフレックスで~喜劇か・・・喜劇だな。大きな日本という舞台にした喜劇だ。大衆社会現象を認めない人でも,これを読んで自分の生活を考えると認めざるを得ない

  • 大変な本を読んだ。
    現在の食事事情がここまで来ているとは。

    こうした食事事情は、教育や健康面などで、早晩さまざまな困った問題をひきおこすだろうと容易に想像されるので、暗澹たる気持ちになった。

    それにしても幼稚園の「好きなものだけ入れて」という指導は何だろうかと思う。

  • わが国の家庭では、ある種のリベラリズムが純粋な形で達成されつつあるように思います。食や育児に対するネグレクトの言い訳に、「個の尊重」、「自由への配慮」、「価値観の相違」といった政治的に正しい言葉が援用される。形式的には正しいんだけど、その実質は明らかにおかしい。そうした事態が、社会の基本単位である家庭の中で普通のこととして起こっているようです。

  • 食卓写真。
    家族4人でカップラーメン、朝ごはんにボーロ16粒と牛乳など衝撃的な物もありますが、
    手の混んだメニューは実家から、魚は1皿をみんなで食べるなどは我が家もです・・・。

  • うちはDINKS なんで、正直、こんなときあります。数日コンビニや外食続くこと。でもそんなの3日が限界!旦那への罪悪感と、なにより自分の体が手作りのごはんをもとめちゃう。なんで子供がいてあんなメタクソな食事なるわけ?まじ、ありえないから!っといきまくのは子ナシで時間的なキツさかんじないからかな?
    ってのが、読み始めたときの感想。この著者、意地悪い視線ありきだけど、でも読み終わった今も、日本の現実ってこんなものかもと、妙に納得もありつつ。私のまわりには、食べることだけでも、マメに手をいれている人多いから正直わからんけど。。。世の中のお母さん、この本よんで、冷静に自分を分析してもらうしかないよね。。。

  • 生々しい食卓の写真がなんとも言えず面白い!他人の食卓を見る機会なんてそうそうないので(あったとしてもそれはよそ行き顔ですからね)これはもうワクワクします。
    テーマは「食事」。普通の家庭(だと思っている)の普通の3食がなんとも異常である事、我が家なんか上等だ!と思える優越感、また、「あぁ、うちもこれやってるじゃん・・・」と初めて気付く我が家の日常。食に興味のある方には超おすすめの本です。

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著者プロフィール

1953年北海道生まれ。法政大学卒。大手広告会社勤務等を経て、現在大正大学客員教授、日本能率協会総合研究所客員研究員。1960年以降生まれの人びとを対象とした20年に及ぶ継続的な調査研究に基づき、現代の家庭や社会に起きるさまざまな現象を読み解くことをテーマにしている。著書に『変わる家族 変わる食卓』『「親の顔が見てみたい!」調査』『普通の家族がいちばん怖い』『家族の勝手でしょ!』『日本人には二種類いる』など。第2回辻静雄食文化賞受賞。

「2017年 『残念和食にもワケがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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